一匹狼の俺は、一人、中へ入っていったのさ。
俺とした事が、思わずはしゃいでしまった。
何故かって?
そりゃあもう見た事の無い魚たちがひしめいていたからさ。
愛嬌のある奴が、人懐っこく寄ってきやがる。
獰猛と言われるウツボは、口を開けっ放しで、むしろ間抜け面だったぜ。
ひそかなアイドルチンアナゴも、にょきにょき顔を出してやがった。
俺は何を見ても感激する、可憐な少女になっていたんだ。
危険生物コーナーには、恐ろしげな奴らがうごめいていた。
『ボタンを押すと危険な所が光ります』
試しに、ハブクラゲのを押してやったら、ほぼ全部光ってやがる!
危ないヤローだな。
そして、最大級の水槽、そこにいる奴らには度肝を抜かれた!
悠然と、ゆったりと泳ぐその姿は、人のせせこましい姿を浮き彫りにしていたんだ。
俺には、人より遥かに崇高な生き物達に見えたぜ…。
まだまだ続くぜ水族館。
俺が生まれ変わるならなりたいヤツが『マナティー館』にいた。
そう!マナティーだ!!
愛くるし過ぎるその容姿は、思ったよりでかくてびびっちまった。
水で遊ぶ様に泳いでいる姿を見て、やっぱりマナティーに決まりだと実感しちまった。
ただ、体温調節が下手らしい上に、好奇心強すぎて、ボートのスクリューに近づいて怪我をするヤツが多いらしい。
…俺は気をつけよう…。
最後に俺は、イルカのショーを見たんだ。
楽しいショーを見ながら、感動して涙が…。
クソッやられた。
素晴らしい運動能力、水の中を縦横無尽に泳ぐ様を見て、俺は思った。
「イルカも捨て難い」
海、水に対する憧れは、意外と強いのかもしれない。