雨が降り出す。
しまった、カッパを持ってこなかった。
急いで記念館に入る。
中には、特攻によって亡くなった方々の写真がズラッと並んでいた。
その下には、遺書や絶筆が並んでいる。
遺書には、父、母、兄弟姉妹への思いが綴られていた。
『お国の為に死ぬのは、名誉な事』
大義名分は置いといて、人が一人、強制的に死を迎える。
両親にしても、我が子が死ぬのに「万歳」どころじゃないだろう。
名誉な死なんて、私には分からない。
自分を殺し、人もたくさん殺す。
平和ボケした私には分からない。理解できない。
分からないでいれる今に生きている事を、心底幸せだと思う。
太平洋戦争では、まだ若い少年たちが、次々に特攻して亡くなっている。
そして、原爆。
小学生の時、日本はもう戦争をしない国だと聞いて、心底ホッとした。
あやしい雲行きの今、
「繰り返さない事」
これが、ただ、今の私たちに出来ること。