初めてのフル積載。

初めての一人キャンプ。

初めてのバイクでフェリー。

初めての長時間雨天走行。



初めての、一人旅。

全てが初めてだった。


北海道を舞台にしての日本一周スタートは、まさに手探り。

自分がどれほどまでに進めるか、どれほどまでに走れるか、それすら分からず、


意味も無く焦っていた。


時間を気にしない旅なので、時計は持たなかった。


それなのに、時間に追われ、行くのをあきらめた所もあった。

にもかかわらず、抱えきれないほどの、様々な出会い。


北海道の物質的な広さもさる事ながら、人の、広さ。



旅に本当に必要なのは、設備より、そこにいる人なんだ。





ひとまず、一段落してみて思うのは、


何もかもを忘れたくないという事。


人は忘れる。でも、一秒でも一瞬でもたくさん覚えていたい。


自分の目がビデオカメラのレンズならいい。



第一幕は、不安と緊張と焦りに飲み込まれそうになったけど、

少し、 ほんの少し、自信がついた。


「私は旅が出来る」


今さらだけど、実感できた。


久々に寝た自分の布団はとても気持ち良かった。

でも、寝袋を見ると、不思議な愛おしさが込み上げて来る。


まだまだ旅は終わらない。

そう、私の感覚が言っている。


ここからが本当のスタート。


めげる事、寂しい事、泣いてしまう事もある。


それでも私は進む。


ゴールなんか ないんだ。