いくら、夜中に着くと言われても、
函館行きを諦めてはいなかった。
今日乗れなくても、フェリーに乗るなら青函フェリー。と、何か勝手に思ってたから。
どっちにしても、もしかしたら今日が北海道最後かもしれない…。
そう思うと、胸が熱くなった。
この景色ともお別れ。
北海道に来て初めての夕日に、背中を押されながら
私は泣きそうだった。
10日前、手探りで始まった日本一周。
その第一幕が、ゆっくりと幕を降ろす…
と、綺麗には行かなかった。
夕日は沈み始める前に雲に隠れ、しまいには雨まで振り出した。
やっとたどり着いた苫小牧の道の駅でフェリーの情報見ようとしたら
情報無い上に、市外地からかなり遠かった。
暗くなって、つのる不安。
最後の夜だから、贅沢にビジネスホテルに泊まっちゃおうかと考えた。
その前に、一応フェリーの時間でも見てみよう。
また迷いつつ、フェリーターミナルにたどり着く。
八戸行きは…と…おや、まだ受け付けてる。
値段を見て少々考え、私の頭ではじき出した計算によると、
函館まで自走するより、安く上がる予感がする!
しかも、このタイミングでここに来れたのは、きっと乗れって事なんだ!
すぐさま搭乗手続きをして、フェリーに向かう。
ああ、ほんとにこれでさよならなんだ。
振り返れば、そこには、揺るがない北の大地。
私の、初めての一人旅の最初の舞台。
甲板の上で静かに別れをつげた。
