ちょっとずつ、経済活動。
雨上がりの晴天の中、相棒にまたがった私は南下した。
町中の4号線は走る気が起きなかった。
456号線から細かい県道を。

水田が青空を写して眩しい。
まだ頼りなげな稲が、風に揉まれてる。

緑に埋め尽くされた里山を駆け抜ける。

宮沢賢治ゆかりの何か…
少し進むとカニもあった。カニはクラムボンだね。カプカプだね。

麦も実って実ってたわわに揺れる。

見回せば初夏の装い。
昨日一昨日のうだる暑さに夕べの雷雨。
植物たちはすでに最盛を迎えようとしているよう。
鼻腔を擽る芳香を吸い込みすぎてクラクラ。

銀河ステーションで一服。

北上川沿いをなぞる。
水面が近い。
こんなに伸びやかな北上川見たことなかったかも。地元なのに。

鷺が一羽、悠然と立ってる。
ちょっと最上川を思い出す。
繁る梢の間から、途切れ途切れに見える川面からは、ひんやりとした風が届いて、うんざりするヘルメットの蒸れを和らげてくれる。
一旦4号に出てすぐにまた脇道へ。


田んぼを突っ切る快走路。
濡れた土の香り、薫風。
また通りたいけど、きっともうたどり着けない。
何故ならルートを忘れるから…
方向音痴のためか、道が覚えられない…

眩しい田園から突然現れた木のトンネル。
目が効かない!
木のトンネルを抜け、空を仰ぐと感じる旅の匂い。
何か特別の予感のする天気。
地元ながら来たことのない街へ。

とにかく一人になりたかった。
旅気分。
一人の夜を楽しみたいと思う。