去りがたし。


手にある内には気づかない。

手にある内には必要ない。

そういった些細な水滴のようなものどもが集まって、
大きな滴を垂らすのです。

その滴は時折急激に目頭に伝わって、
心は乾いたままなのに、潤んだ瞳を生むのです。

心より先に、瞳に届くのです。