自宅にいるよりずっと賑やかだったキャンプ場を後にして、向かったのは尻屋崎。

 

天気は曇り。晴れ希望(みんなそうか…)だから少し残念な気持ちだったけど、

だけど、そう、やっぱりこの道すごく好き。

この道が走りたくて尻屋崎に行くと言っても過言ではない。

広くなったり狭くなったり。

道の両側にススキが穂を広げてて、初秋の装い。

ほぼ貸し切り状態の道があまりに気持ちよくて、少し天を仰ぎながら走った。

 

さらに松林の中を駆け抜ける快走路を過ぎて、尻屋崎のゲートにたどり着く。

 

ゲート抜ける前から、居る…!見えてる…!

北端の寒さの中立って耐える「寒立馬」達。

ふさふさした体毛と少し短めのあんよが魅力的。

お目々はいつもうつむき加減。

 

なぜかハァハァと興奮。

がわいいいいいい…!

馬って中々会えないじゃない、会うと何故か嬉しさのあまり興奮してしまうよね。

 

寒立馬はやっぱりおっとりと立っていて、だけど中にはちょっと気の荒いのも居たりして「ヒヒ~…!」と鳴きながら馬キックを繰り出している子もいた。

 

ゲートから灯台へ。

荒涼とした海岸線にむき出しの岩を携えながら、牧草地がなだらかに広がっている。

 

 

くねったアスファルトに続く均等に並ぶ電信柱と山の上に並ぶ風車で、かろうじて人間の気配。

誰かの記憶の中の様な、現実感のない眺め。

 

尻屋崎灯台に近づくごとに風が強くなってくる。

遮るものが何もないからね。

 

吹きすさぶ風の中、灯台まで少し歩く。

やっぱり少し寒いかな。何となく寂しさも漂う。


でも、シャッターを切ってくれた通りすがりの方がすごく上手に乗せてくれて、

実に良い笑顔(自分で自分を褒めるスタイル)で記念撮影できた!

果て感の強いその岬を散策してるといたるところに馬糞がたんまり。

灯台と寒立馬の共演も見たかったなぁ。

 

前来た時は、この水場にみんな向かって歩いてたっけ。

 

あざみ?寒風吹く中に揺られて咲く鮮やかな花。

 

見て回っていたらさすがに寒くなってきたし、ちょっとお腹もすいた気がしたので、

灯台の向かいのお土産屋さん兼お食事処に入ってみた。

 

大好きなツブ貝のおでん、1本¥200!

ツブ貝の中身を綺麗に出すの割と得意。

プルンと肝まで一気に引きずり出して、一口で御賞味。

なので、二口で完食。

おでんのお出汁とあったかさが染みたわ~…。

 

一息つけたので出発。

 

そしたら今度は牛発見!

 

こっち見てるよね~。あー、牧場って何故にこんなに平和なのか。

 

荒涼としていて寒々しい空色なのに、ほっこりと和やかな尻屋崎を後にして、南下を開始。

今度は東側(太平洋側)。

 

真っ直ぐ南下する予定だったのだけど、「ヒバ埋没林」という看板がやたらと目につく。

何だか分らないけど、行ってみるしかないでしょう。

 

少し素通りしてしまって戻った挙句、村内でも迷ってしまったがちゃんと駐車場を見つけられた。

さらに散策路で90度違う方向に進んでしまったが、また親切な看板に助けられて、目的地までの散策路を正しく進行。

 

緑豊かで美しいのだけど、熊出そう…。

 

そもそも「ヒバ埋没林」とはなんぞや?と思ってたらまたしても親切な看板。

この辺一帯は砂丘になっていて、さらに数千年前から飛砂が来ててそれに埋もれて立ち枯れたヒバが姿を見せているものらしい。

なんと紀元前頃の埋没ヒバすらあるらしい。

 

壮大過ぎて見るまで何ともよく分らん。

結局埋没ヒバがどんなものなのかよく分らん。

 

熊に怯えながらも、多彩な植物の跋扈する林の中を抜ける。

 

3、400m歩いあたりでようやくまた案内看板が見えて、すぐそばに埋没林があるところまで来たと分かった。

 

そこからまた散策路を歩きながら、並走する小川に目線を移したら、あった。

生命が漲る中で、時を止めてただ立ちすくんでいるかのような佇まい。

小川の水にさらされながらも腐らずに数千年変わらずここにある。

…美しい。

倒木や峠の立ち枯れた木々と同じ、わびさびの風情が漂っている。

 

独特な景観に立ち止まって見ていると、貪欲な蚊の餌食となった。

服の上からも血をいただこうと必死に刺している。

反射的にぶっ叩いた。しこたま叩いた。

 

もっと奥にも行けるようだが、蚊の多さと熊への恐怖から踵を返した。

バイクに戻ってから脛を見たら、昨日刺されたと認識していた箇所以外にもしこりの様な盛り上がりが出来ていた。

ムヒを塗っていたら、管理人と思しきおじさまから「刺された?蚊多いから」と今刺されたと確信に変わる言質を取る。

 

ビショビショになるほどムヒを塗って息を吹きかけると少し楽になった模様。

今のうちに出発。

 

しばらくは道なりに南下を進める。

 

海が見えたり大きな施設が見えたりと意外と変化に富んでる道。

さっき歩いたこともあって少々小腹がすいたので、ゆとりの駐車帯的な所に一旦停車。

望むは「鷹保沼」。

強めの風に乗ってトンビが旋回してる。

しかも結構近い。

「取らないでね…」と願いながら非常食の魚肉ソーセージにかぶりつく。

轟々と唸りを上げながら通り過ぎるダンプや大型トラックを横目に一休み。

 

エンジン音が遠ざかれば、聞こえるのは風に擦られる木々の葉音。

 

 

その後東北町へ進路を進めた。

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平地に広がる一面の田畑はとてつもない規模。

進むほどたくさんの明神様が次々と現れる。

沼地の広がる地だからこそ、水と共に生き、水を崇める土地柄なんだろう。

 

東北町に入ってからは、さらに北海道と見紛うほどの広大な畑が広がっていて、

いったいここはどこなのかと分らなくなってきた。

今日入りたかった温泉は東北町の街中にあるはずなのに、後数kmのところまで来てるはずなのに、広大な畑。

数km内に街中がある予感がしない…。

 

不安に苛まれていたが、道は間違えておらず、ただ距離感が私の規格外だっただけだった。

ケータイ&カメラの充電が切れたため、予備バッテリーの電池を買いに入ったコンビニで店員さんに教えてもらったところ、ほんとに目と鼻の先まで来れていた。

走り出して3分で到着したのは「東北温泉」。

何故に熱望したかと言うと、日本一(? 最も)お湯が黒いそうな…。

黒い温泉って何!?どゆ事!?

 

綺麗な施設内にある浴場に入れば分かる、その黒さ。

ほんとに湯船が黒い。

でもべたっとした黒さじゃなくて、薄墨の様な…いや、透明な褐色が積もって黒くなったような…。

この色何かで見たことあるのだけどどうもピンと来ない…。

とにかく肝心な浴感は、蚊に刺された脛にビリビリと沁みてそれどころではない刺激。

か、痒いっ!!

温泉でかゆみ成分を薄くできるのでは…?と擦ってみたけど、ビリビリ→痒々→痒々!

全然堪能できない…!

しばらく擦りながら入っていたら、あれ、すんごく熱い…?

気を取られているうちに猛烈に暖まっていた模様。

 

若干ハアハア言いながらお風呂を上がる。

堪能したとは言い切れないが、美肌効果はたんまりいただけたのではないでしょうか。

お風呂上りは喉もカラカラで、たくさん汗をかいたと実感。

 

はぁあ、次は蚊に刺されの無い状態でゆっくり入りたい…。