通り雨の可能性を信じて、一服したりしつつ様子を見ていた。

しかし、またしても蚊に集られるわ、雨雲切れないわであきらめることにした。

 

実は最近カッパを新調していた。

雨の実践は初だが快適に走れるに違いない。

頼むよ~。

 

轍に水の溜まった道は走りにくい。

ハイドロプレーニングなんちゃら怖い~と恐る恐る走ってたら、

急な追い越し車が水を跳ね上げて走り抜けたため、しとどに濡れる。

だが、素晴らしいのは新しいカッパの防水性よ。

 

もうだいぶ薄暗くなってきて、薬研に向かう道は良く見えなくなってきた。

近道したい…とあやふやながら道を曲がってみたら奇跡的に合ってた!

大抵失敗して後悔する(やめればいいのにとは思う…)のにツイてる!

 

薬研キャンプ場入り口のダートをゆっくり進み、ようやく我がベースへ帰ってきた。

ほっとしてる横で、高清水さんのたき火が温かく燃えていた。

 

「降られた?」

「降られました~(泣)」

 

あー、安心する。

日は随分傾いていた。

管理人さんも、遅かったから心配しててくれてた。

こんなに寂しくないキャンプは初めてだよ。

 

着替えをして、さっそく高清水さんのたき火に当たらせてもらう。

そしたら、焼き肉を焼いてくれて、その後こてっちゃんまで焼いてもらってありがたくいただく。

うんめえええええ!!ビールが進むわ!!

この焼いている鉄板、南部鉄器だそうで、しかも「蓋」の部分らしい。

蓋の有効活用!

「南部鉄器は手入れも大変だけど、最大の欠点は…重い…!」

ぶはっ!確かに!

バイクで積んでくる重量じゃない!!

他にも、スノーピークのたき火代は20年物、ツーリングマップルも20年物という半端ない年期の入ったこだわりアイテム揃い。

快適なのも納得だわ。

 

 

高清水さんはほんとに良く笑って、見てるだけで楽しくなっちゃう。

(なのに写真は笑ってないの…何故…)

 

良く笑ってくれるから嬉しくって、今日行った場所の事から、前に行った場所のことまで色々おしゃべりしてしまった。

大間で買ってきたマグロのカマもつまみながら、

 

時間忘れてドンチャンしてたらいつの間にか0:00過ぎてる!!

 

明日は朝早く出て、そのまま夜勤で仕事と言う高清水さん。

もう寝ないとね。

そして静かにしないとね…。

(周りの皆さん気づかなくてすみません…)

 

 

(また笑顔じゃない…TT)

 

いつもキャンプでは寂しくて怖い思いばかりだったのに、怖さなんかどこ吹く風。

そんな時間にしてくれたことに感謝。

 

寒さも和らいだような薬研の夜は、静かに更けていく。

 

 

寒暖差でテントが濡れている朝、起きるとすでにパッキングを始めている高清水さん。

私は優雅に朝のコーヒーを飲みながら、横目で見ていた。

一昨日一緒に飲んだSさんHさんに、「冷やかしに行かないとな」と粋な一言を残して挨拶しに行ってた。

 

準備が整い、最後に固い握手。

 

また会いましょう!!

 

巨大なハーレーの野太い鼓動を響かせながら、普段着のようにラフに跨る姿がかっこいい…!!

 

何事もなかったかのようにバイクを走らせて去る後ろ姿に、旅の匂いを強烈に感じた。

 

 

今日は私も撤収だ。

またしても手順を忘れてモタモタしてしまいながら、何とかパッキングが完了。

管理人さん、Hさん&ワンちゃんにも挨拶して、一度起きてまたお休み中だったSさんも管理人さんが起こしてくれて挨拶。

さらに夕べ、側溝に脱輪してJAFを呼んでいた関西の「毎日が日曜日」ご夫婦の旦那さんとも挨拶。

 

キャンプってこんなにアットホームだったかしら?

私の知らないキャンプだわ?

 

一人向き合うと意気込んで出発してたけど、新しい縁を拒否するつもりはこれっぽっちもなかった。

新しい縁との紡ぎ方で、また一つ今の自分を知るだろうと思ってたから。

だけど思った以上に優しさに包まれて甘えてしまった。

 

一人が好きでも、一人の時間が大切でも、対するように必要な他人との時間。

ずっと一人でいればやっぱり誰かとおしゃべりしたいし、大切に思われることの重要さを知る。

単純なことだからこそ忘れてしまいがちだったけど、改めて偶然の出会いが気付かせてくれた。

 

歳を重ねてひね曲がるごとに一番大切なことを順番に忘れていく気がする。

 

今、取り戻しているのだ。

取り戻せる限りで。