目を擦って確認したくなる。

険しく厳しい山を乗り越えてたどり着くその場所は、自然の雄大さに圧倒されて、

まるでこの世の眺めではない。

 

仏の入り江「仏ヶ浦」。

 

降りていくには、散策路を歩いていく。

木々が生い茂って心地よいと思っていた…。

登ってくる人たちが、一人残らず息も絶え絶えになってる。

そうだ忘れてた、帰りがきついのだ。

 

人なんてちっぽけだ、と感じてしまう。

 

澄んだエメラルドグリーンの海。

仏ヶ浦だけ海の色が違う。

小さなお魚が群れになって入り江に入ってきてた。

 

潮が引いて取り残された潮だまりに、魚や蟹。

近寄ると急いで身を隠してたけど、見えてるよ~。

 

散策路から左側の岩場に、小さな歩道が続いているのを見つけて行ってみた。

入る前に入り口近くにあるお地蔵さまにご挨拶。

 

そして歩道に従い岩の隙間を潜って行くと、外からは見えない岩に囲まれた空間があった。

誰もいない。

ただひっそりと巨岩が並んでいる。

異世界。

 

あまりに清浄な空気だったので、ここにいる自分が穢れそのもののように感じてしまった。

 

 

帰り道、こぞって息を上げていた理由は階段。

私も例にもれず、引きずる足取りで必死に登っていたら、

かわいい蛇が出てきてくれた!

目が合った途端に素早く逃げられたためお顔を撮れなかったけど、めちゃくちゃ美人だった。

顎張ってたからマムシ?

 

行き会う人が噴出してしまうほど真っ赤になって何とかバイクの所に戻ってきた。

そしたら汗のフェロモンが出ちゃって、蚊に囲まれる。

革ジャン着るの嫌になるほど暑かったけど痒いの嫌!

ささっと着込んで出発。

 

下北半島の左側をぐるっと外回りしようかと思っていたんだけど、時間と体力がちょっときつい予感がしたので、脇野沢まで行かずに川内湖を通ってショートカットすることにした。

脇野沢と言えばの北限のサルには、仏ヶ浦から3kmほど手前で少しだけ会えたしね。

道路に出て何か食べながらきょときょとしてて可愛かった。

 

 

やはり続く峠道は、山に向かって走っているかの様な急カーブ。

深い森の続く山肌に吸い込まれそうになる。

 

厳しいからこそ美しい。

恐ろしいほど美しい。

 

こんなところに道を作る人間はやっぱり逞しいけど、圧倒的な自然の前には歯が立たないと思い知らされるよう。

 

ヘアピンに悲鳴を上げながら走っていると、カーブ奥の茂みからふさふさした毛が見えた。

また居た!と今度はバイクを停めた。

すると、上の方にもたくさん居る!!

 

毛づくろいしてる!

後ろから物音がしたから振り返ったら、ガードレールを横切るサル。

群れに会えた!!

警戒しているのか「キーキー」と声を上げていた。ごめんよ、うれしくてつい…。

 

 

川内に入ってくると牧場が広がる。

なんと優しい眺めなのか。

さっきまでの厳しさが嘘みたいに穏やか。

 

川内湖にたたずむ橋の美しさよ…。

 

湖の端のほうに謎の巨大噴水があった。なぜここに噴水があるのだろうか…。

 

ほどなく、陸奥湾を望む海沿いに出た。

向こうに浮かぶのは、位置的に北海道ではないな…。

地図を見たら、脇野沢っぽい。反対側は野辺地~津軽半島かな。

青森の海は入り組んでいて、その向こうには陸地が見える。

宝島みたいにはるか遠くに見えるようで、バイクで行くことも出来る陸地。

なぜこんなにもときめくのか。

 

海沿いを走り続けてむつ市街地に入った。

ふっと海を見ると海上自衛隊の戦艦が!

すごい!!かっこいい!!写真撮りたい!

 

急いでバイクを停められるところを見つけて、バイクを降り…ようとした時だった。

 

ガシャン!

 

ステップ出てなかったーー!

バイクと共に横倒れになってしまった。

とりあえず急いで起こして急いで写真を撮った。

ものすごいスピードで走り去る戦艦、すでにベストポジションは通り過ぎていた。ションボリ。

それにしてもいいもの見た!岩手じゃ見れなかった、というか多分初めて見た!

 

何もかも急いでいたため、バイクを倒した状況が把握出来ていなかったので、整理してみた。

【バイク】

・ミラーに傷…と思ったけど、前に着いたやつかもしれない。

・フロントフェンダーに傷…と思ったけど、これも前に着いたやつかも。

・マフラーにきz(略)

結論:大丈夫(ミラーの角度ひん曲がったくらいの被害)

 

【体】

・手のひら、膝打撲。まあ酷くない。

・どこを打ったのか不明だが、「えふっ」とむせる感覚がある。

・肩、腰、首、不穏…。

結論:要注意(明日が怖い)

 

もうほんとに旅中のぎっくりはご免被る。

なので、ドラッグストアでサロンシップ購入。

そして、帰る前に温泉に入ろう、さっきしこたま汗もかいたし。

 

ツーリングマップルを確認すると、帰り道の途中に石上温泉がある。

ここに寄って行こう。

 

鄙びた…というよりは、昭和を感じる健康ランドという風情。

地元の方々の憩いの湯のようだ。

 

見た目は、しじみ出汁みたいな白っぽいお湯なんだけど、鉄泉らしい錆のような匂い。湯船も鉄色に変色してる。

「熱かったら水足してね」と受付のおばさまに助言いただいていただけあって、極熱。

ほんとに10秒も耐えられない。

もう言葉に甘えて、蛇口全開でジャージャー水出したけど、次々と流れ込む源泉のおかげで全然温くならない。

蛇口の際で冷やしながらかろうじて浸かる。

 

すっごい暖まる~~~!!!!

温度が熱いからだけじゃなく、お湯自体もかなり効く。

これなら明日も何とか乗り切れるかも。

 

サロンシップを張りたいのに汗引かなくてちょっとゆっくりした後、外に出たら、まさかの雨。

 

雨予報じゃなかったじゃないかぁ(泣)。

雨に打たれないなんて雨女には無理なのか…。