三千里の前の峠はとても混んでいた。
京都市内に入れば車線が増えて幾分走りやすい。
たくさんの街路樹が木陰を作っていて、以前来た『大都会京都』とは印象が違った。
一度止まって地図の確認をしながら今日再会する友人に連絡したところ、目的地は『晴明神社』になった。
違わずに行ければ後30分くらいで到着する。
細い路地に入り、踏切を超え、最初の左折。
大きな通りにぶつかったら右折。
京都御所を通り越したから、後は左折すれば到着だ。
どこだ~どこで左折だ~…。
あれ、随分行くなあ…。
このざわざわした感覚は、道を間違えている。
グーグルマップで現在地を確認したところ随分通り過ぎている。
でも京都は碁盤の目になっているので左折左折していけば着く!
では左折、左折…ん?ん?あれ?ああ、ここ直進ね。
で、左折ーっと…あったーーーーー‼‼
到着まで約1時間。大変お待たせして申し訳ない‼
燦然と輝くスキンヘッドに、全身革で黒光り。
その出で立ちとは対照的な笑顔の、流山RHのハギーさん !
お待たせしました!
時間がもうギリギリだったので急いで阿倍晴明を祀る『晴明神社』へ入る。
滴る水には、病気平癒のご利益があって飲むこともできる。
五芒星が強烈。
境内はいたるところに五芒星が散りばめられていて、独特の雰囲気が漂っている。
撫でくりまわして厄除け!ついでに私の中の邪悪な物もいなくなれー!
行って戻ればいいのか…?と行ったり来たりしてみたけども、
本当は「戻る」のが良くない嫁入りやお葬式の時は通らないのが習わしなそうな。
しまった。何度も「戻って」しまった。
私が迷子になったせいで参拝時間がもう終わり。
まずは一息入れましょうということで、本日のお宿へ。
京都といえば、そう!「ボーダー」です‼
また来れるなんて嬉しい‼変わってない!懐かしい!相変わらずの居心地!
おじさんもお変わりなく、安心しました。
パッキングを解いたり、先客さんに挨拶したりおじちゃんと話したりでまったり。
前に来た時にゴロゴロしてたせいもあって、どうもスイッチがOFFになってしまう心地よさ。
とりあえず今日はもうどこかに遊びに行ける時間ではなかったので、ハギーさんオススメの銭湯へ一っ風呂浴びに浮かう。
「ボーダー」のある下町の町屋は、思い描く京都の姿そのまま。
そんな下町の通りを、夕方、ゆっくり歩きながら銭湯に向かうなんて、極上の贅沢。
まるで道後温泉や竹瓦温泉の様な歴史ある佇まいなのに、ひっそりと下町の裏路地にある。
中に入れば、銭湯然たる銭湯。

みんなが考える銭湯をそのまま具現化したよう!
浴場には地元のおばちゃん達のおしゃべりがこだましてた。
熱めの湯は、今日の汚れも疲れもリセットしてくれた。
湯上りにそのままちょっと歩きながら街散策していたら、素敵なお店を見つけてしまった…。
提灯には「はも」の文字。
しかも晩酌セットがビール×2+2品で¥1,000て!
「いいねえ~…入っちゃう?」
「入っちゃおう!」
なだれ込むように入店。ビーーーーール‼‼‼
実は私、京都らしいお料理ってちゃんと食べたことない。しかも鱧好き。
期待はMAX。
と。その前にまずは乾杯☆
ハギーさんは、日本一周の復路、鹿児島のライダーハウス垂水で初めましてしてから、
直後の阿蘇ライダーハウス、ねぶた、帰宅後は様々なイベント、沖縄行く途中に宴会したりと、
何かと声かけてくれたりお世話して(甘やかして)くれる兄さん。
大体は、ベロベロになるまで酒盛りしており、「ベロベロにならないなんてちんじゃない!」と声高に主張されております。
ただまあ、昨日は関塾の石垣屋で飲み過ぎて今日はひどい二日酔いだったらしいので、まあ様子見しながらかな…なんて、まあ後から考えれば甘かった。
今日もぶれることなく旨いビールに、京都の鱧料理でまあご機嫌。
骨せんべいはつまみにピッタリ。香ばしくって手が止まらない。
「鱧旨い!」と感激していたけど、お店の人曰くまだ時期に少し早いらしい。
旬になれば、もっともっと脂が乗ってくるそうな。
そう言われれば淡泊な口当たり。
そっか~もっと旨いのかー…。それは是非食べたい所。
とってもおいしいお料理でご機嫌指数がダダ上がり、どんどん酒が進んできた。
サービスで油揚げと厚揚げの煮びたしが出てきてしまって、これがまた旨くて、
晩酌セットの制限を超えて日本酒にまで手を出した。
すでにうひゃひゃ状態で、帰り道にあるおなじみのスーパー「フレスコ」で酒を購入。
したが、もう一軒。
ここでも晩酌セットがあったのでそれをチョイス。
京都ではがんもどきを「ひろうす」と言う。
もはや浸透しすぎていて地元では当たり前の呼び名だそうだけど、
違う地方から来たならば「え?何これ?」という謎の料理名。
面白いなあ~。
私はすでに「飲むモード」に突入しててあまり食べられなかったけど、店の雰囲気からおでんから、もう大好物で堪らない。
うひゃうひゃひゃっはー!状態でボーダーへ帰還。
本日の宿泊者たちは勢ぞろい。
てなわけで3次会開始ーーー‼‼
若者多数、同世代、先輩世代も居て、なんて楽しいんだ!

ふと、旅人と話していて、私は少しこなれた感じになっているなあ…と酔っぱらった頭で感じた。
それが良いか悪いかわかんない。
以前と比べて、感じ方が変わったけれどそれは多少なりとも経験したからで、
経験すること自体は何も悪いことじゃない。
経験を盾に驕ってはだめだけど。
こなれたおかげで楽しめることもあるし、線も引ける。
引っ込み思案にならずに話もできる。
だけど、それでも私は最初の旅の感覚を忘れたくなくて、少し違和感を覚えた。
…とふやふや考えてたけど、そんな物思いなんか今いらん!てくらい酔っぱらってきて、視界は回転中。
あれぇ?なんか気づいたらこれ、俗に言う「ベロベロ」ってやつじゃないの…?