金沢市を後にして、しばらくは高速のごとき8号線に乗る。
風が恐ろしく強い…
町中に入り、混んできた。
私の頭の中はどうすり抜けしてやろうかしかなかった。
表情は限りなく『無』。
楽しいとか『無』。
しかし福井との県境に入ると街が切れて山の間。
一瞬だけど、太陽も出た。
ようやく顔を上げて深く呼吸した。
広葉樹が若々しい葉を広げてたなびいてる。
はあー、生き返った。
街を走ったり山を走ったり、ひたすら南下を続けた。
敦賀に入り、氣比神宮へお邪魔する。
とても立派な鳥居。圧巻。
厳かな空気の中に、木々に守られてなんとも穏やかな境内。
新発田の(故)クロちゃんオーナーからの紹介だったが、良かった。
正面より左側にある九つの社が並ぶ「九社の宮」はとても静かなたたずまいで、
背筋が伸びながらも、ひっそりとした穏やかさで息を飲んだ。
入り口の大鳥居より真っ直ぐに進むと池があって、鯉が悠々と泳いでいた。
観光客がたくさんいても、時間の流れ方が違うかのようにゆったりとした空間だった。
流されるように、ぼんやりと佇んでしまった。
氣比神宮の前は大きな交差点。
ゴールデンウィークに突入しただけに、おっそろしくバイクが多い。
みんな銀マットを括り付けているところを見るに、キャンプですな?!
ワクワクしてるのが伝わって、私もワクワク♪
行くぜ!相棒!
駿河の街を通り抜けて、滋賀県まで一直線!
あの海みたいなでっかいものは、琵琶湖さんではありませんかー‼
ヒャッハー‼
風 「ビュオオオォォオオオオオオ‼‼‼‼‼」
ギャアアアアアア‼‼‼‼
ちょっと高いところにある国道はもろに風の煽りを受け、バイクが横に流れる。
やめてやめてええぇ‼
荒ぶる風に翻弄されて、思うように走れない。
こんなの初めてってくらいの突風に、あわや転ぶところだった。
湖沿いだからか?
夕べバーの先客さんに教えてもらった『鯖街道』へ入るため、琵琶湖を離れる。
これ、あってる…?結構進んでるけど、道がドンドン細くなってるわよ…?
と不安になったあたりで『鯖街道』国道367号とぶつかった。
川沿い、杉林の中を通り抜ける。
とても立派な杉…。
花粉症じゃなくて良かった。
木と土の匂いが心地よくて、肺がはち切れんばかりに吸い込んで堪能。
それにしても、湖を離れたって風が強い。
どうにも疲れてしまったから道の駅くつき新本陣にて休憩だ。
恐るべし台数が並ぶ道の駅。
その裏手にある川がまた最高に気持ち良かった。
新緑が作る木陰は優しくて、ついウトウトしてしまいそうになる。
そして太ったせいで、尻のポッケに入れている財布がめり込んでとっても痛いので、ちょっと長めに休憩。
十分に休憩して出発。
混み合いながらも、川を沿う道は気持ちがいい。
ひときわ広い河原には、隙間もないほどびっしりとテントが張られていた。
その数三桁はあるだろう。
テント離れたら見つけるの大変そうだ。
そんなレジャースポットを横目に走り続けていると、趣のある建物が次々と現れた。
合掌造りかな。屋根の角度を見るに、ここでも雪がたくさん降るんだろう。
わずかな区間ではあったけど、タイムスリップしたような空間。
相変わらず吹き荒れる風にうんざりしながら、ついに京都に入った。