とっても良く効いてた抗生物質。

なのに止めなきゃならない。

耐性菌に感染してしまわぬ様にと、体に耐性が出来てしまわぬように。

これは通常の手順らしかった。

抗がん剤投与が終わって一週間、

この抗生物質のおかげで、わりと調子の良い日が続いていたから、

止めて欲しくないけど仕方ない。

翌日から容体が変わるかも…と全員覚悟していた。

けれど、翌日も翌々日も熱は上がらなかった。

物凄く安心した。

このままでいけるんじゃ…?


9月25日

休日だった私は、昼まで、眠れもしないのに布団でゴロゴロしていた。

すると隣の部屋に居た姉の声が。

「お父さん、39、6!!」
母からメールが来た様だった。

飛び起きて、着の身着のままで二人病院に向かった。

お互い口には出さなかったけど、かなり覚悟をしていた。

そうとう衰弱してるだろう。

そこに、決して動揺しない様に。

病室に入ると、アイスノンを目の上に乗せた父が、私たちに気付いて頬を少し上げた。

顔色は蒼白なのに浅黒くもあった。

でも熱が上がりきったのか悪寒は無かった。

私たちは動揺せずに、いつもの調子でいれた。

「今が頂上だよ。後は下山して下がるだけ。」

今までの入院生活でたくさん観察してたから、父の顔色や表情で、何となく熱が上がったか下がったか分かるようになってた。

「観察されてるよ~」なんて、おどけてたけど、熱は下がらずついに40°。

さすがにナースコール。

熱さましの錠剤をもらった。

これで下がってくれ…!!

「ちん、休みなのに悪いね…」

って、お父さんは言うの。


結局、熱が下がらないうちに、母に「もう今日はこのままだから、いいよ。」って言われて病院を後にした。

その後、37°まで下がったと連絡があった。



26日

朝に熱発したらしいけど、私が行った時には薬を貰って落ち着いていて、血しょう板の輸血を受けていた。

少し痒みは出たけどアレルギーによる発熱も無かった。

最近、血しょう板で酷いアレルギーが無くて安心してる。

仕事は今日も休み。

父のお友達がお見舞いに来てくれたり、時間があっという間。

夕ごはんの時間になった。

口の中が炎症を起こしてるから食べるのも大変だけど、
おかずはほとんど残さず食べたし、残しそうだったお味噌汁も食べた。

よしよし。

歯を磨いて寝る支度万全な辺りで、家に帰った。

疲労困憊の母に、夕飯を作って、
一緒にいい香りの紅茶を飲んだ。

休みの日じゃなきゃ私自身に余裕が無くて何も出来ない。

少しでも。


そして今日。

お腹痛いな~…って思ってたら、生理。

しかも久々の超ド級。

何にも出来ない!

せっかく昨日早く寝たのに!!

戻しそうになりながら病院に行った。

そしたら、母の兄がお見舞いに来てくれた。

母はきっとすごく安心しただろう。

「良かったね」って言いたかったけど、涙が込み上げて来て言えなかった。

父は37、5の微熱があり、頭が痛いと言ってた。

「毎日何かあって楽しませてくれるよ」って皮肉ってた。

でも、白血球も順調に減ってる。

薬が効きにくい部類の白血病なのに、順調。

…こりゃ寛解するな。

するに決まってる様なもんだ。

父ちゃん頑張れー!!