昨日とは打って変わり、どんよりした空模様。

春爛漫な暖かさも一日しか持たなかった。

今年に限って、春が遅い。

ほぼ恒例の、『春のドカ雪』もまだだけど、今年も来るのかな…。

天気のせいか、ボランティアの現場も少し暗い気がした。

遅くまでかかる事もあるけど、今日はきっかりに終わったから、少し走る事にした。

何となく何となく、車通りに流されて走っていたら、
『つどいの森』というキャンプ場の側に来たから立ち寄った。

季節柄なのか震災があったからか、人の気配が無く、ひどく寂しい様相。

松林に広がるサイトを歩いていたら、水音がしたから呼ばれてみた。

サイトの奥に小さな川を発見。

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でもひどく人工的。

そして水が薄黄緑。

はて、温泉近くにあったかな…。
あるっちゃあるが、匂いはしないから、ただ汚いだけかな…。

そこに一陣の風が吹く。

その風に乗って、上流の風上から薄黄緑色の煙が流れてきた。

カスケード

不思議に思った私はその煙の正体を調べるべく上流へと歩きはじめると、すぐに発生源を見つけた。


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まさに鈴なりになった杉花粉。

風が吹く度に濛々と舞っている。

私は花粉症じゃないけど、こんなに吸ったら発症しかねない。

あの川の色は花粉の色だったのか。

急いでその場を離れた。


また松林のサイトを通り、キャンプファイヤーのサークルで一休み。

松の香りが濃い。

整備のせいかたくさんの松が切り倒され、生木の丸太が転がっているからかもしれないな。

それにしても寂しい。

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バイクに戻ってまた走り出す。

少し遠回りしながら市内へ帰ってきた。

太陽が見えないと空気も冷える。

顎が痛い。

偶然のフリをして素敵なあの人の職場の前を通り過ぎる。

きっと今日も、柔らかな物腰と裏腹なキリッとしたスーツ姿で働いてるんだろう…。

こんな時だから?
こんな時なのに?

肉親ではない誰かに寄り添いたい。

依存では無く、お互いの存在がお互いを形作る、人生の伴侶として。

まあ彼にとって私は、その他大勢にすぎないんだけど。


回り回って、結局ボランティアの場所まで一周してしまってた。

そこから自宅に向かうまで、走りながら
「時間が戻せないだろうか。」
と考えてた。

ドアを閉じてずっと考えた。

もし戻れたら、どうやってみんなに伝えよう。

誰が信じてくれるだろう。

何か証拠の動画を持って行ければ、政府も動くだろうか?…いや、それはないな。

じゃあ自治体に直接…いや、それも厳しい。

ならば、宣伝カーに乗って放送しまくれば、地震が来た時点で信じて貰えるかも!

少なくとも、今より被害は少なくなるな!

でも、不測の事態もあるだろうし…

ってとこまで考えて、不毛な妄想だと気づく。

そうか……

時間は戻せないんだった…

時間は常に一方通行で流れる川の水。

滞ったように、その水面に花粉を浮かべてみても、
後から後から流されて、花粉が尽きれば透明感を取り戻す。


もうどんどん流れてる。

はっきりと目に見えなくても、花粉の濃度は薄くなってく。



そして記憶という海原に流れ着く。

この逆流の無い海原に埋没されてしまないように、ずっとずっと春を求めます。


芽吹きの春を。