キターーーーーー!!!
この日がキタヨーーーーーーーーーーー!!!!
缶ビール500ml6本パックと、岩手のオヤジたちのソウルフード鷲の尾の一升瓶を抱えて、
私とミサトちゃんは新幹線に飛び乗った。
さらに乗り換え、電車を乗り継ぎドンブラコ。
到着したのは千葉県流山の河川敷。
本日は、この河川敷にて一大イベントが開催されているのだ。
何グループかバーベキューを楽しんでいるが、あの、一際大きなグループ…
きっとあれだ!だって傍にバイクも停まってる!
転びながらも駆け寄っていくと、久しぶりのメンツや、始めましてのメンツが入り乱れていた。
そして、今回のイベントの主催者おなじみハギーさんが、何故かドレッドのズラで登場。
「ちんちゃん通り過ぎちゃうんだもん!」
いや、普段がほぼスキンなんだもの、気づかないわ!
あらかた挨拶して回って見回すと、バーベキューが終りかけている。
みんな心なしかまったりしているし。
今日のメインイベントは、もう終ってしまったのか…?
「まだやってないよ!」
いよっしゃ!!!

その時は、おしゃべりに興じていたらすぐに来た。
今日のメインイベント・・・。
それは世界一と名高く、世界一がゆえに野外での開催とせざるを得なくなったという一品。
知る人ぞ知る、その名も、『シュールストレミング』。(通称『シュール君』)
いったい何が世界一かと言うと、ニオイ。
そのニオイが、野外開催の所以である。
私、きっと吐くわ?
常に醗酵中のシュール君、缶切りを入れた瞬間世界一の液体が噴出す可能盛大。
いやだ…。私は遠巻きに見るんだい。
しかし意外と多い開封希望者。じゃんけんで決める模様だ。
「ちん!せっかく遠くから来てるんだから参加しろ!!」
ぎょへっ!!
不本意ながらじゃんけんに参加。そして即効で負けた。(良かった…)
本日シュール君は2個用意されている。
1つは普通に保管されたシュール君。
もう一つは、今年の夏ハギーさんと一緒にバイク旅をしてきた、パンパンに膨らんだシュール君・・・。
まずは普通の方を、じゃんけんの勝者が開封。
私は風上から遠巻きに見ていたが、風下の人たちが「くせーー!!」と叫びだす。
え、こっちは全然平気よ?と恐々クンクンしてみたら……
「っぐおえ゙ぇ!!!!」
鼻にニオイが届いた瞬間えずく。
もんわりした腐敗臭なのに、鋭い!!
しかしこれはまだ序の口。
ついに、バイク旅を終えたパンパン君に缶切りが入る…!
風上に立ついくじなしな私。
「うわああああ!!!」
側で見てる人垣からどよめきが起こってる。
口で呼吸しながら覗いたら、世界一の汁がブシューっと吹き出して、
栄えある開封者の手にドプドプかかっている!
うひぇ~………ナイス体験
なんとこのパンパン君、蓋を開けてみると中身が醗酵して溶けて無くなっていた!
そしてもはやどこに居ても漂っているシュール臭。
「うぐぅえっ!!」
止まらぬ吐き気、連動する鳥肌。
何度もニオイから逃れようと離れる私と裏腹に、食しているツワモノたち…。
でも、あの人マジゲ○してんじゃない…?うずくまって動きませんけど…。
私はもう口に入れる勇気なんてこれっぽっちも無かった。
なのに、食したツワモノたちが、「せっかくなんだから食べてみなよ!」と囃し立てる。
う、ううむ…じ、じゃあ舐めるだけ…。
意を決して、どろんどろんになってる汁に箸を付け、口に運んだ。
舌に触れた一瞬しょっぱい味を感じ、ニオイを認識するより先に身体が反応した。
「ふぐっ、、、」
駆け上がってくる内容物を必死で堪えながら少しでもみんなから離れようと走った。
走って、離れた所で、一人、一口ゲ○をした…。
きょ、強烈。
私がくたばった後もシュール狂乱は続く。
(押さえつけられて食べさせられているハギーさん…。ご愁傷様…)
世界一のフィニッシュは、旅中落ちてた鯖を拾って食ったという伝説の持ち主が、グイグイと飲み干していた。
おみごと~~ヒィィ!
シュール狂乱後はみんなシュール君のニオイが漂う。
気を抜いてるとシュール臭い手を嗅がせてきたり、シュール臭い息を吐きかけてきたり。
やめてくれーーー!!!!
私は本気で走った。
これが、世界一の体験である。
【続く】