レイトショーが終わったあとの街は、昼間よりもずっと正直だと思う。
ネオンは少し疲れていて、
人の顔は影が多くて、
それでもなぜか安心できる。
吸う彩度の「レイトショー」は、
そんな“夜の本音”を音にした曲だ。
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レイトショーという逃げ場所
この曲にあるのは、
夢とか成功とか、そういう大きな話じゃない。
今日がうまくいかなかったこと。
誰にも言えなかった気持ち。
終電を逃しても、少しだけ許される空気。
「レイトショー」は、
現実から逃げるための場所じゃなくて、
現実をそのまま持ち込める暗闇だ。
吸う彩度は、その暗闇を怖がらない。
むしろ、ちゃんと座らせてくれる。
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感情を言い切らない音楽
この曲は、
「こう思え」「こう感じろ」と言ってこない。
曖昧で、少し濁っていて、
でもやけにリアル。
それはきっと、
10代の不安にも、
大人になりかけの迷いにも、
同じ温度で触れてくるからだ。
聴いているうちに、
自分の感情なのか、
曲の感情なのか、
わからなくなってくる。
それが心地いい。
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吸う彩度というバンド
吸う彩度は、
派手な言葉や強いメッセージで殴らない。
代わりに、
夜の帰り道にそっと並んでくる。
無理に前を向かせないし、
立ち止まることも否定しない。
「レイトショー」は、
そのスタンスが一番きれいに出ている曲だと思う。
誰かの人生を変える、
なんて大げさなことは言わない。
でも、
今日を終わらせるための音楽として、
これ以上ちょうどいい曲は、なかなかない。