静かな砂浜。
水平線に消えていく夕陽を眺めながら。

一緒にいたいことと一緒にいることは
当たり前のように別物で、

一緒にいるということは
いつかくる別れの辛さに耐える覚悟を決めることだと思う。

そいつに耐えることを考えれば
一人でいる寂しさなんて大したことではない。

それでも気の迷いで、覚悟なんか決めることもなく、
また誰かと一緒にいたくなってしまう。

一緒にいたいだけじゃダメなのに。
一緒にいたいだけで一緒にいられた頃が懐かしいな。

会えた時はいつだって
あんなにも嬉しそうにキスしてくれたあの子が
突然目の前からいなくなってしまうこと。

また会えたらいいなって思うけど
会ったらまた苦しくなってしまうから
会いたくないかもしれないなとか考えてしまう。

いま会える人たちのことを大切にすれば
少しは僕に許してもらえるだろうか。

それで、大切にすればするほど
「なんだ、僕はこんなにも大切にできるんじゃないか」
って気づいて、
「どうして同じくらい大切にしなかったんだろう」
って思う。


向こうの方で誰かが楽しそうにしている。
それがやけに遠く感じる。
走って、笑って、転んで、笑って。

誰かといれば失敗だって笑い話にできるんだな。


でもあの人たちだっていつか気づく時が来るんだと思う。
もう気づいてるのかもしれない。

必死に目を背けているだけ。
もしかしたら乗り越えた人たちなのかもしれないけど。


寄せては返す大波小波。

砂に書いた文字をさらわれた僕は
その場に立ち尽くすことしかできない。

いつかこの気持ちも連れ去られてしまうかもしれない。
だったらもう、あれもこれも波打ち際に置いておくから、
全部持っていってくれたら嬉しい。
ついでに僕も。
記憶を抱いたまま深い海に沈んでいけるならそれがいいね。

太陽は飲み込むくせに。

おしまい。