腎不全とは?
腎不全(じんふぜん、英Renal Failure)は、腎機能が正常時の50%を下回った状態。または症候。治癒の可能性が比較的高い急性腎不全と、大半は不可逆状態に陥る慢性腎不全に大別される。
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腎不全の定義
腎不全の分類
・急性腎不全(Acute Renal Failure:ARF)
・慢性腎不全(Chronic Renal Failure:CRF)
腎機能が低下する原因としては、免疫系の異常や薬に対するアレルギー、高血圧、糖尿病など(以上、慢性腎不全)や、出血や急激な血圧低下、感染症、熱傷に伴う脱水(以上、急性腎不全)など複数の因子があげられ、疾患の種別も原因別に細かく分類されるが、慢性腎不全を含め最終的に透析治療が必要になる腎機能疾患全般を総称し、慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)とする疾患概念が、日本腎臓学会から提唱されている。
腎不全の治療
急性腎不全の場合、腎機能低下の原因を取り除きつつ水分及び血中老廃物の過剰蓄積を防ぐことで、比較的高率な治癒が期待できる。一方、慢性腎不全は、早い段階で異常が発見できた場合に限り、(1)糸球体の機能を低下させるIgA抗体などの免疫を薬物で抑える、(2)塩分やたんぱく質などの摂取量を制限する、(3)抗体の生成と密接な関わりのある扁桃腺を除去する…などで、症状の進行を抑えることが可能。
それでも腎機能の低下が止まらない場合、あるいは腎機能障害発見時に既に不可逆的状態に陥っていた場合、尿毒症の症状が顕在化してくると人工透析治療が必要となる。
透析療法には、血液をいったん体外に吸引して透析装置で濾過し、再び体内に戻す血液透析と、患者の腹腔内に2リットルほど の透析液を注入し、体内で継続的に血液の濾過を行う腹膜透析の2通りがあり、我が国で主に行われているのは前者の治療法。
後者は血液透析と比較し、患者の拘束時間が圧倒的に少ないというメリットがあるが、患者自身や家族が腹膜内の透析液交換を行わねばならないため、雑菌混入等による腹膜炎を起こしやすく、長期にわたると腹膜そのものを傷める可能性がある。
その他、腎移植がある。ただし、日本では比較的この治療は行われていない。
慢性腎不全の病態
病期は第1期~第4期に分けられる。
・第1期(腎予備能減少期)
GFR(糸球体濾過値)が正常~50%の間に減少した時期であるが、生体の恒常性はほぼ正常に維持されており、無症状である。
・第2期(代償性腎不全期)
GFRが、50~30%に低下し尿濃縮機能の低下、軽度の高窒素血症、軽度の貧血を認める 。
・第3期(腎不全期、非代償期)
GFRが30~5%に低下し、高窒素血症、等張尿、夜間尿、代謝性アシドーシス、低Ca血症、高P血症、低Na血症などが認められる(糸球体濾過量が30ml/分以下に低下した状態が続くものを言う)。
・第4期(尿毒症期、末期腎不全)
GFRが5%以下となり、多彩な症状(尿毒症症状)が出現し、放置すれば死に至る。
慢性腎不全の臨床像
・第1期(腎予備能減少期)から見られるもの
・第2期(代償性腎不全期)から見られるもの
・第3期(腎不全期、非代償期)から見られるもの
・腎性貧血
腎性貧血は、腎不全が原因で起こる貧血。
・病態
腎臓は赤血球を作るホルモンであるエリスロポエチンを作っているので、慢性腎不全ではエリスロポエチンが不足して正球性正色素性貧血になる。
・高リン酸血症 : 糸球体濾過量の低下による。
・低カルシウム血症
高リン酸血症に反応した二次性の高副甲状腺ホルモン血症による事と、腎臓でのビタミンDの活性化障害による低ビタミンD血症による事との、二つの理由による。第3期から発症する。
・第4期(尿毒症期、末期腎不全)から見られるもの
・浮腫
・尿毒症
尿毒症は、尿毒素による症候。
症状
・呼吸困難
尿毒素は不揮発性酸性物質なので、代謝性アシドーシスを来たす。ホメオスタシスはアシデミアを回避するために呼吸を用いて代償しようとするために、呼吸が激しくなる。
・腎性貧血
エリスロポエチンの産生低下による正球性正色素性貧血を来たす。
・肺水腫
水分の排泄障害から体液の増加を来たし、循環血漿量の増加からうっ血性心不全を来たし、心不全から肺水腫に至る。心障害から至る肺障害を心性肺と言う。
・中枢症状
尿毒素による神経障害から、意識障害、頭痛、等を来たす。
・線維性骨炎
線維性骨炎は、副甲状腺ホルモン(以下PTH)が過剰になることで骨が粗鬆化する病気。
病態
腎不全ではリン酸の排泄が停滞して高リン酸血症となる。血中に溢れたリン酸は血清カルシウム(以下Ca)を抱き込んで析出して組織に沈着するので、低Ca血症を起こす。また血中Ca濃度を高めるホルモンであるビタミンDは腎臓で活性化されるので、腎不全ではビタミンD不足にもなる。高リン酸血症とビタミンD不足の両方の原因によって慢性の強力な低Ca血症が続く。すると血中Ca濃度を高めるホルモンであるPTHが常に出続けて高PTH血症となる。PTHは骨からCaを血中へ吸収することによって血中Ca濃度を高めようとするので、骨からCaが吸収されすぎて骨がスカスカになる。
検査
・X線写真
X線写真では骨嚢胞(こつのうほう)が見られる。これは、PTHによってCaが吸収された結果骨に嚢胞状の空洞ができた所見。

