元日に起きたマグニチュード(M)7・6の能登半島地震は、M7・3相当の二つの地震が震源域近くでわずか13秒差で発生した可能性があることが、京都大防災研究所の解析でわかった。1回の地震と比べ、地震のエネルギーは約2倍に増大したと推計される。最初の揺れが収まる前に2回目の地震が起き、1分程度の激しい揺れとなって甚大な被害につながったとみられる。

 今回の地震について、政府の地震調査委員会は15日、「複数の断層帯が連動した可能性が高い」との見解を公表。京大防災研の浅野公之准教授(強震動地震学)らのチームは、複数の断層がどのように連動したのか、地震計で観測された波形データを基に推定した。

 その結果、震源となった石川県珠洲すず市付近から南西方向に延びる断層が1日午後4時10分過ぎに動き始めて地震が発生。その13秒後には、震源付近から北東方向に走る断層が動く別の地震が起きていた。

 2回の地震はいずれもM7・3相当と推計され、1回目の揺れが収まる前に2回目が発生したことで激震となったという。チームは、1回目の地震で半島沿岸部の隆起が起き、2回目の地震が津波の主な原因となったとみている。

 2回連動した地震の4分前には、M5・5の地震も起きていた。

 最初の地震が引き金となり、別の断層が動いて地震が連続する現象は「連動型地震」と呼ばれる。2011年の東日本大震災では少なくとも三つの断層が連動し、M9・0の巨大地震になったと考えられている。

 チームは今回の解析結果を地震調査委に報告。浅野准教授は「規模が大きくなる連動型地震は他の地域でも起こりうる。現地調査で詳細を突き止め、対策の強化につなげたい」と話す。





 能登半島地震の発生から1カ月となるのを前に、地域防災に詳しい金沢大の青木賢人准教授(自然地理学)が29日、オンラインで記者会見し、過去の地滑りで形成された「地すべり地形」が、多数の集落を孤立化させた要因の一つだと述べた。

 能登半島では一時、4市町24地区で計3345人が孤立状態となった。青木氏によると、半島北岸地域は比較的平らな地すべり地形が広範囲に分布しており、農耕地として集落が形成されてきた。恒常的な降雨に加えて冬は雪も多く、「土壌が常に湿った状態。強震動で同時多発的に地滑りなどが発生し、道路を寸断した」と分析した。

 3方向を海に囲まれた半島の特徴が救助、救援活動などの初動を遅らせたと指摘し、「南海トラフ地震では伊豆半島や紀伊半島などで同様の問題点が考えられる。孤立化することを前提とした防災計画づくりを考えてもらいたい」と訴えた。


















 




 








“掃除や充電ができる”停電解消も…始業式“3週間遅れ”トイレはバケツで「一番大変」 













「やっと生活のめどが」石川は1月中に電力復旧か 「港がなくなった」海岸隆起で漁は再開できず