高齢者200人以上を被災施設から移送 能登半島地震 停電・断水、職員も疲弊で高齢者の健康状態悪化が懸念 






被災地で活動する日本赤十字社の職員らが12日、金沢市内で会見し、現地の状況を報告した。各地の避難所では体調を崩す被災者が増加しており、災害関連死を防ぐ支援の充実が急務と訴えた。

日本赤十字社の救護班は地震発生直後から被災地入り。石川県輪島市、珠洲市などを拠点に避難所の巡回診療などを担っている。

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院の稲田眞治医師(58)は感染症が目立ち始めている状況を報告。発熱患者が増加傾向にあるが、多くの避難所は衛生環境が整わない状況が続いていると危機感をあらわにした。稲田氏は「床に段ボールと毛布を敷き、寝起きしている方も多くいる」と説明。「肺炎などに進展していないかの診察が多くなるのではないか」と語った。

持病を持つ高齢者も多く、災害関連死への懸念も高まる。一般の避難所には介護が必要な高齢者が身を寄せるケースもあるほか、見ず知らずの人らが集まる空間では周囲の目が行き届かず、容体変化が見過ごされる恐れも捨てきれない。

心のケアも課題だ。トレーニングを受けた看護師が巡回活動も行うが、被災者らは「ストレスや(震災の)トラウマといった現実にも直面しつつある」という。稲田氏は「癒やすことができない悲しみの中で生活環境が悪ければ、心はだんだん傷ついていくだろう。聞き取りをしながらメンタルケアも提供していきたい」と話した。(三宅陽子)