警察庁は22日、電子マネーカードをコンビニエンスストアなどで購入させる手口の特殊詐欺被害(未遂を含む)が2023年1〜11月に3055件あり、18億5700万円がだまし取られたと発表した。通年で見ても、統計のある16年以降で認知件数、被害額とも過去最多を更新した。9〜11月の被害の9割以上はアップルのカードが占めており、警察庁が注意を呼び掛けている。

 警察庁によると、被害が増えているのは、架空の料金請求などを装って電話をかけ、支払い名目で購入させた電子マネーカードに記載された番号を聞き出すなどして現金を詐取する手口。こうした手口の被害のうち、アップルのカードの割合は今年2〜6月は5割超、7〜8月は7割超となった。それ以降は、9月211件(被害額1億1900万円)▽10月297件(同1億7000万円)▽11月270件(同1億6500万円)。

 警察庁は、犯人グループがスマートフォンやタブレット端末などを転売して現金化するため、こうした商品を購入しやすいアップルの被害が増えているとみている。何度も買うなど不審な場合は店員が購入者に詐欺の可能性があることを伝えるなどの対策をとるよう、コンビニ業界に求めているという。

 一方、特殊詐欺に国際電話番号が悪用されたケースが7月から急増し、11月までの5カ月間で計1万602件に上った。月別では、7月969件▽8月1083件▽9月2192件▽10月3458件▽11月2900件。米国・カナダからの発信を示す「+1」で始まる番号が多く、英国の「+44」やノルウェーの「+47」などもあった。番号が「050」で始まるIP電話について契約時の本人確認を義務化する方針が6月に決まったことから、国際電話を装う手口へ移行しているとみられる。

 国際電話の発着信は、通信大手が共同運営する国際電話不取扱受付センター(0120・210・364)で無償で休止できる。

 1〜11月の特殊詐欺被害額は約382億4000万円で、既に22年通年の約370億8000万円を上回っている。【松本惇】









 
 福岡県警は19日、県内のニセ電話詐欺の被害額が今年、10億円を超えたと発表した。高齢者が固定電話を介して被害に遭う事例が目立つといい、詐欺防止のため、電話機への防犯機能導入を呼びかけている。

 県警生活安全総務課によると、11月末現在の被害額は10億4210万円で、前年同期と比べ約2億5千万円増えた。2020年に約3億9千万円まで減ったが、その後は増加傾向。10億円超えは、約12億4千万円だった17年以来という。

 認知した被害件数のうち、65歳以上の高齢者の割合は約7割の341件で、被害額は約7億8千万円。被害に遭った高齢者の約7割が固定電話を介しており、その手口による被害額は約6億円に上る。

 県警は「特に固定電話が危ない」と強調し、防犯機能を高めるよう訴えている。例えば、NTT西日本(0120・931・965)で70歳以上は無料で利用できる「ナンバー・ディスプレイ」や「ナンバー・リクエスト」、ケーブルテレビ回線の固定電話を使う65歳以上を対象に一定期間無料にする「迷惑電話自動ブロック」の申し込みなどを勧めている。(前田伸也)























ワコールとミズノの偽サイト注意=「店舗よりお得」で粗悪品販売―消費者庁