「身に覚えのない高額な請求をされた」「高額な飲食代金を請求され、払えないというと風俗店で働けと言われた」など、ホストクラブ関連のトラブルが相次いでいるとして、東京都が注意を呼び掛けています。高額請求や多重債務に困った場合は消費者ホットライン(#188)や東京都消費生活総合センター、自治体の無料弁護士相談などに、脅迫や暴力での取り立てを受けた場合は警察に相談することを勧めています。

【画像:東京都が注意を呼び掛けている事例を見る】

 東京都は、ホストクラブ等で過度な売掛金(ツケ)を返済するため、女性客がやむを得ず売春に手を出すといったトラブルや被害が相次いでいると発表。予期せず売春や暴力事件などの犯罪に巻き込まれる可能性があるとして注意を促しているほか、女性や若者向けの相談窓口の案内も行っています。

 都に寄せられた相談をもとに作成したチラシでは、「マッチングアプリで知り合った男性がホストで、誘われて店に行ったら高額な飲食代金を請求された」「高額なシャンパンをホストに注文され、サインしないと帰さないと言われたので怖くなってサインをしてしまった」「娘がホストクラブにはまり数百万円を請求され、払わないと勤務先に取り立てに行くと脅されている」といった事例も紹介しています。

 
ホストクラブ等に関連したトラブルについては、消費者庁も11月末に「一部の悪質なホストクラブなどにおいて、従業員であるホストが、若年女性の好意を不当に利用して、飲食などの提供を受ける契約を結ばせる事例が報告されている」として注意喚起を行っています。

 消費者庁では、ホストクラブなどにおける飲食などの契約も、好意の感情を不当に利用した「デート商法」に当たり得ること、不当な勧誘により締結した契約には取り消しの意思表示をすれば契約を取り消すことができる可能性があることなどをアナウンス。

 
消費者契約法による取り消しが可能かどうかを相談する先として、消費者ホットライン(#188)を紹介しているほか、相談内容に合わせた専門機関の窓口として、各都道府県の婦人相談所、日本司法支援センター(法テラス)、都道府県警察(警察相談専用電話は「#9110」)、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(#8891

)などを紹介しています。









 悪質なホストクラブによる被害が社会問題になっています。とくに問題になっているのが、高額な請求をして払えなければホストが立て替える「売掛」(ツケ)。ツケ払いによって多額の借金を背負わされ、返済をするために風俗店や売春などで稼がざるをえない女性が後を絶たない状況に陥っているのです。警視庁生活安全部公式のX(ツイッター)アカウント(@MPD_yokushi)が注意喚起しています。

【画像】ホスト店の高額請求はなぜ起こる 4コマ漫画でわかりやすい2ケース 具体的な事例も 実際の投稿

 ◇ ◇ ◇


「予期せず犯罪行為に巻き込まれたり、犯罪被害に遭う可能性も」


 初回は数千円で来店を促し、その後は言葉巧みに数十万円するボトルを入れさせる……悪質なホストの常とう手段です。その場で払えなければ「ツケでいいよ」と優しい言葉をかけ、気づけば請求額は数百万に。一般の社会人が一度で返せる額ではありません。支払えなければ、暴力を振るわれたり、路上で売春相手を探すいわゆる“立ちんぼ”をさせられたり……悲惨な末路が待っています。

 警視庁生活安全部の公式Xは「ホスト店での『売掛』、いわゆるツケ払いについては、気を付けないとあっという間に借金がかさみます。その額はだんだん高額になり、数百万円に。予期せず犯罪行為に巻き込まれたり、犯罪被害に遭う可能性も。過度な「売掛」には十分注意しましょう」と呼び掛けています。

 
意図せずに高額な借金を背負っていたというケースも少なくないようです。公式Xでは、以下のような具体例を挙げています。

・マッチングアプリで知り合った男性がホストで、店で会いたいと誘われて行ったら、高額な飲食代金を請求された
・ホストクラブで、高額なシャンパンをホストに注文され、サインしないと帰さないと言われたので、怖くなって仕方なくサインしてしまった
・ホストに囲まれて、高級シャンパンを勧められ、酔って覚えていない状態で最後は100万円を超える高額な支払いをクレジットカードでしてしまった
・ホストクラブで身に覚えのない高額な請求をされたので、明細を求めたが「明細はない」と言われた


 お金が払えないと、「勤務先に取り立てにいく」と脅されたり、「風俗店で働け」と言われたりするケースもあるようです。もしも困ったら、消費者ホットライン(188)や自治体の無料弁護士相談などに、悩まずまず相談しましょう。