世界気象機関(WMO)は27日までに、主要な温室効果ガスの2021年の世界平均濃度を発表した。二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)のいずれも観測史上最高記録を更新した。このうちメタンは前年から18ppb(ppbは10億分の1)増えて1908ppbとなり、増加量も史上最高となった。

 メタンはCO2に比べて大気中の寿命が短いが、1分子当たりの温室効果は大きい。CO2の世界平均濃度は2.5ppm(ppmは100万分の1)増えて415.7ppm、N2Oは1.3ppb増の334.5ppbだった。



 




 





 




 




 




 




 


 各国が現在掲げる温室効果ガス排出削減目標が達成できたとしても、世界の平均気温は今世紀末までに産業革命前から2・4〜2・6度上昇する恐れがあるとの報告書を、国連環境計画(UNEP)が27日公表した。2021年の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では気温上昇を1・5度に抑えることを事実上の世界の共通目標にしたが、実現が見通せない状況が続いている。

 報告書によると、21年の世界全体の排出量は過去最高だった19年(564億トン、二酸化炭素換算)を上回る可能性があり、現在の対策を続けるだけでは30年に580億トンに達すると予測される。1・5度実現には30年時点の排出量をこの予測値より45%減らす必要があるが、今後各国が対策を強化して目標通りに削減が進んでも5〜10%しか減らすことができず、1・5度に向けた道筋と大きな開きがある。

 報告書が大幅削減が必要と指摘するのが、農業や森林からの農地転換、流通などの食料システム分野だ。年間総排出量の3分の1(180億トン)を占め、50年までに約300億トンに達すると予想されるが、食生活の転換や生態系保護などの緩和策で、50年までに最大で年247億トンを削減できる可能性があるという。また、化石燃料などに依存した経済から低炭素経済へ世界的に転換するためには、金融システムの再編が重要とも指摘した。

 一方、国連気候変動枠組み条約事務局は26日、11月にエジプトで開催されるCOP27を前に、現行目標のままでは世界全体の排出量は30年までに10年比で10・6%増加するとの予測を発表した。COP26では、各国に30年までの目標を見直すことを求めたが、新たに提出したり更新したりしたケースは24件にとどまるという。

 COP27では、30年に向けて排出削減を強化するための計画に合意できるかなどが焦点になる。国連のグテレス事務総長は「先進国は率先して削減を強化する必要があるが、1・5度実現のためには新興国も取り組みを進めるべきだ。気候変動による破局が迫ってくる前に(現実と目標の)排出量のギャップを縮めなければならない」と呼びかけた。【三股智子、岡田英】



 




 


 





 





 




 





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