旧江戸川で見つかった女の子の遺体は行方不明の南朝芽さんだと分かりました。朝芽さんに一体、何があったのでしょうか。元刑事が現場で感じた矛盾とは。
南朝芽さんの行方が分からなくなって14日目。事態は大きく動きました。
朝芽さんと同じ学校に通う子を持つ母親:「同じ学校の子として心配ですし、悲しいなと。早く見つかってほしいという気持ちでした」
近隣住民:「ただただ言葉がない…。無事に見つかってほしかった思いで、こみ上げるものがあります」「近所の子だったのもあり心配していた。残念で仕方がない」
朝芽さんの靴は、遺体の発見現場からおよそ15キロ上流の河川敷に残されていました。
元警視庁刑事・吉川氏はそこに不可解な点があると指摘しています。
元警視庁刑事・吉川祐二氏:「実際に今回、事件か事故か定かでない。一番、引っ掛かってくるのは靴・靴下の存在なんですね」
旧江戸川の河川敷に手向けられた花束。手を合わせる人が後を絶ちません。
警察は、この近くで見つかった遺体をDNA型鑑定の結果から、先月23日から行方不明になっている南朝芽さんと特定しました。
近隣住民:「かわいそうにね…。孫がいるから私も心配で。他人事ではないですよね」「本当に残念。まだ事件が確定したわけではないけど」
朝芽さんが行方不明になってから、何度も現場に足を運んでいた元警視庁刑事・吉川氏。身元が判明しても不可解な点が多く残されていると指摘しています。
元警視庁刑事・吉川祐二氏:「解決したとはまだ言えないですね。というのも非常に矛盾が多いです」
朝芽さんが川に入るまでの間に何があったのでしょうか。
あの日、朝芽さんは母親と近くの公園で待ち合わせをして家を出ました。朝芽さんが自宅を出た5分後に母親が後を追い掛けたといいますが、朝芽さんの姿は公園にはなかったといいます。
わずか5分の間に行方が分からなくなった朝芽さん。
自宅を出てからおよそ30分後、防犯カメラに1人でキックボードに乗っている様子が捉えられていました。
その後、およそ900メートル離れた流山市内の公園で朝芽さんが乗っていたキックボードが見つかっています。
朝芽さんの親族:「(キックボードが発見された公園は)日常的に良く母と行く公園でした。活発な子なので離れた公園までキックボードで行くことは不自然ではありません」
家族によると、朝芽さんは一度通った道を覚えることが得意で、土地勘もあったといいます。
そして、行方不明になった翌日に母親と遊びに行ったことがあるという江戸川の河川敷で、靴と靴下が見つかりました。
元警視庁刑事・吉川祐二氏:「実際に今回、事件か事故か定かではない。ここで一番引っ掛かってくるのは靴・靴下の存在」
靴が残された状況に、最大の謎が残されていると吉川氏は指摘しています。
元警視庁刑事・吉川祐二氏:「靴を脱ぐということはこれから水に入るとか、もしくは足元が泥やぬかるみで汚れて、それをきれいにしたいとか、そのようなことがあって靴を脱ぐわけです。それにしては水辺まで距離がありすぎます」
靴が見つかった地点から江戸川までおよそ30メートルあります。真っすぐ川に向かう道中は…。
地面を覆うように草木が生えていますから、土を歩いているというよりかは草の上を歩いている。非常に足元は不安定です。
小学1年の女の子が裸足で歩いたとは考えづらい環境です。
さらに、靴が発見されたタイミングにも不可解な点があります。
元警視庁刑事・吉川祐二氏:「一番大きな矛盾は、ご両親が見た時になかったものが、なぜあるのか」
警察によると、朝芽さんの靴が見つかったのは先月24日の午前10時ごろでした。しかし、家族がその時間よりも前に捜索した時には靴はなかったというのです。
元警視庁刑事・吉川祐二氏:「靴がなぜここに置いてあるのか、置かれたタイミングはいつなのか。なぜ、朝芽さんがここで靴を脱いだのか。そういうことは解明していかないといけない。これを解明せずにして『事件だ』『事故だ』とは言えない」
警察は朝芽さんの肺の中に入った水と川の水の成分の両方を調べていて、もし、これが異なる成分であれば別の場所で亡くなった可能性が出てくるとしています。
警察は情報収集を含め、捜査を続けています。
旧江戸川で見つかった女の子の遺体は行方不明になっている南朝芽さんと判明されました。身元は特定されましたが、警察は事件と事故どちらの方向で見ているのでしょうか。捜査の拠点が置かれている松戸警察署前から報告です。
(増田亮央記者報告)
これまでのところ、警察の捜査で事件性を明確に疑わせるものは出てきていません。
朝芽さんの足取りですが、警察は家を出た後の行動について複数の防犯カメラや目撃証言から河川敷近くの公園まで、朝芽さんの後を付けるような不審人物などは確認されていません。
さらに重要となるのは、現場に残された靴です。
家族も疑問を持っている河川敷に残された靴についてですが、溺死(できし)させられたなど事件に巻き込まれたのであれば、何者かが靴を脱がせ、そこに置くというのは騒がれたり、その行為に時間がかかることを踏まえると考えづらく、自ら靴を脱いで川で遊ぼうとしていたのではないかと話す捜査員もいます。
ただ、依然として河川敷で何があったのかについてはまた分かっておらず、警察は朝芽さんの肺の中の水と川の水の成分を調べていて、もしこれが異なる成分であれば別の場所で亡くなった可能性も出てきます。
警察は全体像の把握のために情報収集を含め捜査を続けています。
◇
行方が分からなくなっていた南朝芽さんの遺体が発見された現場には6日、献花に訪れる人たちがいました。
現場を訪れた人
「あまりにもかわいそうで、手を合わせたいなと。事件だろうが事故だろうが、1人の子が亡くなっちゃったわけだから悲しい」
朝芽さんの靴や靴下が見つかった江戸川の河川敷にも…
献花に来た人
「流されて市川で見つかった子が朝芽さんだって知って。さみしかったし、冷たかったし、怖かっただろうなと思って。ご家族の気持ちを考えるとやりきれない」
千葉県松戸市の小学1年生、南朝芽さん(7)は9月23日から行方が分からなくなっていましたが、10月6日に死亡が確認されました。市川市の旧江戸川では、4日に警察が女の子の遺体を発見。身元の確認を進めていましたが、DNA鑑定の結果、朝芽さんと特定したということです。
◇
9月23日の午前11時半ごろ、母親と待ち合わせた公園に向かうため自宅を出た朝芽さん。
記者(千葉・松戸市)
「朝芽さんは1人でこの公園に向かったとされています。5分ほど遅れて母親が自宅から追いかけたところ、公園に朝芽さんの姿はなかったということです」
朝芽さんが家を出てからおよそ40分後の正午過ぎ、待ち合わせ場所の公園から900メートルほど離れた場所では、朝芽さんがキックスケーターに乗って、すぐ近くの公園の方に1人で向かう様子が防犯カメラにとらえられていました。
その後の朝芽さんの足取りは分かっていません。
その後、江戸川周辺ではキックスケーターや靴が、さらにその下流の取水口では朝芽さんの帽子が見つかっています。警察らが捜索を続ける中、4日に市川市の旧江戸川で女の子の遺体を発見。朝芽さんの帽子などが見つかった場所から直線でおよそ14キロ離れた場所でした。千葉県警は、朝芽さんと関連があるとみて身元の確認を進めていましたが、DNA鑑定の結果、朝芽さんと特定しました。
身元が判明する前の5日夜、朝芽さんの家族はこんなコメントを発表していました。
南朝芽さんの家族
「近日中にこれまで朝芽に関心を寄せてくれた人たち、色々と力を貸してくれた人たちに感謝の気持ちを伝えたいと思っています」
◇
今後、捜査の焦点となるのは、朝芽さんが何らかの事件に巻き込まれたのかどうかということです。現場には、不可解な点も残っています。
朝芽さんの靴と靴下が見つかったのは河川敷です。その付近で靴を脱いで川に向かった場合…
記者
「こちらの道のりを少し歩いてみますけれども、かなり絡まった草がずっとたくさん生えていまして、足が歩いているともつれそうになるようなほどです」
大人の足で1分ほど歩くとようやく川に到着しました。靴などが置いてあった場所からは、川が見えないほどの距離です。裸足で歩いた場合、足元も悪いこの道を、朝芽さんは1人で歩いたのでしょうか。
警察によりますと、朝芽さんの遺体は骨折など、明らかな外傷は確認できていないといいます。死因は「溺死の可能性」と発表されています。
元埼玉県警科捜研の雨宮氏が指摘するのは…
元埼玉県警 科捜研法科学研究センター・雨宮正欣所長
「(朝芽さんの)肺の中に入っている水が、亡くなった時に入った水なのか、それとも後から入った水なのか。(川の)周りの水じゃないとわかった時、第三の場所で溺死されたことが判明したとなれば、一気に事件性の可能性も出てくるかと思う」
警察は遺留品の捜索や聞き込みなどを引き続き進め、朝芽さんが死亡した経緯をさらに調べることにしています。
一体どこで、朝芽さんは溺れたのでしょうか。最も大きな謎が残るのは、靴と靴下が見つかった河川敷です。
現場で取材を進めると、靴と靴下が見つかった場所から、川に出るまで“3つのルート”があることが分かりました。
1つは、最短距離で川へと向かうルートです。
朝芽さんの靴と靴下が見つかった場所、この先に江戸川があります。朝芽さんが靴を脱いでまっすぐ川に進んだとするならば、この茂みを通らないといけません。
ところが…。
つるが伸びていて歩いていると絡まってくる状況。捜査の関係で人の往来があったのか、踏みつぶされて歩きやすくなっているが、朝芽さんが歩いた9月23日は、もっと草木が生い茂っていたと思われます。
この中を、朝芽さんは通ったのでしょうか。しかも裸足で…。
続いてのルートは、1メートル程の所にある側溝。
側溝は土でできていて、周りが草木で覆われているため非常に形があいまいで分かりにくいです。近付いてきて、踏む場所を間違えて落ちることもあるかも知れません。ただ、6日は朝から雨が降っているが、現段階で水がたまってはいません。
近所の住民もこう証言しています。
近所の住民:「ちょっと雨降ったくらいだと、そんなに水がたまることはない」
仮に側溝に水がたまっていて、流されたとしても川までの途中には、野球場から倒れてきたネットがありました。
このネットと側溝の隙間は地面から30センチぐらいで仮に流されて来たとしても、このネットの下は通過できないと思われます。
最後は、下流側にある野球場を通るルートです。
こちらから隣の野球場の方向を見ますと、奥にかすかに川があることが分かります。あの場所を目指した可能性はあります。そうなってきますと、この側溝を何かしらの方法で越えなければなりません。ただ、幅は1メートル程あります。ですから飛び越えようとすると、少し難しさはあるかも知れません。
そこでいったん、川とは反対側の歩道の方へ。そこには側溝に橋が架かっているため、簡単に野球場側に移動することが可能です。
行方不明翌日の映像では、捜査員たちもこのルートを使っていることが分かります。
元警視庁刑事の吉川祐二氏は3つのルートを見て…。
元警視庁刑事・吉川祐二氏:「野球グラウンド側に行った道が、一番可能性が高い。足元のつくりから。歩いた時に足に触れる感触を嫌う人もいる。一番野球場のグラウンド側が草の丈も短いですし、通る可能性が高いという気がします」
家族も朝芽さんについて…。
朝芽さんの家族:「肌に刺さるような背丈と同じくらいの草に入っていくことは嫌うと思う」
一方で吉川氏は、残された靴と靴下の存在が足取りを掴みにくくさせているといいます。
元警視庁刑事・吉川祐二氏:「この場所で一番考えられるのが、水にこれから入ろう、水遊びをしようと靴を脱ぐんです。それにしてはここから水辺まで距離がありすぎます。この靴・靴下の存在が色んな違和感を周りに覚えさせている」
旧江戸川で見つかった女の子の遺体が行方不明になっている南朝芽さんと判明しました。現場から報告です。
(佐々木快アナウンサー報告)
南朝芽さんの靴と靴下が見つかった現場です。すぐかたわらには6日は花が手向けられました。献花に訪れた人は、何度も何度も朝芽さんの名前を口にしてそっと花を手向けました。
そして、本当にこの場所を通ったのだろうかと小さな声を漏らしました。
朝芽さんの足取りについてはいまだ多くの謎が残されています。
現場には、10月とは思えない冷たい雨が降り注ぎます。
祈る人、川面を眺め立ち尽くす人…。それぞれの思いを抱え、現場を訪れます。
現場を訪れた人:「(Q.何をお供えした?)お子様用のジュースとお菓子。お子様の好きそうな物を買ってお供えに来ました。一人のお子様が亡くなられているので神妙な気持ちでいっぱいです」
捜索現場に動きがあったのは、6日昼前のことです。
次々と岸に戻るボート。ボンベをおろす潜水士の姿も見えます。そして一報が入ります。
4日、旧江戸川で見つかった女の子の遺体について、DNA型鑑定の結果、行方不明となっている千葉県松戸市の南朝芽さんと特定したと明らかにしました。警察は、家族には報告したということです。
行方不明となり、7日で2週間です。
朝芽さんの家の近所の人:「キックボード乗ってて、ショートヘアの子が乗ってて、元気でしたね」
同じ学校に通う子どもを持つ親:「同じ学校の子として心配ですし、悲しいなというか早く見つかってほしい気持ちでした。なんか悲しい気持ちと、信じたくない気持ちと、複雑な気持ち」
朝芽さんの家の近所の人:「とても近所の子だったのもあって、すごく心配していたので残念で仕方がない。やっぱり…とても大事なお子さんだと思うので、こんな結果になってとても残念。元気な姿で戻ってほしかったですけど、とりあえず親御さんの元に戻られて、朝芽ちゃんも少し安心できたのかな」
朝芽さんの家族は5日、コメントを出していました。
朝芽さんの家族(きのう):「きょうは自宅でずっと警察からの連絡をひたすら待っていました。まだ身元が明らかになっていないので何とも言えませんが、近日中にこれまで朝芽に関心を寄せてくれた人たち、色々と力を貸してくれた人たちに対して、感謝の気持ちを伝えたいと思っています」
朝芽さんの行方が分からなくなったのは9月23日、3連休の初日です。午前11時半ごろ、朝芽さんはピンク色のキックボードを持ち、1人で公園へ向かいました。
防犯カメラの映像が撮られたのは先月23日の正午ごろです。白い車の男性も覚えていました。
目撃した人:「速く目の前を走っていった。ビューって。なにしろ速かった」
待ち合わせの公園から、およそ900メートル離れた流山市の公園でキックボードが見つかっています。
近隣住民:「皆さん捜している時にキックボードが落ちていた。ピンクの。(公園の)入り口辺りだと思う。午後3時すぎ」
朝芽さんは、この公園に母親と来たことがありました。
朝芽さんの家族:「朝芽は1度通った道や、行った場所を覚えることが得意なので、過去に母と通った道や、車で行ったことがある場所に向かった可能性もあります。キックボードは乗り飽きてしまったら乗り捨てることもよくあります」
公園からおよそ300メートル離れた河川敷で朝芽さんの靴と靴下が発見されたのは、その翌日です。
公園から、土手へ向かったのでしょうか。
朝芽さんの家族:「土手には、母と階段を登って遊びに行くことがありました。気分が上がり、1人で向かう可能性があります」
その後、およそ1キロ離れた下流の取水口から朝芽さんの帽子が見つかりました。
事態が大きく動いたのは今月4日です。朝芽さんの遺体が見つかりました。場所は、靴と靴下が発見された地点から直線距離にしておよそ15キロ下流です。
5日、司法解剖が終わり、遺体に目立った外傷はなく溺死(できし)した可能性があることが判明。遺体の状態から水を大量に飲み込んで死亡したとみられます。
そして6日、DNA型鑑定の結果、朝芽さんの両親と親子関係が認められるとして、遺体を朝芽さんと特定しました。
朝芽さんと同じ小学校の子どもの母親:「友達の友達だったので、こんなふうになる前からメールで『知らない?』みたいな話は聞いていたので心配していた。子どもも同級生なので」
年が近い子どもの母親:「子どもが同じくらいの年齢なので、パーッとどこかに1人で遊びに行ってしまうんです。今までならそういうことも経験の一つで必要かなと我慢することもあったが、ニュースを聞いてから心配になって、少しでも姿が見えないと心配になって『行かないで』と呼び止めるようになった。ただただ言葉がないです。胸が痛いというか」
近所に住む人:「本当に残念。まだ事件か事故か確定したわけではないですけど、亡くなってしまったということが確定したので、それは本当に残念な気持ち」
南朝芽さんの遺体が見つかった川の河川敷では、冷たい雨が降る中、きょうも献花に訪れる人の姿がありました。
献花に訪れた人
「あまりにもかわいそうすぎて、ニュースで聞いて帰りに手を合わせたいと思ってきた。事件だろうが事故だろうが、1人の子が亡くなったわけだから悲しいですよね」
「同じくらいの歳の子がいるので、すごく気持ちがわかります。お母さんの気持ちがすごくわかります。本当につらいと思います」
先月23日から行方がわからなくなっていた松戸市の小学1年生・南朝芽さん。
家族が提供した動画には夏休みだった今年8月、元気に滑り台で遊ぶ朝芽さんの姿が。行方不明当日の防犯カメラの映像では、キックボードに乗っていました。
これまでの捜索で朝芽さんが映っていた防犯カメラのすぐ近くの公園でキックボードが見つかり、江戸川の河川敷で靴や靴下が発見されました。さらに取水口では帽子も見つかっています。
遺体は川に浮いているところをサイクリング中の男性に発見されました。
司法解剖の結果死因は「溺死の可能性」。大量の水を飲んで亡くなった可能性があり、骨折などの目立った外傷はありませんでした。
警察は引き続き、事件・事故の両面で捜査を進めるとしています。