新型コロナの後遺症について、男性と女性で免疫の反応が異なり、症状の回復に差がみられることが京都大学の上野教授の研究でわかった。

【映像】コロナ後遺症 男女でメカニズムに違い

 京都大学の上野英樹教授は、約2500人の後遺症患者の血液からウイルスを排除する役割などを担う「T細胞」と呼ばれる免疫細胞を解析した。その結果、強い倦怠感などがある患者について、女性の場合、T細胞が過剰に作られることで免疫が暴走し、症状を引き起こすことがわかった。一方、男性はT細胞があまり作られていないことがわかった。このため、全身に散らばったウイルスのかけらを排除できないとみられ、女性に比べて症状の回復が遅いことを突き止めた。

京都大学・上野教授:(男性は)T細胞の反応が新型コロナに関するものだけではなく、いわゆる感冒コロナ、そういうウイルスに対してもT細胞の反応が弱いということがわかりました。明らかに免疫応答の異常というものと後遺症が関係しているとわかったので、免疫応答の乱れを明らかにしていくうえで、治療法が見つかって行くのかなと思います。、

 上野教授によると、後遺症とワクチン接種の関連について、女性は、嗅覚・味覚障害などが接種によって改善する一方、男性では、改善がみられないこともわかったという。この研究は、近く論文で発表される。(ANNニュース)



 




 




 




 




 





毎日新聞

 新型コロナウイルス感染症による死者数が世界で3番目に多いインドで、実際の死者数が政府発表の約8倍にのぼる可能性を指摘する外国研究チームの論文や報道が相次いでいる。「見落とされている」データのほか、コロナ禍で十分な医療が受けられずに死亡したケースなど「間接的な死」も含まれていて、ある程度数字が膨らむのは当然といえるが、あまりに大きいギャップが話題に。インド政府は「臆測に過ぎない」とカンカンになっている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版、NYT)は16日、情報筋の話として、世界保健機関(WHO)が2021年末までに新型コロナ禍で世界中で死亡した人が「約1500万人」に達すると算出していると報じた。各国政府の報告に基づく死者数の2倍以上に上る。中でもインドの死者数は現在の政府発表(約52万人)の約8倍の「少なくとも400万人」で、発表ベースで世界最多の米国(約99万人)や2位のブラジル(約66万人)を上回り、最多になるとしている。

 同紙によると、WHOは各国のデータに加え、世帯調査や各地域の情報などをもとに、見落とされてきた死者数を算出。コロナ禍で病院に行けなかったケースをはじめとする「間接的な死」も加えた推計を作成したという。しかし、「インドの抗議によって公表が遅れている」としている。

 インド政府は16日に声明を発表し、NYTが報道したWHOの推計について「算出方法に対して異議を唱えてきた」と訴えた。声明では人口13億人のインドと人口が少ない国々の死者数を同じ統計モデルに基づいて算出するのは適切ではない、などの理由を挙げている。インド政府は書簡やオンライン会議を通じてWHOに異議を伝えてきたが、「納得のいく回答はない」としている。

 インドを巡っては、今年1月にも、カナダなどの研究者のチームが21年9月までの死者数が公式発表の「6〜7倍」に上ると推計する論文を米サイエンス誌に発表。3月にも、米国の研究者らが20年1月から21年12月に、死者数が過去の水準から予測される死者数をどれだけ上回っているかを示す「超過死亡」を400万人と推計した論文が英医学誌ランセットに掲載された。

 こうした指摘に対し、インド政府は「臆測に基づく報告は社会のパニックを生み、人々を誤った方向に導く可能性がある」(保健・家族福祉省の声明)などと強く反論している。

 地元主要紙「ヒンズー」は今月20日付の社説で、インドでは一部の州で死亡届の提出率が67%を下回り、届け出が100%近い州でも死亡証明書に死因まで記載される割合は低いと指摘した上で、「インドも専門家チームに独立した調査を公的に委託する必要がある」と主張した。【ニューデリー川上珠実】



 




 




 




 

 【AFP=時事】米疾病対策センターは29日、謎の肝炎にかかったアラバマ州の子ども9人全員が「アデノウイルス41型」という一般的な病原体の検査で陽性だったとする調査結果を発表した。

 世界保健機関によると、ここ数週間に11か国で同様の患者が約170人確認されている。アラバマ州の子どもは1〜6歳で、他には健康状態に問題がなかった。

 この小児性肝炎に関しては、ウィスコンシン州の死者1人をはじめ、全米で調査が進められている。

 米CDCが発表した論文は、2021年10月〜2022年2月に発生したアラバマ州の子ども9人の症例に焦点を当てている。3人が急性肝不全(劇症肝炎)を発症し、うち2人は肝移植を必要とした。現在は「移植を受けた2人を含め、全員が回復または快方に向かっている」という。

 論文に付随して発表された声明は「現時点では、これらの報告事例の原因としてアデノウイルスを疑っているが、他の潜在的な環境や状況的要因についても調査している」と述べている。

 アデノウイルス41型は子どもに胃腸炎を引き起こすことが知られているが、健康な子どもに肝炎を引き起こすとは一般に知られていない。

 調査の結果、新型コロナウイルス感染症の他、A型・B型肝炎および米国で最も多いC型肝炎、自己免疫性肝炎、ウィルソン病や一般的な肝機能障害の可能性は排除された。

 6人はヘルペスウイルスの一種であるエプスタインバーウイルス(EBウイルス)の検査で陽性だったが、抗体がなかったことから、現在ではなく過去の感染を示唆するものとされた。

 9人のほとんどは入院前、大半が嘔吐(おうと)と下痢に見舞われた。上気道症状が確認された例もあった。入院中はほとんどの子どもに黄疸(おうだん)と肝臓の肥大化がみられた。 【翻訳編集】AFPBB News