〈独自〉暗号資産投資トラブル 「余生の資金奪われた」憤る被害者2022/02/16 08:31 

産経新聞

投資アドバイザーを自称する大阪市の会社代表の50代の男が、暗号資産(仮想通貨)などへの投資を持ちかけながら配当が滞り、出資者とトラブルとなっていることが明らかになった。コツコツと蓄えた金を失った出資者らが取材に応じ、男への怒りや後悔の念を吐露した。

「残りの人生のためにためていた資金を奪われた。悔しいし、金を返してほしい」。男に金を預けた兵庫県の男性(74)はこう憤る。

男性は平成29年夏、知人に誘われて暗号資産のセミナーに参加した。退職から数年、「これからの生活のために」と1千万円ほどの預金を投資で増やそうと考えていたころだった。

会場には50代ほどの女性が多く、暗号資産で数億円稼いだという講師の話をメモを取りながら熱心に聞いていた。うさん臭さも感じたが、当時は暗号資産などへの投資で1億円以上の資産を稼いだ「億(おく)り人(びと)」と呼ばれる投資家が話題となっており、興味をひかれた。

このセミナーを主催していたのが会社代表の男。知人に紹介されて男に会い、酒席をともにするうちに投資を決めた。

最初は1日5万円の配当があることもあった。「5億〜6億円は軽く稼げます」「この調子で投資額を上げていきましょう」。男の言葉に乗せられ、さらに高額を渡し、最終的に投資額は500万円を超えた。そのうち配当はなくなり、返金を求めたが、「今返してもプラスにならない。別の投資で取り返しましょう」などとはぐらかされ、ついには連絡がつかなくなった。

男性は「金に目がくらんだ」と悔やみつつ、「人生を奪われた」と嘆く。

大阪府の女性(55)も男に勧誘された一人。男は、パソコンで右肩上がりのチャートを見せながら、「僕は30万しか入れてないけど、今は1千万になっているよ」などと説明し、投資をすすめてきた。

自身の成功体験に加え、セミナー後の食事会で、かばんからはみ出した札束をみせて羽振りの良さをアピールすることも。「『僕が保証する』『僕を信じて』が口癖だった」と女性は振り返る。

ソフトな口調で語る男を信用し、約1千万円を預けたが、返ってきていない。その後、体調を崩し、今も通院生活を送る女性は、男への怒りをあらわにする。「投資をすれば生活が楽になると思っていた。いろんな人を苦しめている。絶対に許せない」



無登録で仮想通貨の出資勧誘 被害者「知識豊富でトークがうまい。神様のように信じてしまった」2022/02/16 23:08  神戸新聞

 金融商品取引法違反の疑いで兵庫県警に逮捕された元会社役員の男(56)に対しては、出資金が返金されないとして、県内や大阪府などの男女ら14人が損害賠償を求めて大阪地裁に提訴している。被害者の会の代表を務める東播地域の男性(51)は「仮想通貨に関する知識が豊富でトークもうまい。(男を)神様のように信じてしまっていた」と肩を落とす。

 男性によると、男との出会いは2017年末、神戸・三宮のセンタープラザで開かれた仮想通貨「ビットコイン」の投資セミナー。派手なPR動画が流れた後、「ハワイ帰りの成功者」との紹介で登壇したのが、男だった。

 外見は一見地味な中年男性。よく見ると、身に着けたスーツや時計は高級品で、仮想通貨に関する膨大な知識を淡々と語った。「派手じゃない雰囲気で、警戒心を解いてしまった」

 新規発行の仮想通貨を獲得する「マイニング(採掘)」事業に投資すれば、2年目から高配当を得られる。勧誘の言葉に違和感は持たなかった。「今、この情報を持っているのはあなたたちだけ。いち早く情報をつかんだ者が成功する」とせかされ、100万円を振り込んでしまったという。

 男が開いた無料通信アプリLINE(ライン)のチャットをのぞくと、出資者は200人以上いた。だが数か月後、運用益を確認するサイトが閉鎖されるとチャットは荒れた。男性は「何度も回答を迫ると、連絡すら取れなくなった。そもそも運用していたのかすら怪しい」と悔やむ。

 他の仮想通貨や個人投資ファンドなど、返金されていない出資金は妻の分と合わせて約500万円。男性は20年7月、出資者と被害者の会を結成した。14人で計5100万円の損害賠償を求めている。



 関係者によると、男は「そもそも原告と会ったことがない」「説明したのは自分ではない」などと主張しているという。

 兵庫県加古川市の女性会社員(45)も、預けた1200万円以上が返金されていないという。男からは仮想通貨など10件近い投資先を紹介され、いずれも信じた。渡された契約書に「元本保証」「月利10%」と書かれていたケースもあったという。女性は「将来、子どもに使いたいと思っていたお金だったのに。悔しい」と憤る。





神戸新聞
 マッチングアプリで知り合った女性から現金をだまし取ったとして、兵庫県警南あわじ署は15日、詐欺の疑いで住所不定、無職の男(29)を逮捕した。

 逮捕容疑は2020年9月から同年11月にかけ、同県南あわじ市内の女性会社員(32)に対し、「経営する会社が経営難でお金を貸してほしい」とうそを言い、9回にわたり、現金計約440万円をだまし取った疑い。調べに対し「お金は受け取ったが、犯意については弁護士と話してから」などと一部容疑を否認しているという。

 同署によると、女性は現金を渡した後、男と連絡が取れなくなったことから不審に思い、昨年8月に同署に被害届を出していた。






産経新聞

たとえ被害者と会う前に犯行を断念したとしても、特殊詐欺の「受け子」には未遂罪が成立する−。若者などがアルバイト感覚で特殊詐欺に手を染めるケースが後を絶たない中、最高裁第3小法廷(戸倉三郎裁判長)が、こんな判断を示した。

対象となったのは、金融庁職員になりすまし高齢者からキャッシュカードや現金を詐取したなどとして窃盗と窃盗未遂の罪に問われた男(25)の公判。被害者宅を訪れカードを封筒に入れさせ、別の封筒とすり替える手口で盗み取り、現金を引き出す役だった。

1審山形地裁は令和2年3月、懲役4年8月の実刑判決を言い渡し、2審仙台高裁も支持した。男はこれを不服として上告。弁護側は上告趣意書で、認定された罪のうち、1件の窃盗未遂罪については「被害者宅に向かう途中、警察官に尾行されているのに気づき、犯行を断念した」などとして「成立しない」と主張した。

これに対し同小法廷は、共犯者が被害者に噓の電話をかけ、男が被害者宅周辺まで赴いた時点で「キャッシュカードの占有を侵害するに至る危険性が明らかに認められる」と指摘。同罪の成立を認めた1、2審の判断は正当だとし、今月14日付で上告を棄却する決定をした。




鍵穴トラブルで業者から高額請求 「ネット検索で上位だった」の落とし穴2022/02/16 16:00  マネーポストWEB

「鍵が開かない!」。緊急事態に慌てて、業者を呼んだら高額請求された──。そんな鍵業者への依頼をめぐるトラブルが絶えない。背景には、インターネット検索の“落とし穴”がある。ネットに不慣れな高齢者だけでなく、若年層も陥りやすい落とし穴のカラクリとは何か。実際に鍵穴トラブルに遭った人の体験談とともに、トラブルを回避するために大切な視点について、専門家に話を聞いた。

正常な判断ができない精神状態で…

「よく検索すればよかったのかもしれません。でもとにかく慌てていて、検索トップ表示の業者なら信用できると安易に頼んでしまいました。まさか10万円も請求されるなんて……」

 そう振り返るのは、東京都内で一人暮らしをする20代女性・Mさんだ。オートロック付きの賃貸マンションに暮らしていた数年前、台風が関東に直撃した日に事件は起こった。雨足が強くなる前にと、マンションの目の前にあるコンビニへ買い物に出かけて帰ってきた時のことだった。

「帰ってきたら鍵が開かなかったんです。管理人さんは台風で帰っているし、管理会社に電話しても全くつながらない。仕方なく持っていたスマホで鍵業者を検索し、上位に表示されていたA社に電話しました。すると『今そういった依頼が殺到していて、最短でも1時間待ち』と言われたので、一度切って別の業者に電話。今度は2時間待ちと言われたため、どこも似たような状況だと判断して先のA社にもう一度電話しました」(Aさん)

 Mさんによると、A社を選んだ理由は、「上位に表示された」「知っているタレントが広告キャラクターを務めていた」「その時、1時間待ちは少ない方だった」という3点。サイトには「鍵開け6000円〜」と記載されていたことから、台風という状況もあり、出張料金などを含めて2万〜3万円ほどは覚悟していたという。そして雨風が強まるなか、1時間ほどエントランスでやきもきする時間を過ごし、ようやく到着したA社の担当者に鍵穴と鍵を見てもらうと、「いい鍵なので……」と、“通常の鍵開け”では開かないことを示唆された。

 担当者は、Mさん宅の鍵の開錠方法として、「ドアスコープを取り外し、そこからワイヤーのような器具を差し入れ、サムターン(ドアの内側のつまみ)を回して開けるしかない」と説明。料金は約10万円だという。さすがに高いと思ったAさんは気が動転し、埼玉県に住んでいる親に電話をした。

 親からは「業者を探し直したほうがいい」と言われたものの、だからといってまた何時間も待つのは嫌だったし、実家に帰ろうにも電車が動いていない。身を寄せられるような友人も近所にはいない。さらには、親と電話をしている真っ最中に、担当者は何やら書類を出し、Mさんに名前を書かせた。それが実質的な契約となる作業依頼書だった。

「親に電話しても何の解決にもならないんですけど、台風もひどくなるし、正常な判断ができない精神状態で、わけもわからずサインしてしまいました。でも電話を切った後、親の助言もあって少し冷静になり、『やめたい』と言ったんです。そうしたら、その担当者はあからさまに『は?』という態度。こちらがサインをしてしまっていることもあり、その時はそれ以上強く言えない状態でした」(Mさん)

 結局、鍵はものの数分で開き、言われるままに10万円を支払ってしまったMさん。それが相場よりどれぐらい高かったのかはわからない。鍵が開かなくなった理由について、「台風で鍵穴に砂やほこりが詰まったのかも」と考えたが、Mさんのマンションは内廊下。担当者からの説明は何もなく、原因は謎のままだという。

ネット広告・検索上位と業者の信頼性は無関係

 国民生活センターによると、解錠だけでなく、水回り修理、害虫駆除などの日常生活でのトラブルを事業者が対処する「暮らしのレスキューサービス」で、高額請求を受けた相談事例が増加しているという。中でも、そのきっかけとして、急速に存在感が大きくなっているのがインターネット広告だ。

 2020年度に寄せられた相談件数は5882件で、2016年度(2437件)の約2.4倍。インターネット広告が関わる割合も年々右肩上がりで増加しており、2016年度は19.2%だったが、2020年度には41.1%に達した。2021年8月末までの割合はすでに48.1%で、5割を超える勢いだ。

 日常生活に欠かせないインターネットだが、先のMさんのように、そこで見つけた業者から納得のいかない請求をされるケースもある。そうしたリスクを避けるためには、正しい知識を得て、その危険性を理解する必要がある。

 ITジャーナリストの三上洋さんに話を聞いたところ、「広告掲載と信頼性はまったく関係ない」と指摘する。

「Google検索では、ページ上部と下部には、数社の広告枠が表示されます。これはユーザーが検索したキーワードに連動して表示される、『リスティング広告』と呼ばれるもの。例えば、『鍵開け』『インキーロック』などのキーワードに対し、オークション方式で自動入札されて広告が掲載されます。単価の高い広告料を払っているところが広告枠上位、つまりより目立つ位置に表示される仕組みです。

 Google側は『審査』をしているとしていますが、事実上の無審査に近いと考えていいでしょう。登録した上でクレジットカードさえあれば、どんな人でも広告を出せる状態です。もちろん、きちんとした業者もいますが、そうでない業者もいる。当然、すべての業者のサービス実態まで審査できないでしょうから、広告表示と業者の質はまったく関係ありません」

 では、「広告」ではなく、検索結果の上位に掲載されるサイトについてはどうか。

「検索した時、上位に表示させるテクニックがあります。SEO(検索エンジン最適化)と呼ばれるもので、タイトルや見出しに特定のキーワードを複数入れる、コンテンツを長い文章で説明する、被リンク(外部サイトからのリンク)を増やす、などといったものが有名です。それらの要素をもとにGoogleがアルゴリズムで表示順を決めています」(三上さん、以下同)

 Googleもアルゴリズムを進化させて、なるべくユーザーにとって利便性の高い業者が上位に表示されるようアップデートしている。ただし、三上さんは「実態としてはSEOテクニックを駆使したところが優先されていることが多い」という。

「つまり、検索画面で表示される順位は、業者の質、信頼性とは関係がない場合がほとんどなのです。上位表示されているからといって信頼できる業者というわけではありません」

原則は不動産屋・管理会社に連絡すること

 業者を検索する際に注意すべき点はまだある。「満足度No.1」などと表記されていると、消費者からすれば安心かもしれないが、実際は客観的な調査に基づくことなく根拠なしに「1番」をうたったり、自社が作成した比較サイトで恣意的に「優良」「おすすめ」業者として上位掲載したりする悪質なケースもある。

「水道、工事、鍵開けのサイトなどで『実績あり』として、きちんと他社との比較が出ていることがあります。しかし、中には根拠なくNo.1をうたう『No.1商法』や、『嘘の比較サイト』を使った“やらせ”も存在しており、信頼できないケースもある。このように玉石混交の業者がある中で、ネットで信頼・安心できる業者を探すのは非常に難しいと言っていいでしょう」

 国民生活センターは、解錠で業者から高額請求されるトラブルに対し、公式サイトやリーフレットで「事業者が作業に取り掛かる前に作業内容と料金を確認し、当初の想定とかけ離れた作業料金であれば、無理にその場で判断せず、作業を断りましょう」とアドバイス。加えて、クーリング・オフができる可能性もあるので、「請求額に納得できない場合は、作業後であってもその場で料金を支払わず、消費生活センター等にご相談ください」と呼びかけている。

 前出・三上さんも、「家のトラブル対処の原則は、担当する不動産屋・管理会社に連絡をすること。もし連絡がとれない時間帯なら、近くのホテルやネットカフェ等で時間を過ごして、あらためて連絡するようにしたほうが、業者を呼ぶコストに対して安く上がる場合も多いでしょう。それでも緊急を要するなら、やはり事前に相場を確認しておくことが大切。そして相場より高い高額請求をされそうな場合は、安易にサインしないことです」と助言する。

「家に入れない」と焦りが募ると、冷静な判断ができなくなる恐れも増大する。インターネットを頼みの綱としたいところだが、何も知らずに検索した業者に連絡すると“落とし穴”が待っていることもある。事前に開錠の相場や業者の対応手順を把握しておくなど、不測の事態に備えておきたい。




読売新聞

 全国の病院を対象に実施されたサイバーセキュリティー調査で、約1割の病院がサイバー攻撃への脆弱ぜいじゃく性を指摘された機器などについて、適切な対応を取らないまま使用していることがわかった。ランサムウェアと呼ばれるウイルスで病院のシステムが停止する被害が相次ぐ中で、対策の遅れが明らかになった。

 病院団体でつくる「四病院団体協議会」(四病協)と一般社団法人「医療ISACアイザック」が緊急調査を行った。1月31日から、加盟する5596病院を対象に調査を実施し、今月10日までの中間報告を取りまとめた。回答を寄せたのは476病院。

 国が、脆弱性を指摘した製品のうち、外部から病院のシステムに接続する際に使う「VPN」などを使用していた病院は40%あり、このうち、対策を取っていない病院は24%だった。全体の約1割が、被害に遭うリスクが高い状態にあった。

 「サイバー攻撃の脅威を感じる」と答えた病院が全体の90%に達する一方で、セキュリティー予算については46%が「十分でない」と回答。危機意識に対策が追いついていない実情が浮かんだ。

 電子カルテシステムが被害に遭った病院では、オンラインで接続していたバックアップも含めて感染した事例もあり、復旧が長期化している。調査では、98%の病院でバックアップを取得していたが、ネットワークから遮断したオフラインで保管していたのは47%にとどまった。

 厚生労働省も1月下旬から、全国の病院に脆弱性が指摘された機器の使用状況や、バックアップの取り方に関する調査を実施している。調査結果を踏まえ、各病院に個別に改善を促す。