コロナ禍で減収の会社員ら標的 「買い取り金融」で18日電話相談会2021/12/17 07:00 

朝日新聞

 商品の売買を装い、高利で金を貸し付ける新手のヤミ金融が横行しているとして、弁護士や司法書士らが被害者支援の団体「買い取り金融対策全国会議」(事務局・大阪)を17日結成する。代表幹事の前田勝範司法書士が16日、大阪市内で記者会見し、「コロナ禍が広がった昨年以降、全国で被害が急増している。一斉提訴を視野に救済に取り組む」と述べた。

 買い取り金融の利用者はコロナ禍で収入が減った20〜30代の会社員らに多い。手口には、利用者が電子書籍などを購入し、評価を投稿すると、業者が報酬を振り込んだ上で給料日に商品代金を請求する「後払い」がある。最近は、利用者がタブレットやゲーム機などの写真を送ると、業者が査定し、商品を受け取る前に現金を渡す「先払い」の手口が広がる。利用者が商品を送らないと、高額の違約金を請求している。

 金融庁は6月、後払いについて「貸金業に該当するおそれがある」とする注意喚起のチラシを作成した。全国会議事務局長の山下正悟司法書士は「先払いの手口は業者、利用者ともに、金の貸し借りを目的としており、ヤミ金融と変わらない」と指摘。一部の業者は貸金業法違反、出資法違反の疑いもあるという。

 全国会議は18日午前10時〜午後5時、無料の電話相談会(06・6361・0546)を開く。23日には、金融庁と警察庁に取り締まり強化などを申し入れる。(室矢英樹)

■「買い取り金融」の主な相談窓口

◇金融庁金融サービス利用者相談室

 電話0570・016811 受付時間:平日10〜17時

◇消費者庁の消費者ホットライン

 電話188 *各自治体の消費生活センターにつながる

◇大阪いちょうの会(大阪クレサラ・貧困被害をなくす会)

 電話06・6361・0546 受付時間:平日13〜17時

  *「買い取り金融被害110番」は12月18日10〜17時に開催







「ひま部」「斉藤さん」など…子どもが性犯罪に巻き込まれる契機、通話アプリが次々と誕生2021/12/16 22:36  ヨミドクター(読売新聞)

 新潟県内でSNSをきっかけに犯罪に巻き込まれたり、いじめの被害に遭ったりする子供が後を絶たない。県警によると、SNSをきっかけに犯罪に遭った小学生は今年5人(10月末時点)に上る。現在の形で統計を取り始めた2014年以降最多で、被害の低年齢化がみられる。県教育委員会は最新の被害・摘発事例を把握して対策に役立てようと、県警に教職員への講習を初めて依頼し、連携して対応にあたっている。

摘発事例を紹介

 「たった一つの投稿で、その後の人生が大きく変わってしまうこともあります」

教職員らにネットいじめの摘発事例について説明する警察官(11月29日、新潟市中央区の新潟高校で)

 新潟市中央区の県立新潟高校で11月29日、教職員約45人を対象に開かれたネットトラブル講習会。教職員が、県警捜査1課や少年課の現役警察官の話に真剣な表情で耳を傾けた。

 警察官は、「ひま部」「斉藤さん」など、子供が性犯罪などの事件に巻き込まれるきっかけとなった通話アプリが次々と生まれていることや、「ネットいじめ」で摘発に至った県内の事例を紹介。警察官は「今の時代はどんな子供もネットをきっかけに被害に遭う恐れがあるという危機感を持ち、見守ってください」と呼びかけた。

 須貝哲二教諭は「警察官から直接話を聞く機会は初めて。真に迫って感じられた。しっかり対策しなければ」と話し、県教委の石黒浩司・生徒指導課長は「摘発の現場を深く知る県警の皆さんにしかできない話もあり、多面的に子供たちを守れるようになる。来年度も企画したい」と語った。

ネットいじめ深刻

 SNSをきっかけに犯罪に巻き込まれる18歳未満の子供たちは増加傾向にある。

 県警少年課によると、昨年は40人で14年以降最多だった。今年は10月末までで前年同期比4人減の26人だが、小学生は5人(前年は通年で1人)と、低年齢化の傾向がみられる。同課は「小学生にもスマートフォンが普及している時代。SNSは『危険だからやるな』は通用しない。正しい使い方を指導していく必要がある」としている。

 被害は、裸の画像を送信するなど児童ポルノが12人(前年同期比5人増)、強制わいせつなどの重要犯罪が6人(同2人増)などで、「子供の好奇心につけ込まれ、重大な犯罪に巻き込まれるケースもある」(県警捜査1課)という。

 ネットいじめも深刻だ。新潟市の県立高校では18年1月、女子生徒が男子生徒の顔に物を投げつける動画を別の女子生徒が撮影し、SNSに投稿。動画はネットで拡散され、県警は物を投げつけた女子生徒を暴行、動画を投稿した女子生徒を名誉 毀損きそん の疑いで書類送検した。同6月には下越地方の県立高校の男子生徒(当時17歳)が自殺し、第三者委員会は同級生らにSNSで中傷されるなどした10件の行為をいじめと認定、自殺の一因となったとした。

 県教委の調査によると、県立学校で今年4〜11月末に認知したネットいじめは102件で、前年同期比24件増えた。学校が配ったタブレット端末を使ったいじめも4〜10月末、小学校で10件、中学校で4件あった。県教委生徒指導課はネットの特性上、「数字に表れていないケースも多いのでは」とみている。

「より深い現状理解に」

 県警少年課は「学校だけでは対処が難しい場合もある。警察が教職員への啓発などで学校と連携し、いじめを含めたネットトラブルの解消に努めていきたい」としている。

 山形大の加納寛子准教授(情報教育学)は「最新の摘発事例を把握している県警が県教委などと連携することで、より深い現状理解につながる」と指摘。「子供たちを守るために、教職員の情報リテラシー(読み解く能力)に対する教養を早急に深める必要がある。より多くの機関が啓発に関わっていくべきだ」としている。








読売新聞

 兵庫県警三田署管内では今年、特殊詐欺の被害は3件(14日現在)で、計17件で2280万円の被害があった昨年から大幅に減少。地元FM局で注意喚起のお知らせを繰り返し流すなど、署の取り組みが実を結んでいる。

 ただ今月、市内の60歳代女性が還付金詐欺の被害に遭ったばかりだという。

 女性は、三田市介護保険課の職員を名乗る者からの電話で「医療費の還付金がある」と無人ATMに誘導され、指示通りに入金。詐欺に注意を求めるポスターも目に入らぬまま、「カードの磁気が弱いようだ」と何度も振り込みを求められ、160万円を奪われた。

 「なぜ信じ込んだのか」と悔やんでいたといい、秦亮人・生活安全課長は「決して『私は大丈夫』と思わないで。現金を求める電話やメールがあったら、冷静に通報を」と呼び掛ける。


 



 




 




 





 







産経新聞

京都弁護士会所属の男性弁護士が原告側の訴訟代理人となった貸金返還請求訴訟をめぐり、大津地裁が「訴えは原告の意思に基づかない」として、却下判決を言い渡していたことが15日、関係者への取材で分かった。原告とされた女性は訴訟係属中に当事者とされていることに気づき、「弁護士に依頼した覚えはなく、氏名を無断で使われた」と裁判所に申し立てていた。

貸金返還訴訟では女性名義の訴訟委任状や陳述書が弁護士を通じて裁判所に提出されており、女性は「書面が偽造された」として、同弁護士会に懲戒請求するとともに、慰謝料などを求める訴訟を起こした。

訴訟関連資料や関係者の話によると、貸金返還訴訟は平成29年8月に大津地裁で始まった。女性が大津市内の男女2人に貸し付けたとする貸金と利息計約1200万円の返還を求めるもので、女性と面識のあった男性弁護士が訴訟代理人となる旨の委任状が地裁に出された。

さらに令和元年11月には女性の署名と押印が入った陳述書も証拠提出され、「(貸金が)私自身の現金で間違いない」と記されていた。

ところが女性は昨年2月になって「弁護士に訴訟を委任していない」とする上申書を地裁に提出。「氏名を無断で使われた」と訴えの却下を求めた。

訴訟では、債務者とされた被告側の男女2人も「女性から現金を借りた覚えはない」と主張。2人は貸金の担保とされた不動産の競売を差し止めるための仮処分を大津地裁に申請し、地裁は当事者が意見を述べる審尋を3回開いたが、女性はいずれも姿を見せず、弁護士は「体調不良のため出席できない」と、裁判所に理由を説明していた。

今年3月の地裁判決は、女性が昨年2月に上申書を提出するまで、当事者として一度も訴訟手続きに参加していなかったことや、女性あての裁判資料の送達先が女性の住所ではなく京都市内の金融業者だったことなどを踏まえ、「訴えは原告の意思に基づかないものとして、不適法といわざるを得ない」と判断。貸金返還の当否には踏み込まずに訴えを却下し、判決はすでに確定した。

複数の関係者によると、女性の兄はかつて京都市内で金融業を営み、この男性弁護士とは業務上のやり取りがあった。女性は取材に対し、兄が過去に行った貸し付けで「債権者として名義を貸したことがある」とは認めたが、訴訟の原告にされているとは気づかず、知人に教えられて裁判所に上申書を出したという。京都弁護士会には弁護士の懲戒を請求、8月には約220万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴している。

一方の男性弁護士は取材に「コメントすることはない」と回答したが、女性との損害賠償請求訴訟の答弁書では「女性は兄からの依頼で印鑑などを預け、金融業で名義を使わせていた」と主張。この名義貸しをもって、貸金返還請求訴訟の原告となることも含めた「承諾」があったと反論している。

こうした経緯について、裁判官として38年間のキャリアがある松丸伸一郎弁護士は「このような事例は聞いたことがない」と話し、「原告の名義を無断で使い、訴訟委任状などを裁判所に提出したとすれば、文書偽造などの罪にあたる可能性もある」と指摘した。