4〜5人に1人存在する? 繊細すぎて疲れやすく生きづらい「HSP」との付き合い方【公認心理師が解説】2021/10/09 22:05

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■繊細な人が楽になる生き方とは? 刺激に過敏で人一倍疲れやすいHSP
繊細な方には、優れている資質がたくさんあります。五感が鋭敏であるため、味、におい、音、色彩、質感などの微妙な差違を感じ取ることができ、感じ取ったものを創作活動に活かすことで、ユニークな作品を生み出している方もいます。人の微妙な心の動きを読み取れるため、セラピストなどの対人援助の仕事に従事している方も少なくありません。

こうした繊細な方々は、次のようなストレスを抱えていることが少なくないようです。

・人の気持ちの微妙な揺れに振り回されて、疲弊する
・五感を通して刺激を強く受け止め、しばしば興奮する
・生活の変化や複数の物事への対応が苦手で、毎日のように緊張して混乱する

■ただの“繊細さ”ではない? HSC・HSPとは
このような過敏すぎる人、繊細すぎる人は、子どもは「HSC」(ハイリー・センシティブ・チャイルド)、大人は「HSP」(ハイリー・センシティブ・パーソン)と呼ばれています。

臨床心理学者エレイン・N・アーロンが執筆した『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』(冨田香里訳、SBクリエイティブ、2008年)、『ひといちばい敏感な子』(明橋大二訳、1万年堂出版、2015年)、心理療法士イルセ・サンが執筆した『鈍感な世界に生きる敏感な人たち』(枇谷玲子訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2016年)などの書物によって、世界中に知られるようになりました。

これらの書物によると、HSCやHSPは5人に1人ほどの割合で存在するようです。男女差はなく、性格も人それぞれです。孤独を好む人もいれば、そうでない人もいます。集中して取り組むのが好きな人も、そうでない人もいます。

私自身カウンセリングの場で、HSPの傾向を持つ方にしばしばお会いします。彼らの多くは、人が発する言葉の奥にある気持ちを敏感に読み取ります。たとえば人からほめられたときに、その言葉が本音なのかお世辞なのか、声のトーンや表情からすぐに感じ取ります。上っ面な言葉や態度には、深く失望します。繊細すぎるがゆえに、彼らの心はとても傷つきやすいのです。

また、HSPは状況の変化や他人の感情に振り回されやすく、エネルギーをたくさん消耗します。「気にしなければいいのに」「楽に考えようよ」と言われても、やり方が分からないのです。自分をコントロールできないまま、たくさんの刺激にさらされると、身動きがとれなくなってしまいます。

■HSPの診断・HSPの可能性のセルフチェック法
HSPは診断名ではなく、人の特性を表す言葉です。そのため、医学的な診断に基づく標準的な治療法は確立されていません。「自分はHSPかもしれない」と感じたら、上記に挙げた書物などにセルフチェック項目が掲載されています。自身の傾向を知るために、活用してみてもよいでしょう。

HSPの特性によって疲れが溜まり、憂うつ、混乱や不安、恐れなどの感情が強く、日常生活に支障が出ている場合には心の病に近づいている可能性もあります。早めに心の専門医に相談しましょう。

HSPは、ADHDや自閉スペクトラム症などの発達障害の特性と重なることが多いといわれますが、憶測や決めつけは禁物です。発達障害には医学的な診断基準があるため、この分野に詳しい精神科医に相談することが必要です。

■HSPかもと思ったときの対処法・生きにくさを感じたときに
では、HSPの特性を感じてつらさや生きにくさを感じたときには、どうしたらよいのでしょう。お勧めしたい3つの対処法をお伝えしますので、参考にしてみてください。

1. 刺激とは適度な距離でつきあうようにする
「自分は他人より刺激を強く感じやすいのかもしれない」と気づくことが大切です。「刺激に慣れることが大事」などと言う人は、自分と違う感覚の持ち主なのかもしれません。刺激が強すぎると感じたら、刺激の発生源から適度に距離をとりながらストレスを軽減していきましょう。

2. とても疲れやすいので、休養して自分を労る
刺激に敏感な分、多くの休養が必要です。疲れを感じたら、無理をせずに心身を休ませましょう。疲れを癒やせば再び頑張れるのですから、焦らないこと。他人と比較せず、自分自身を労ることです。「周りはもっと頑張っている」「休まずに働いている人もいる」といった比較は不要です。自分の心と体の「声」を聞いて、必要と感じるタイミングで休養をとりましょう。

3. 共感できる人や理解者とのかかわりを持つ
HSPは5人に1人の割合で存在するとされているため、身近なところに自分と似た特性を持つ人がいるかもしれません。共感できる人に出会えたら、思いを分かち合ってみるといいでしょう。また、HSPの理解者とのつながりも大切にしましょう。信頼関係は心の支えになりますし、共感できる人、理解者とのかかわりによって、自分を活かす方法を見つけていく方も多いです。

■生きづらさを感じているHSPの方へ
HSPは困った特性ではなく、「豊かな感性の持ち主」であるという視点を持ちましょう。HSPは自然や社会、対人関係の中から、多くの人には感じ取れないサインを捉えることができます。独特な感性で感じ取ったものを様々な形で伝えていくと、人に感動や癒やしを与えることができるかもしれません。

自分自身の感性をポジティブに受け止め、才能を活用することを目指していきませんか?

大美賀 直子(公認心理師)



 


コロナ感染者急減「なぜ?」 進む接種・外出自粛・気候変化…2021/10/09 19:34 

産経新聞

新規感染者数が過去最多となった新型コロナウイルス流行の第5波が収束に向かっている。減少の理由について、専門家は「感染者の減少要因が増加要因を上回った」と解説。普段会わない人との接触機会が増える夏休みが終わったほか、ワクチン接種の進展や人流の減少など複数の要因が影響したとの見方で分析を進めている。第6波を低く抑えるには、第5波の教訓から得られた「増加要因」の回避行動が必要になる。

「今回、本当に若者で増えて若者で減った」

厚生労働省に新型コロナ対策を助言する専門家組織の座長、脇田隆字(わきた・たかじ)・国立感染症研究所長は6日の会合後、第5波の状況をこのように評した。

これまでは若年層に感染が急拡大した後、流行の後半で病院や高齢者施設などでの大規模なクラスター(感染者集団)が発生していたが、第5波ではこれらのクラスターが激減。医療従事者や高齢者のワクチン接種によって感染予防効果が発揮されたとみられている。

第5波では強い感染力をもつインド由来の変異株「デルタ株」が猛威をふるった。専門家は夏休みに向けた7月22日からの4連休などに、ワクチン接種を済ませていない現役世代の社会活動が活発化したと指摘。全国的に気温が30度を超える日が続き、屋内で人が集まる機会が増えたことを急拡大の理由に挙げる。冷房のため、換気が不十分で、感染しやすい状況が生まれたという見方もある。

この7月下旬には、国内の新規感染者数は多い日でも5千人程度だったが、7月末になると約1万人にまで急増。8月20日には2万5851人に及んだ。

一方、感染急拡大の局面では、「病床の逼迫(ひっぱく)」や「自宅療養中の死亡」「40、50代の重症化」「感染した妊婦の自宅出産」などの実態が明らかになり、連日メディアなどで伝えられた。こうした危機的な状況を身近に感じることで、感染への警戒感が高まり、心理面から一人一人の感染予防対策が強化された可能性が高い。

このほか、異例の「お盆の長雨」が、外出控えにつながり、結果的に不特定多数との接触機会が減る要因になったとみられている。

緊急事態宣言のもとで、リスク要因とされてきた繁華街での行動も一定程度抑制された。

東京都医学総合研究所は、緊急事態宣言ごとの都内の繁華街の滞留人口を比較すると、4回目の今回は昨年4月からの1回目と比べると1・5倍程度だったが、今年1月からの2回目、4月からの3回目より少なかったと分析する。

現役世代のワクチン接種も進んだ。ワクチンを2回接種し、感染を防ぐための抗体をつくるのに必要な2週間を経過した後でも感染してしまう「ブレークスルー感染」もあるが、未接種と比べれば大幅に少ない。暑さも収まり、徐々に窓を開けて換気がしやすい気候になったことも感染を防ぐ一助になったとみられる。

第5波の感染状況は落ち着きをみせているが、季節は感染症が流行しやすい冬に向かう。年末年始には忘年会や新年会をはじめ、人が集まる行事もあり、感染の再拡大も懸念される。

脇田氏は専門家の間でも感染者数が急減した理由の解明には至っておらず、分析には時間を要すると説明。その上で、「それぞれの要素がどの程度重みがあるのか、どれが因果関係があるものなのか、直接の原因になっていたものがあるのか、それぞれの要素にどの程度の寄与度があるのか、について分析していくべきだと考えている」と話している。


 


 ■細胞性免疫とは 細胞性免疫を担う代表格は、ヘルパーT細胞と細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)。抗原提示細胞から情報を得たヘルパーT細胞は、B細胞に指令して抗体を作らせ、ウイルスを排除する。同様に抗原提示細胞から情報を得たキラーT細胞は、ウイルスに感染した細胞を攻撃して排除する役割を担う。




 



 





 





 






ヨミドクター(読売新聞)

 膵臓  すいぞう は普段あまり意識しない臓器かもしれませんが、ひとたび急性膵炎にかかると、激しい腹痛や吐き気が起こり、命に関わります。飲酒や喫煙などの生活習慣も発症のリスクを高めます。(矢沢寛茂)

膵液を出す仕組みが崩れ



 膵臓は、胃の後ろにある長さ15センチほどの臓器です。主に二つの役割があります。一つは、食べ物を消化する膵液を十二指腸から出す。もう一つは、血液中の糖分の量を調整するインスリンなどのホルモンを分泌することです。

 急性膵炎は、膵液を出す仕組みが崩れて発症します。

 膵液は、胃から送られた食物から栄養分を取り出すため、でんぷんなどの炭水化物、たんぱく質、脂肪を分解する酵素を豊富に含みます。やや弱いアルカリ性で、1日1リットル弱が主膵管という管を通じて十二指腸に送り出されます。

 この主膵管が詰まるなどして、膵液があふれ出して炎症につながります。膵臓が腫れ上がり、多くの場合、激しい腹痛や吐き気、発熱などが起きます。

 国内では年間で10万人当たり約50人が発症し、近年はやや増加傾向にあると指摘されています。男性の患者が多く、女性の約2倍に上ります。



主な原因は、アルコールと胆石です。男性では飲み過ぎ、女性では肥満による胆石が目立ちます。

 お酒を飲み過ぎると、膵臓の細胞が傷んで発症すると考えられます。さらに過剰に取り続けると慢性膵炎になる恐れもあります。脂っぽいものなど偏った食事や喫煙も危険を高めます。

 胆石は、胆のうで胆汁の成分が固まったものです。これが、十二指腸につながる胆管の出口で詰まることがあります。

 主膵管と胆管は、ともに十二指腸の乳頭という場所で開いており、胆石が膵管を圧迫して膵炎が起きることがあります。

 このほか、胆のうや膵臓の病気での内視鏡治療による合併症、脂質異常症、薬が原因になります。まれに、小さい膵臓がんに伴って発症することもあります。

生活習慣改善を



 血液検査、超音波、コンピューター断層撮影法(CT)などで膵炎と診断されれば、入院して絶食し、点滴を始めます。胆石が原因であれば内視鏡を使って除去します。

 重症化の兆候があれば、集中治療室(ICU)に移り、全身管理が必要です。重症化すると、膵臓のほか、周囲の細胞や組織を 壊死えし させ、死亡するリスクも高まります。壊死が起きると、症状が急速に悪化します。

 腸内の細菌が壊死した場所に感染すると、うみがたまった状態となり、激しい炎症が全身に広がって敗血症や多臓器不全の恐れが高まります。抗菌薬で改善しなければ、内視鏡で 膿瘍のうよう の治療を行います。

 治療にあたっては、飲酒や喫煙の状況、家族歴など原因につながる要素を確認し、生活習慣の改善を促します。胆石がある場合は、この病気の症状が和らいだ時点で、胆のうを摘出し、再発のリスクを下げます。

 北野病院(大阪市)消化器内科主任部長の 八隅やずみ 秀二郎さんは、「再発を防ぐためには、禁酒や体重のコントロールなど生活習慣を見直すように強く勧めています」と話しています。