7日、東京都は、新型コロナウイルスの感染状況と医療提供体制の警戒レベルをそれぞれ1段階引き下げました。また、厚労省の専門家会議では、どのような行動が感染リスクを高めるかということについて最新の調査結果も公表されたので、詳しく説明します。

■東京“警戒レベル”さらに引き下げ 専門家には危機感も

まずは最新の感染状況ですが、6日、東京で新たに確認された感染者は149人で、5日連続で200人を下回ってます。減少傾向が続いていますが、都の担当者は、「宣言解除後に感染した人の報告が増えてくるのは、来週以降なので注意が必要」としていて、気が抜けない状況が続いています。

東京都は7日、感染状況を分析するモニタリング会議を開きました。感染状況については、9月30日に去年11月から続いていた最高レベルの「再拡大の危険性高い」という警戒レベルが引き下げられていますが、7日、さらにひとつ下の「改善傾向にあるが注意が必要」に引き下げられました。また、医療提供体制の警戒レベルについては、去年12月17日に最高レベルの「通常の医療が大きく制限」となっていましたが、約10か月ぶりにひとつ下の「通常の医療が一部制限」に引き下げられました。

宣言解除後には、夜間の繁華街の人流が急増していると報告されていることなどから、専門家は、危機感も示しています

国立国際医療研究センター 大曲貴夫医師
「新規の陽性者数は、昨年の同時期と近い値であります。昨年末の第3波と同じ経過をたどらないように、今のうちにこの新型コロナウイルスをさらに抑え込んで、新規の陽性者数を減らしておく必要がございます」

■今後の行動制限どこまで…?全国初“実証実験”を実施

感染者が減少傾向にある中、ワクチン接種がある程度行き渡ってからの行動制限の緩和に向けて、6日、全国で初めて実証実験が行われました。

Jリーグの試合会場の入り口で、観客が見せていたのが「ワクチンの接種記録」。こうした接種記録や陰性証明を提示することで観客数の制限を緩和しようというものです。

これは、政府の「ワクチン・検査パッケージ」を活用した実証実験で、観客数の上限は1万人ですが、6日はおよそ1800人を上乗せして、「ワクチン・検査パッケージ」のチケットを購入した人を対象に、実験が行われました。

試合中はマスクの着用率などを分析し、観客には後日、アンケートを実施して、今後の人数制限緩和のために使うということです。

また、観光庁も実証実験の対象として旅行会社11社が実施するツアー38件を選定しました。すでに販売されている今週末から来月前半にかけて行われるツアーを対象に、「ワクチンを2回接種した人」か、「事前にPCR検査を受けた人」が参加するものです。

東京から近郊に行くものや、東京から北海道や沖縄に行くものなど、様々なツアーが対象となります。交通手段はバスや鉄道、そして飛行機などが対象です。

それぞれのツアーの運用を確認し、実験に参加した旅行事業者と旅行客にアンケートを実施するということです。旅行客には、「安心感はあったか」、「なぜこのツアーを選んだか」、「2週間後に発熱などの症状が出たか」などを聞き、ガイドラインの作成に役立てたいということです。

■“感染リスク高い行動”最新調査「場所・人数・時間」で違いは

こうした中、私たちの日常生活の中で、どのような行動が感染リスクが高いかを調べた最新の調査結果が示されています。国立感染症研究所が都内5か所の医療機関の発熱外来を受診した人のうち、「ワクチン接種歴がない」750人あまりを調べた解析結果が出ました。

まず、会食・飲み会の場所によるリスクの違いについて、会食にも飲み会にも参加していない人を1とした場合、「レストランや居酒屋などで会食」した場合は感染リスクが1.55倍、「自宅で同居人以外と会食・飲み会」した場合は2.1倍、「路上や公園で会食」した場合は2.34倍という結果でした。レストランなどでの会食のリスクは高いものの、自宅でのリスクも高いことがわかりました。

レストランや居酒屋よりも、路上や公園の方がリスクが高いのは意外な結果かもしれませんが、今回の調査では、なぜそういう結果になったのかまでは分析されていません。ただ、専門家からは「公園や路上での飲み会はマスクを外す機会が多く、外したまま会話することなどによって感染リスクが高まる」と、繰り返し指摘されています。

次に、会食時の「人数」と「滞在時間」でみると、会食しなかった場合を1とすると、「最大同席人数が5人未満」の場合の感染リスクは1.4倍、「同席人数が5人以上」だと2.16倍になります。「滞在時間が2時間未満」だと1倍、「2時間以上」だと1.87倍となります。やはり、「同席人数が5人以上」、「滞在時間2時間以上」はいずれも感染リスクが高まる結果になりました。

会食時の「マスク着用状況」でみると、「食べる時以外は着用」だと0.98倍、「食事などが出されたタイミングで外した」場合は1.38倍、「着用なし」あるいは「席についた段階で外した」場合は3.92倍となります。つまり、食事や飲み物を口に運ぶ時以外は、お互いにマスクを着用する、あるいは食事中は会話をしない、などの重要性が改めて示された形となりました。

    ◇

今回の調査結果により、これまで指摘されてきたことがエビデンスとして示されたことになります。これらの結果を参考に、飲食店や飲酒を一律に規制するのではなく、リスクを減らしながら飲食店を利用するにはどうしたらいいかなど、より現実的な対策に役立ててほしいと思います。

(2021年10月7日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)





日テレNEWS24
日本産科婦人科学会と日本産婦人科感染症学会は、5日から、妊婦の新型コロナウイルスワクチン接種に関するアンケートをアプリBabyプラスを使ってスタートしました。

日本産科婦人科学会は、8月14日、妊婦の新型コロナワクチン接種について、

1.時期を問わずワクチンを接種することをお勧めします。
2.妊婦の夫またはパートナーの方は、ワクチンを接種することをお願いします。

と声明を出しています。

アンケートは2つの学会の共同研究で行われ、妊婦のワクチン接種に対する期待や不安、さらにワクチン接種後の発熱などの副反応に加えて、お腹の張りや出血などの産婦人科的な症状があったかどうかについても調査します。

また、ワクチンの効果や副反応に関する情報が十分得られたかや、副反応があった場合、かかりつけの産婦人科医に相談するなど、どのように対応したか?についても聞いています。

目的等について、研究を行う日本大学医学部病態病理学系微生物学分野・相澤志保子准教授に聞きました。

――調査の目的は?

新型コロナワクチンに関する副反応などの追跡調査はすでに行われていますが、国内で、妊婦さんに特化したワクチンに関する調査データをとりたいと考えました。

調査内容は第一に、妊婦さんのワクチンに対する意識調査です。ワクチンに不安を持っているのか、期待を持っているのか。ワクチンを打つということに積極的な方もいれば、避けたいと考えている方もいます。皆さんがどう思っているのか、データをとりたいと考えています。

第二に、ワクチンを接種した妊婦さんには、副反応の出方などを調べたいと考えています。

※厚生労働省によると、米国では14万人以上の妊婦が新型コロナワクチンを接種(2021年8月6日時点)。

妊娠中にmRNAワクチン接種をした約3万5千人の追跡研究の報告では、発熱や倦怠感などの副反応の頻度は妊娠していない女性と同程度。また、接種後に妊娠した87人での流産、早産、胎児の発育不全、先天奇形、新生児死亡の発生率は、ワクチンを接種していない妊婦と変わらないと報告されています。

――妊婦の副反応については、すでに米国のCDCなどの調査があるが、国内で調査する意義は?

特にワクチン接種に関する意識調査は、国民性や居住地によっても変わってくると思うので、データをとる必要があります。

――臨床に出ていて、妊婦さんのワクチン接種後の副反応は?

妊娠しているから特に熱が出やすいとか、痛みが強いとかは、これまでの診療では感じていません。

――妊婦のワクチン接種に関する意識は変化している?

5月、6月は、新しいワクチンのため、妊婦さんの接種に対する不安は強かった気がします。でも、第5波のコロナ禍となった8月、千葉県で感染した妊婦さんが、入院調整中に自宅で出産し、新生児が死亡するというニュースがありました。

私も臨床に出ていて、このニュースの報道がされた後、医療施設の逼迫に対する不安もあり、妊婦さんのワクチンに対する意識がかわったと感じました。

――調査結果はどう生かされる?

新型コロナワクチンの接種率が上がってきて、3回目の接種も検討されていますし、さらにほかのワクチン接種についても、データはいかしていけると思います。

調査は11月30日まで日本産科婦人科学会が監修するアプリBabyプラスで行われます。たくさんの方にご協力いただければと思います。


相澤志保子准教授
2002年日本大学医学部卒業、日本大学医学部病態病理学系微生物学分野助手・助教を経て2014年より現職。専門は生殖免疫学、感染免疫学




デング熱、初の治療薬開発に光明 新たな化合物発見2021/10/07 06:02  AFPBB News

【AFP=時事】初のデング熱治療薬開発につながる可能性がある新たな化合物を発見したとする研究論文が6日、英科学誌ネイチャーに発表された。デング熱は世界で毎年数千万人が感染し、激しい痛みを引き起こすことから、英語では「breakbone fever(骨折り熱)」とも呼ばれている。

 この化合物は「JNJ-A07」と呼ばれ、培養した細胞とマウスを使った実験で、デングウイルスを効果的に無力化し、複製を阻止して感染を予防することが示された。感染前の予防薬としても、感染後の治療薬としても効果があるとみられている。

 米カリフォルニア大学バークレー校公衆衛生学部のスコット・ビーリング氏とエバ・ハリス氏はネイチャーが掲載した論評で、今回の発見を「デング熱治療薬分野で大きな進歩」と評した。両氏はいずれも今回の研究には関与していない。

 デングウイルスは蚊が媒介して感染が広がる。4種類の株が存在するため、一つに感染した後でも他の株の感染を防ぐことができず、2度目の感染は重症化することが多い。今のところ治療法はなく、ウイルスを媒介しにくくする細菌に蚊を感染させるなど、感染防止策に重点が置かれている。一部の国では「デングワクシア」というワクチンの使用が認められているが、効果があるウイルス株は1種に限られる。

 化合物「JNJ-A07」は、デングウイルスの複製で重要な役割を果たす2種類のタンパク質の相互作用を阻害する。蚊やヒトを含む細胞の実験では、4種類のデング熱株すべてに効果があることが示された。 【翻訳編集】AFPBB News