「気候崩壊」を防ぐために今、私たちができること2021/10/02 00:00  テンミニッツTV

 近年、毎年のように「異常気象」という言葉を耳にするようになりました。日本のみならず世界中でその被害は甚大です。異常気象という言葉が、数ヶ月程度の期間の気象状態を指すのに対して、数十年といった長い期間で変化することを「気候変動」といいます。異常気象の3分の2が気候変動の影響で起こるといわれています。
 さらに、気候変動に対して「気候崩壊」という言葉もあります。2019年、イギリスの新聞『ガーディアン』は、気候変動という言葉はもう使わないという方針を打ち出しました。おそらくは「事態の深刻さが正しく伝わらない」と考えたのでしょう。その代わりに使用されるようになったのが気候崩壊、あるいは「気候危機」「気候非常事態」です。それくらいに差し迫った状況にあるということです。
 今回はこの差し迫った状況について、『気候崩壊 次世代とともに考える』(宇佐美誠著、岩波書店)をもとに考えてみたいと思います。著者の宇佐美誠先生は京都大学大学院地球環境学堂教授で、専門は法哲学、政治哲学、法政策学。本書は、渋谷教育学園渋谷中学高等学校での特別講義をもとに執筆されたものです。
●20世紀以降の急激な気候変動は「人間が原因」
 さて気候変動ですが、実は私たち人間が生まれるはるか昔からありました。ご存知かもしれませんが、かつては地球が凍ってしまった「全地球凍結」や、「無氷河期」といって地球上に氷河のまったくない時代もありました。このように、現在の気候変動も自然によるものなら、今さらあたふたしたところで仕方がないのではないかとも思えてきます。
 ただし、地球史におけるすべての気候変動が自然によるものと考えるのは、やはり間違いです。とりわけ、20世紀以降の急激な気候変動は、「人間が原因」だとされています。いや、「だとされています」と書くと誤解を生む可能性もあるので、ハッキリと書いたほうがいいでしょう。20世紀以降の急激な気候変動は「人間が原因」です。もっと具体的にいうと、最大の原因は人間が排出する「温室効果ガス」です。


●放っておけば、気候崩壊は必ずやってくる

 現在の気候変動の原因が人間にあることを強調したのには理由があります。実は残念ながら日本には「気候変動は存在しない」「気候変動は人間のせいではない」と考える気候変動否定論者が少なくありません。しかし、気候変動が人為的であることは科学的な事実です。これを否定するということは、科学を信じていないということになります。著者の宇佐美先生はこのことを非常に危惧しています。

 国別の二酸化炭素の一人当たり排出量(2018年)を見てみると、先進国の中ではオーストラリアやアメリカ、カナダなどに続いて、日本が上位に位置しています。このまま放っておけば、気候崩壊というべき状況は必ずやってくるということです。

 例えば、毎年のように日本列島を襲撃する台風ですが、地球の平均気温が1度上がると、大型の台風やハリケーンなどが25〜30パーセントも増えるそうです。ちなみに、人口が1千万人以上のアジアの都市は、2005年には暴風のために3兆ドルの被害を受けました。それが2070年には350兆ドルに膨らむといわれています。つまり、このままではこれからおよそ50年後に100倍以上の経済的損失をこうむるというわけです。

 また、「ティッピング・ポイント」というキーワードもあります。「転換点」ともいわれるもので、「小さな変化が突然、大きくてもはや止められない変化になるような時点」のことをいいます。たとえば、南極の氷床、とりわけ西南極氷床は1992年から1997年の間に年間490億トンの氷が溶けてなくなりました。しかしながら、その10年後の2012年から2017年にかけては、なんと年間2190億トンに跳ね上がりました。

 さらにティッピング・ポイントを超えれば、ドミノ倒しのように氷がますます溶けていくということです。その結果、海面も上昇します。ある推計では「数百年から1千年の間に、海面が3メートルも上昇するだろう」とされています。

 氷床が解ければ、気温が上がります。気温が上がれば、熱帯林で乾燥化が進みます。乾燥化が進めば、山火事が起きやすくなるでしょう。ことわざの「風吹けば、桶屋が儲かる」のように、気候崩壊は次々と想定外の勢いで連鎖的に起こります。それだけではありません。乾燥化や砂漠化が起これば、深刻な水不足に悩まされることになります。水不足は食糧不足に直結します。

 これは決してずっと先の未来の話ではありません。シリア人がヨーロッパに殺到した難民問題の背景には、気候変動による環境悪化があったとされています。そして、難民が増加すると同時に水や土地の争奪が起こり、特にアフリカでは戦争や内戦が激しくなることも強く懸念されています。

●気候崩壊の問題を解決するための学問「気候正義論」

 ではどうすればいいのか。気候変動、気候崩壊という問題を解決するための学問があります。それが「気候正義論」です。気候正義論の特徴として、大きく三つ挙げられます。第一に気候変動という現実問題を哲学的に捉えるということ、第二に社会制度や国際制度として捉えるということ、第三に負担や便益をどのように分配すればいいかを考えるということです。

 わかりやすい例を挙げると、「排出権をどう分配するか」「将来世代への配慮をどのように考えるか」「そもそも誰に責任があるのか」などがテーマになります。そもそも「気候正義」は、学問の名前となる前に環境活動家のデモや集会で使われていた言葉でした。

 環境活動家といえば、スウェーデンのグレタ・トゥンベリさんが今ではとてもよく知られています。こうした市民運動は世界的な広がりを見せています。2016年にオーストラリアの小さな市から始まった「気候非常事態宣言」は、2020年にはついに日本の衆議院・参議院でも宣言が行われるにまでいたりました。

●私たちにできること

 とはいえ、気象変動、気候崩壊に対して、私たち個人ができることはほんのわずかに過ぎないことも事実です。それなら、「私たちが行動したところで何も変わらないじゃないか」、そう思う方もいらっしゃると思います。しかし、諦めるのはまだ早いというべきでしょう。

 宇佐美先生はこのように書いています。「私たちにできることは、まず、科学的事実を調べて正確に知ること。次に、事実に基づいて自分自身の意見を作ること。そして、自分の知識や意見を周りの人に話すこと」

 コロナ禍の今、いずれもインターネットを使えば誰にでもできることです。本書を読んだ後、ぜひ実践してみてください。

<参考文献>
『気候崩壊 次世代とともに考える』(宇佐美誠著、岩波書店)
https://www.iwanami.co.jp/book/b583341.html

<参考サイト>
宇佐美誠先生の研究室のホームページ
http://www.envpolicy.ges.kyoto-u.ac.jp/




AFPBB News

【AFP=時事】世界有数の活火山、米ハワイ島のキラウエア山が9月29日に噴火した。当局が30日発表したところによると、溶岩が火口にたまっており、今のところ居住地域は危険にさらされていない。

 米地質調査所は30日のツイッター投稿で、溶岩の噴出は「5階建てビルの高さ」に相当するとしている。

 USGSによると、キラウエア山のハレマウマウ火口に29日朝、亀裂が入り始め、溶岩が噴出。一時溶岩の温度は1100度を超えた。

 1950年代から一定の間隔で噴火しているキラウエア山は、人気の観光地となっている。今回の噴火を受け、キラウエア山があるハワイ火山国立公園は観光客の増加に備えている。

 同公園の広報担当者は現地紙ホノルル・スターに「情報が広まるにつれ、週末にかけ訪問者が増える見込みだ」と語った。

 今回の噴火は直ちに危険をもたらすものではないが、USGSは噴火活動の初期段階は「変化が多く不安定」なため「慎重に監視を続ける」としている。

 ハワイ諸島最大のハワイ島にはキラウエア山を含め五つの火山がある。 【翻訳編集】AFPBB News




海に到達したカナリア諸島ラパルマ島の溶岩流を宇宙からとらえた2021/10/02 12:15 

アストロピクス

この画像は、2021年9月30日にヨーロッパの地球観測衛星コペルニクス・センチネル2が撮影した衛星画像です。スペイン領カナリア諸島のラパルマ島の火山噴火による溶岩流が映っています。溶岩流が海(大西洋)に流入し、海岸線が少し広がっているのが見えます。この画像では、溶岩流を強調するために、短波長の赤外線チャンネルを使っています。

ラパルマ島のクンブレ・ビエハ火山が噴火したのは9月19日でした。アストロピクスでは先日、9月26日に地球観測衛星ランドサット8がとらえた溶岩流の画像を紹介しましたが、その画像ではまだ溶岩流は海岸には到達していませんでした。溶岩流が島の西海岸の海に達したのは9月28日のことでした。

Image Credit: contains modified Copernicus Sentinel data (2021), processed by ESA, CC BY-SA 3.0 IGO

(参照)ESA



1年ぶりのキラウエア火山噴火、風下住民に火山ガス警告2021/10/01 02:06  ロイター

[30日 ロイター] - 29日午後に約1年ぶりに噴火した米ハワイ島のキラウエア火山は30日午前の時点で山頂の火口が溶岩で満たされ、火山性のスモッグが空を覆っているという。米地質調査所が発表した。

溶岩は人口密集地に直接的な影響を与えていないものの、キラウエア火山の風下地帯の住民は呼吸器系の炎症を引き起こしかねない二酸化硫黄などの火山ガスにさらされる可能性があるとの警告を受けた。

一方、ハワイ火山国立公園は安全な距離を保ちながら噴火の様子を見たい観光客向けに開放されている。

キラウエア火山の前回の噴火は2020年12月だった。




我が家の「擁壁」は大丈夫? 頻発する水害・土砂災害からマイホームを守る対策2021/10/01 17:00  ARUHIマガジン

自治体では、がけ崩れや土石流などの土砂災害から住民の生命を守るため、土砂災害警戒区域(イエローゾーン)および土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の指定を行っています。住宅購入の際、そうした区域をできるだけ避けるのは防災を考える上で基本と言えますが、すでに住んでいる場合、自分でできる対策はあるのでしょうか。

土砂災害に関しては擁壁の点検がポイント

不動産コンタルタント会社・さくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)、田村啓さんはこう話します。

「率直に言って、土石流に関してはほぼ何もできません。7月に起きた熱海の土石流の映像にもありましたが、土石流は山津波とも呼ばれるように、ものすごい勢いで濁流が流れてきます。個人で何かしら対抗することは非常に難しいです。地すべりも、山そのものが地面ごと崩れてくるものなので、これを防ぐには大きな土木工事レベルの話になります」

傾斜が急で、そのままでは宅地などとしての利用が困難な土地を崖地と言います。大雨や台風などによる土砂災害の危険性が高いため、多くの場合、斜面の土を留めるための壁である擁壁(ようへき)で補強されます。

「斜面のある所に家を建てる場合、ブロックや鉄筋コンクリートで作った壁を造って、一定の角度より急になっている崖とか斜面を受け止めて崩れないようにしてくれるのが擁壁です。擁壁は設置されてから年月がたっているケースがたくさんあるのが実態です。そこで国交省では『我が家の擁壁チェックシート(案)』を出しています。その中には一応、斜面は押さえてくれるものの、地震や豪雨のときに崩れる恐れがある前兆が示されています。たとえば、クラック(ヒビ)が入り始めてるとか、前後にズレ始めていたりとか」(田村さん)

家の近くの擁壁に前兆が発見されたときは、被災する恐れがあります。土砂災害に関してはまず、擁壁の点検が身近で重要なポイントです。



出典:国土交通省「我が家の擁壁チェックシート(案)」から抜粋



出典:国土交通省「我が家の擁壁チェックシート(案)」から抜粋


増し積みされている擁壁は危ない
擁壁では亀裂やひび割れと併せ、「水抜き穴」を忘れずにチェックしておきたいところです。

水抜き穴とは敷地内の土に染み込んだ雨水を抜くために、擁壁に開けた穴のこと。

「雨が適切に排水されていれば、穴から水が流れた跡が残っています。雨が降っていないときでもびしょびしょに濡れていたり、大量の水が噴き出したりしていると、擁壁裏の土に多くの地下水が含まれている、近くの土地で行き場を失った雨水などが流れ込んできているといったことが想定されます。通常、擁壁には土からの圧力がかかっていますが、さらに大きな水圧がかかったり、水によって地盤自体が崩れやすい状態となり、擁壁が崩壊する可能性があります。また、穴が詰まって排水されないと、敷地内の土壌に水がたまって擁壁に想定を超える力がかかり、土を支えきれず崩壊する危険もあります」(田村さん)

擁壁に穴がある場合は、雨が降った後にちゃんと水が流れてるかどうか見てみましょう。穴から排水されず、擁壁表面の隙間から雨水が染み出しているケースも要注意です。計画的に水抜き穴から排水させようとしていたことができていない状況です。

田村さんは、写真のような「増し積み擁壁」にも大いに注意すべきだと言います。

「最初に作られた擁壁の上に、ブロックみたいな擁壁が増し積みされ、構造の違う擁壁が2段になっています。これは不安定な構造なので大雨や豪雨、地震のときに崩れてしまう可能性があります」

戸建てですべき水害対策ポイント

浸水リスクが高い所に住んでいる場合、個人でできることはどんなことがあるのでしょうか。

「防災科学技術研究所と一条工務店が昨年10月、実際に家を丸ごと水に漬からせてどこから水が入ってくるのかを実験で確かめています。最初に基礎の下から水が入ってきます。基礎に穴が開いているとそこから入ってきます。その後、玄関から浸水が始まり、台所やトイレなどの排水口から逆流が始まります。この実験結果から個人でできる対策としては、まず玄関や窓から入ってくる水を物理的に防ぐ『浸水対策』、続いて排水口の『逆流対策』、そして外にある設備の『水没対策』。この3つをしておかないと、水害に強い家にはならないということです」(田村さん)

意外と水害に弱いマンション

コンクリートでできたマンションは水害に強いと思われがちですが、意外なところに弱点があります。

「床下浸水50センチぐらいの水没でも、エレベーター停止や地下駐車場への浸水は起きることがあります。エレベーターを動かしている電気設備は地上や地下にあるからです。そういうものが浸水するとライフライン関係が一切使えなくなる可能性があります」(田村さん)

マンションの場合、命に関わる被害のリスクは、戸建てよりも低いのですが、水が引いた後に生活を続けるのが難しくなったり、大きな補修費用がかかったりするのは戸建てと変わりません。

「マンションでは、物理的に水を遮蔽する止水板の設置をする『水防ライン』というのを決める管理組合が増えています。また、降水量が何ミリになったときに誰がいつ頃止水板を付けるのか、というようなマニュアルの策定をしています。建物を住人全員で守っていくということが必要になります」(田村さん)

国土交通省と経済産業省は2020年6月、「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を公表しました。洪水などの発生後も機能を継続できるように、マンションやオフィスビル、病院、庁舎などにおける電気設備の浸水対策や、豊富な具体例を示したのが特徴です。

今後は管理組合を中心に、こうした情報を共有し、水害対策について話し合うことが求められます。

〈取材協力〉
株式会社さくら事務所



ヒメマス釣り解禁も「一匹も釣れない」 魚の姿少なく…原因は不明2021/10/02 11:00  朝日新聞デジタル