昨日、全国でBスポット治療をやっている医師たちの研修会がありました。そのことは前回書いています。

 

その中で、コロナ後遺症外来を開いている平畑医師からの発言がありました。

「コロナワクチンは上咽頭に影響を与える。上咽頭炎がよくなる場合と、悪くなる場合と両者が存在する」

 

コロナワクチンをうって、慢性上咽頭炎が悪化し受診してくる人はけっこういます。また今までなんともなかったのに、ワクチンをうったあとに受診し、慢性上咽頭炎を見つけることはあります。

 

コロナワクチンが慢性上咽頭炎を引き起こす。

 

自分だけがそう思っているのではないかとちょっと自信がなかったのですが、Bスポット治療をやっている医師たちはほぼ同じ感想をもっているようです。

 

また平畑先生の発言、慢性上咽頭炎がよくなる人もいるというのには驚きでした。

 

自分の場合、悪くなって受診する人しかみないですからね。上咽頭炎がよくなりましたとあまり受診しないので。悪化する場合のみ見続けてきましたから。

ワクチンが上咽頭に影響を与えるのはなんとなく理解できるのですが、なぜ悪くなる方にしかならないのかが理解できていませんでした。悪くなった患者しか見ていなかったのでしょう。

 

コロナワクチンが上咽頭炎を悪化させる。

 

Bスポット治療をしている医師にとっては、当たり前の話のようです。ただ、この治療をしているのは、医師の中で1%もいないと思うので、多くの医師にとっては、何が原因でそうなったのかわからないという判断になってしまうのだと思います。

 

ワクチン後の上咽頭炎はどんな症状になるのでしょうか。いろいろとあるので、一部をご紹介します。

 

のどのつまり感

微熱

身体のだるさ

めまい

頭痛

後鼻漏

頸部リンパ節腫脹

 

こんなところが代表的な症状です




【識者の眼】「COVID-19感染初期における鼻うがいがもたらすインパクト」堀田 修 


つい最近、鼻うがい用の商品を買う人がいるなと思って、いろいろと調べで見たところ、このような記事がありました。

ワクチンを打たない人にとっては鼻うがいも治療の1つとして考慮されては如何でしょうか。自然免疫の獲得。






専門医が解説 降圧剤を減らしてもいい血圧と年齢の基準とは2021/09/13 11:05  NEWSポストセブン

 生活習慣病の薬は「飲み始めたら一生の付き合い」といわれる。日々の血圧や血糖値、健康診断の数値と、疾病ごとに学会が定めた基準を見比べて、「今日はいつもより高かった」「先月より下がった」と一喜一憂を繰り返しながら、漫然と処方薬を飲み続ける。“そんな生活から抜け出せないか”という声に応えるべく、断薬の名医が上手な基準との付き合い方を伝授する。

 日本高血圧学会が5年ごとに改定する「高血圧治療ガイドライン」の2019年版によると、高血圧と診断される基準は、病院で計測する「診察室血圧」なら140/90、自宅で計測する「家庭血圧」なら135/85。この基準を超えると、多くの医師が投薬治療を開始する(以下、数値は家庭血圧)。診断基準は2014年版から変わっていないが、治療目標は、75歳未満で135/85未満だったのが125/75未満へ、75歳以上は145/95未満から135/85未満へと、10も下げられている。

 ガイドラインでは、日本の高血圧患者は4300万人いると推定されており、そのうち多くの患者が降圧剤から抜け出せなくなっている。

 全国から降圧剤をやめたいという患者が集まる徳島県の坂東ハートクリニック。院長の坂東正章医師はこう言う。

「転院してきた患者さんの多くは、食事や運動など、薬以外での血圧調整が教えられておらず、目標値まで血圧を下げられても医師から“降圧剤をやめたら、また血圧が戻るので飲み続けましょう”と言われることに悩んでいます」

 坂東医師の元を訪れた80代の女性患者もその一人だ。ガイドラインに沿って、薬で130台に抑えようとしていたものの身体に異変が起きていた。

「降圧剤の服用によって倦怠感や目眩が日常的に生じていました。診察を続けていくと、150前後がもっとも体調よく過ごせることがわかったので、本人の同意のもと、薬を減らして150台でコントロールしました。90代初めに脳梗塞で亡くなりましたが、それまで快適な生活が送れて元気だったので、それはそれでよかったと考えています。ガイドラインは金科玉条ではありません」

 坂東クリニックの高血圧治療は、管理栄養士の指導による食事の改善や運動での生活改善を主体にし、必要に応じて降圧剤を調整する治療法だ。

 高血圧治療の基本方針は、75歳未満の場合、朝の家庭血圧が上120未満で3日続いたら、指示された量だけ降圧剤を減らす。逆に上130以上が週の過半数なら、量を戻す。これを繰り返して、薬なしで上120未満が3日連続したら、断薬となる。一見、厳しい数値に見えるが、生活習慣を見直すことで、初診から1週間前後で結果が出ることも少なくない。

「目標数値は診察結果だけでなく、患者さんの希望を元に話し合いで決定します。大切なのは高血圧による合併症を発症させずに患者が快適に生活できることです。血圧が低くても、糖尿病や喫煙などの危険因子が合併症の発症リスクに関係してきます。患者さんも血圧の数値だけに囚われすぎないことが大事です。降圧剤を減らすためには、まず主治医としっかり話し合える関係を築くべきでしょう」

※週刊ポスト2021年9月17・24日号



高コレステロール薬 75歳以上では副作用のデメリット大きいことも2021/09/14 11:05  NEWSポストセブン

 生活習慣病の薬は「飲み始めたら一生の付き合い」といわれる。日々の血圧や血糖値、健康診断の数値と、疾病ごとに学会が定めた基準を見比べて、「今日はいつもより高かった」「先月より下がった」と一喜一憂を繰り返しながら、漫然と処方薬を飲み続ける。“そんな生活から抜け出せないか”という声に応えるべく、断薬の名医が上手な基準との付き合い方を伝授する。

 健康診断で「悪玉(LDL)コレステロールが高い」という結果が出ると、「血管が詰まって脳梗塞の原因になるのでは」と不安に陥る。

 日本動脈硬化学会作成の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン」によると、空腹時採血で120mg/dl以上なら保健指導となり、140mg/dl以上は高LDLコレステロール血症と区分され、さらに160以上になると投薬治療が一般的となる。この基準について、新潟大医学部名誉教授の岡田正彦医師はこう語る。

「私もコレステロール専門外来で診療をしていた頃は、160以上ならスタチン系の薬を処方していました。当時の大規模追跡調査で高コレステロール薬の服用は総死亡率を下げ、副作用も少ないといった結果が示されていました。

 しかし、10年ほど前に調査が再評価され、LDLコレステロール値が高いだけの患者さんには投薬は必要ないことがわかってきた。しかし、薬でコレステロール値を下げても特に身体に問題は起きないうえ、“患者さんも安心するから”という理由で今も160を超えたら無条件に処方している医師は多い」

 岡田医師の治療は、まずは食生活の改善や1日30分以上の運動など生活習慣の改善が主で、冠動脈疾患の既往歴がない場合などは服薬に頼らない。

「コレステロールは細胞膜や神経細胞を作るビタミンDの原料であり、それを細胞に運ぶのがLDLコレステロールで、減ると体に行き渡らなくなる可能性があります。議論が続いていますが、薬でLDLコレステロールを大きく下げることで脳神経が育たなくなり、脳卒中が起きやすくなると主張する医師もいます。私もその可能性は否定できないのではないかと思います」

 75歳以上の患者は原則、服用を中止しても問題ないという。

「服用のメリットより、副作用などのデメリットが大きいと考えています。

 現在、私は高齢者施設で診療をしていますが、その年代で高脂血症の人はほとんどいません。悪く言えば栄養低下の始まりですが、高脂血症になるほど高栄養の食事をしていないのです。女性は特に顕著で、海外の論文では、LDLコレステロール値が100の人が10年後に心筋梗塞を起こすリスクを1とすると、200の女性が起こすリスクは1.1で、ほとんど差がないと出ています。

 ただし、自己判断での減薬・断薬は厳禁です。必ず主治医に相談しましょう」

※週刊ポスト2021年9月17・24日号




「世界が大変だ!」コロナ陰謀論にハマり仕事を辞めた夫、離婚はできるのか?2021/09/19 09:44  弁護士ドットコムニュース




NEWSポストセブン
 新型コロナウイルスの予防接種が進んでも、感染者数はいまだ終息の兆しを見せない。「ワクチン接種後も換気と不織布マスクの着用を徹底すべし」というのが、おおかたの専門家の見立てだ。ウイルスの蔓延に伴い、当分は“ウィズ・マスク”生活が続くと予測されるが、命を守るためであるはずのこの行動が、知らず知らずのうちに体を蝕んでいる可能性がある。みらいクリニック院長の今井一彰さんが解説する。

「マスク着用時間の長期化により、心身に健康トラブルを抱える人が増えています。“マスクシンドローム”と総称されるその弊害は多岐にわたり、大きな問題となっています」

 *
 今井さんが最も懸念するのは、マスクによって鼻と口元が覆われた結果、口呼吸が増えること。

「鼻呼吸であれば、鼻の奥の粘膜に生えた線毛によって、空気中のウイルスや細菌の侵入はシャットアウトされますが、口呼吸ではこうした有害物質が侵入しやすくなり、感染リスクも上がります。また、口の中に頻繁に空気が入って乾いた状態が続くことで、殺菌作用を持ち口腔を清潔に保つ役割を果たす唾液が蒸発し、虫歯や歯周病にもなりやすくなります」(今井さん)

 そもそも、口は飲食に特化した器官であり、口呼吸が続くのはいわば体にとっては非常事態だ。

「口呼吸は取り込める酸素の量が少ない“浅い呼吸”になりがちです。その状態が継続すれば、脳や体に酸素が行き渡らなくなり、心身は常に緊張状態を強いられる。ストレスを感じやすくなり、うつ病リスクも上がります。実際に、普段から口呼吸をしている人は抑うつ度が高いという報告もあるほどです」(今井さん)

※女性セブン2021年9月30日・10月7日号





糖尿病のインスリン・オフ療法 糖質制限とタンパク脂質食で症状改善例も2021/09/16 07:05  NEWSポストセブン

 生活習慣病の薬は「飲み始めたら一生の付き合い」といわれる。日々の血圧や血糖値、健康診断の数値と、疾病ごとに学会が定めた基準を見比べて、「今日はいつもより高かった」「先月より下がった」と一喜一憂を繰り返しながら、漫然と処方薬を飲み続ける。“そんな生活から抜け出せないか”という声に応えるべく、断薬の名医が上手な基準との付き合い方を伝授する。

 糖尿病と診断される基準は、日本糖尿病学会の「糖尿病診療ガイドライン」の2019年版によると、糖尿病患者の9割以上を占める2型糖尿病(※)で、血糖値(空腹時)が126mg/dl、HbA1c(ヘモグロビンA1c)が6.5%以上などと定義されている。治療目標はHbA1cが7.0%未満とされ、さらに〈薬物療法中でも低血糖などの副作用なく達成可能な場合〉6.0%未満が望ましいとされている。

(※糖尿病は原因によって「1型糖尿病」と「2型糖尿病」に分類される。1型は「膵臓のβ細胞が壊れ、インスリンがほとんど分泌されなくなる」、2型は「主に生活習慣により、インスリンの分泌量が減った」ことによるもの。糖尿病患者の95%が2型糖尿病に当たる)

「いわば“目標を達成していてもさらに薬を服用しなさい”という内容で、今の学会の薬依存の姿勢が表われています」

 こう語るのは、これまで診療した2型糖尿病患者の84例すべてで脱インスリンを達成した水野雅登医師だ。

 水野医師が実践するインスリン・オフ療法は、食事の糖質を制限し、1日に体重の1.5倍以上のグラム数(体重60kgなら90g)のタンパク質を摂取するタンパク脂質食に変えるのが基本。筋肉を増やして糖の消費を促進し、糖質制限で膵臓を休ませ、インスリンを分泌するβ細胞の働きを回復させるという考え方だ。

「私も以前は、ガイドラインの基準に沿って血糖値やHbA1cを下げるべくインスリンを処方していました。しかし、インスリン注射で膵臓を休ませるつもりが、逆に膵臓がインスリンの分泌能力を失い、同時に、薬の副作用による空腹から大食いしてしまい、インスリン注射の量を増やさなければならなくなっていました」

 水野医師は「血糖値300mg/dl以上」や「HbA1c10%以上」など著しく高い場合を除いて、同基準を治療の基準にはしないという。代わりに注視するのは、血中インスリン濃度(IRI)だ。

「合併症の予防には、低インスリン状態のキープが重要ということがわかりました。食後の血中インスリン濃度が低ければ、HbA1cが9%台くらいまでは合併症もほとんど起きない。基準を気にしてインスリン注射で血糖値を下げても、高インスリン状態になると、眼底出血や腎障害、神経障害、肥満、がんなどの合併症リスクが高まります」

 では、血中インスリン濃度は、どれくらいの範囲であれば問題ないのか。

「食後1〜2時間での血中インスリン濃度が10μU/dl以下が望ましいと考えています。数値が低すぎるのも問題で、5μU/dl未満であれば内服薬やインスリン注射も必要になります」

 学会の「基準」に従うだけでは断薬は夢のまた夢。名医の知見に耳をかたむけることが大切だ。

※週刊ポスト2021年9月17・24日号




高齢者の便秘薬と骨粗鬆症薬の併用リスク 嘔吐や虚脱感が生じることも2021/09/10 11:05  NEWSポストセブン

 高齢者になれば、服用する薬も増えていくもの。その薬のなかには、健康リスクが指摘される「組み合わせ」もあるという。

 日本病院薬剤師会は2018年2月に『多剤投薬の患者に対する病院薬剤師の対応事例集』を公開。同会は多剤投薬の実態調査の一環として、全国48の病院から対応事例を集積し、内容を精査・厳選したうえで33の事例を詳細に紹介している。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎医師が指摘する。

「年齢を重ねると持病の治療だけでなく、骨の脆さや便秘、睡眠不足といった高齢者によくある不調の予防や改善のために、薬を漫然と飲み続けることが多くなります。こうした場合、知らないうちにリスクのある組み合わせが生じることがある」

 具体的な事例を見ていこう。不整脈の一種である心房細動や糖尿病などを抱える90代男性(別表の症例)は、病院に外来で訪れた際にヒアリングで多剤処方が発覚。処方意図不明ながら骨粗鬆症薬の活性型ビタミンD3製剤を処方されて、強心薬のジギタリス製剤と併用していた。

「骨粗鬆症薬には、血液中のカルシウムを増やして高カルシウム血症となる副作用があります。その状態でジギタリス製剤を併用すると、強心作用が強くなって不整脈が出ることがある。またこの男性のように心房細動の患者に不整脈が生じると、心房内の血液が淀んで固まりやすくなり、脳梗塞を発症しやすくなるリスクがあります」(一石医師)

 さらにこの男性には、糖尿病薬と降圧剤の危ない組み合わせも見られた。

 また加齢で大腸の働きが弱くなり薬に頼る高齢者は多いが、便秘薬(下剤)も組み合わせのリスクが大きい。

「骨が脆くなった高齢者が骨粗鬆症薬と便秘薬を併用すると骨粗鬆症薬の吸収が低下し、効果が弱まることがあります。その際に追加されやすい骨粗鬆症薬の活性型ビタミンD3製剤は、便秘薬と併用すると血中のマグネシウム濃度が上がり、嘔吐や虚脱感などが生じる高マグネシウム血症を起こす恐れがある。最悪のケースでは意識消失や呼吸筋麻痺が生じ、心停止に至るので注意が必要です」(一石医師)

※週刊ポスト2021年9月17・24日号




「ワクチン2回打てば安心」と思い込む高齢者が引き起こす社会の不和2021/09/19 16:05  NEWSポストセブン

 世界でも有数のスピードでワクチン接種をすすめ、いち早くマスクなしの日常をとりもどしたはずのイスラエルだったが、新型コロナウイルスが再度流行し、屋内マスク着用を再び義務化した。この事実からみても、ワクチン2回接種したことは、コロナウイルスと無縁の生活を送れる保証にはならない。ところが日本では、先に2回接種を終えた人たちのなかに、マスクも3密も気にしないどころか、ワクチンを打てていない人を差別するかのような言動を乱暴にぶつける人たちがいる。ライターの森鷹久氏が、ワクチン2回接種を終えた人たちの勘違いによって起きつつある社会の不和についてレポートする。

 * * *
 9月上旬、昼下がりの埼玉県某市内では、「新型コロナウイルス感染拡大中」であることを知らせる市の防災無線の放送が、不要不急の外出の自粛、消毒など感染対策を徹底するよう呼びかけていた。自宅でリモートワーク中だった市内在住の会社員・中原龍也さん(仮名・40代)は、この放送を複雑な思いで聞いていた。

「近くの公園では、ゲートボール大会が開催されていて、高齢の参加者が十数人はいたと思います。ボールを打つカーンという音は、早朝の7時頃から聞こえていて、ほとんど自宅から出られない娘(小5)は、うらやましそうに『いいなあ』と」(中原さん)

 実は、ゲートボール大会が行われていた公園には、数年前までは滑り台やブランコなど「児童公園」らしい遊具がいくつも設置されていた。娘が生まれてはじめてブランコに乗ったのも、はじめてかけっこをしたのもこの公園である。しかし、遊具に老朽化が見られると使用禁止の張り紙がなされたのは3年ほど前のこと。古い物が撤去され、新しい遊具が設置されるのかと期待していたが、跡地はガランとしたまま。

「ちょうどその頃、公園で遊ぶ子供の声がうるさいとか、ボールで遊んでいて危ないということで、公園内での禁止事項が張り出されました。ボール遊びは禁止、騒ぐのは禁止になりました。子供たちの場所ではなくなったんです」(中原さん)

 こうした経緯があっただけに、コロナ禍で外に出ることもままならない子供が、公園で楽しそうにゲートボールに興じる高齢者をうらやましく眺めていることに、正直腹が立った。高齢の自治会長にその「是非」を問うた所、返ってきたのは驚くべきき答えだった。

「私は、まだ自治体の接種を1回受けただけで、12歳にならない子供はそもそも打てない。高齢者はワクチン接種も早く、すでに2回打ったという方も多く、外出する人が増えているというんです。ワクチンを打てば、コロナにかからないから安全なのだと」(中原さん)

 もちろん、ワクチンを接種さえしていれば新型コロナウイルスに感染しない、というのは誤情報である。ワクチンを2回接種した場合の有効率をみると、どのワクチンを使用しても100%にはならないし、引き続きマスクや手洗い、3密を避けるなどの予防は必要である。それでも、ワクチン接種していない場合に比べて感染しづらいので当然、他者にうつす危険性が低くなり、もし感染しても重症化しづらいというのがワクチンの「効果」とされる。

「昨年も、公園で子供たちが遊んでいたら、子供は感染源だから公園を使うなと言われたと、パパ友さんから聞きました。子供を優遇しろとか高齢者を優先しろ、ということは思いませんが、余りにも不公平です。子供はほとんど家から出られず、家でゲームしたり本を読んだり、以前はアウトドア派だったのに、引きこもりに近いような生活を強いられているんです」(中原さん)

 ワクチンを打てば「安心」という現実を誤認した感覚は、いち早く2回の接種を受けられた高齢者の間で広まりつつある。その「証拠」とも言える現場を目撃したというのは、千葉県内の小学校教諭・細井香奈恵さん(仮名・30代)だ。

「通学路に、カラオケ喫茶があって、近くの高齢者の憩いの場になっていました。昨年、そこでクラスターが発生し、店は休業していたようでしたが、夏休み後半頃には、また以前のように高齢のお客さんが集まり始めていました」(細井さん)

 カラオケ機器が設置された飲食店などに高齢者が集まり、昼から(早朝から、という場合も)飲酒や食事をしつつカラオケを楽しむ、という行為は、近年、高齢者の間でも広がりつつある一つの「レジャー」でもある。しかし、こうした店で昨年、相次いで高齢者のクラスターが発生し、テレビニュースや新聞でも大々的に報じられたことも、記憶に新しい。

「お店に戻ってきた高齢の方は、マスクもせずにお店の外に出てきては、ビールを飲みながら喫煙されたりしている。店は通学路上にあり、子供たちも見ているようで『おじいちゃんがマスクしていない』とか『外(の店で)でご飯が食べられてうらやましい』と言われました」(細井さん)

 細井さんも、ここまでは「仕方がない」と我慢していたが、受け持つクラスの児童が漏らしたある一言に大きなショックを受けた。

「児童が、店の前に居た高齢者から『ワクチンを打ってないから外に出ちゃダメ、学校も休みにして欲しいと先生に言いなさい』と言われたそうなんです。児童はお母さんにも話したそうで、後に児童のお父さんが、お店に抗議されました」(細井さん)

 ところが、店の客だけでなく経営者までもが「高齢者はワクチンを打っているから安心」の一点張りで、昼カラオケも飲酒も、店の外での喫煙も、やめる様子はなかったという。

「おじいちゃんおばあちゃんだけズルい、と子供たちも思っているのでしょうが、ワクチンを打てない年齢なのが悪い、大人のほうが子供よりえらい、と感じてしまっている児童もいます。地元の方には、大人としてぜひ児童のお手本になるような姿を見せて欲しいと思うのですが、そうした高齢者の方を見ていれば、先生たちが言っていることの方がおかしいのでは?と考え始めないか、不安で仕方ありません」(細井さん)

 ワクチンに関する誤情報に基づき、公園やカラオケに戻りつつある高齢者たち。山梨県内の温泉旅館経営の男性(60代)も、筆者の電話取材に対し「秋頃から、老人会などの予約が入り始めている」と話すが、電話口では「全員ワクチン2回接種済」と自信満々に説明されるのだという。また、そうした高齢者が旅館を利用する際、マスクをしない、大広間で密になり会話するなどのトラブルが相次いでいるが、相手はこの時期にはありがたい「お客様」であり、やはり強く指摘は出来ないと声を潜める。

「ワクチンさえ打っていれば安心」という誤情報は、それを信じ込んでしまっている高齢者自身に危険を及ぼすだけでなく、周囲にも大きな悪影響を与える。ワクチンを打ちたくても打てないという若年〜中年層は、ワクチンを打ったと大いばりの高齢者たちから、排除されたり、ひどい言葉を投げかけられ、絶望したり、高齢者に恨めしい目を向け始めている。

 大人たちの行動を、大人が考える以上に子供たちはよく観察している。自身だけが楽しければ良い、自身だけが助かれば良いという身勝手すぎる行動を取る大人が増えれば、そうした行動を「是」と考える子供、若者も当然増加するはずだ。

 すでに、国民の約半数がワクチンを2回接種済みだと政府は公表した。今後、ワクチン未接種の国民がマイノリティになっていく可能性も高いが、そのとき、事情があってどうしてもワクチンが接種できない人、接種の予約が取れなかったという少数の弱い立場の人たちが、接種済みの人々から攻撃される、という恐れも捨てきれない。

 今こそ、大人たちが襟を正さないと、コロナが収束しようと、大きな禍根を残すことになる。