軽症者対象の治療薬開発を促進、参加希望者の窓口を中核病院に設置へ2021/09/04 11:50 

読売新聞
 新型コロナウイルス感染症の軽症者を対象とした治療薬の開発を促進するため、厚生労働省は、参加希望者の問い合わせ窓口を各地の臨床研究中核病院に設置する。

 窓口が設置されるのは、北海道大病院、東北大病院、千葉大病院、順天堂大病院、慶応大病院、名古屋大病院、大阪大病院、九州大病院。

 軽症者を対象とした治療薬は、複数の製薬会社が治験を実施している。

 厚労省によると、病院によって治験の参加条件や対象となる薬は様々で、希望しても参加できない場合もある。同省は治験の進み具合や患者の受け入れ状況を見ながら、窓口を増やしていきたいとしている。

 窓口の電話番号などは、同省のウェブサイト(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20871.html)で公表している。





EU、ワクチン接種後の炎症リスク調査2021/09/04 00:54  ロイター

[3日 ロイター] - 欧州医薬品庁(EMA)の安全委員会は3日、米製薬大手ファイザーとドイツのバイオテクノロジー企業ビオンテックが製造した新型コロナウイルスワクチンの接種者で1件の症例が報告されたのを受け、接種後に希少な炎症状態に陥るリスクがあるかどうかを調べていると発表した。

EMAは、デンマークの17歳の男性が接種後に多系統炎症性症候群(MIS)を発症した事例について調べているとし、この男性はその後完全に回復したと説明した。

これに対し、ファイザーは規制当局とともにあらゆる有害事象を徹底的に見直していると指摘。MISに関する調査は進行中で、同社製ワクチンがMISを引き起こすとは結論付けられていないとした。

また、米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナワクチンを接種後に静脈に血栓が生じた症例についても調査しており、この問題は以前確認されたまれな副作用とは異なると指摘した。

MISは疲労感、発熱、下痢、腹痛、頭痛、呼吸困難などの症状に加え、体の一部に腫れを生じさせる。新型コロナに感染した子どもの副作用としても報告されている。

EMAは、デンマークの17歳の男性には新型コロナの既往歴はないとし、欧州連合(EU)による現在の新型コロナワクチンの使用推奨に変更はないと説明した。

EMAは、J&Jの新型コロナワクチンのリスク管理計画の中で、静脈血栓塞栓症が研究すべき安全性の問題に含まれていると話しており、血小板を少なくする血栓とは別の症状として調査している。





「欠損コロナ」治療は実現するか? “毒をもって毒を制す”画期的な米研究2021/09/04 09:26  日刊ゲンダイDIGITAL

 新型コロナウイルスの治療として注目を集める「抗体カクテル療法」。東京都は2日、陽性と判明した段階で投与を促す取り組みを発表した。国内ではカクテル療法の拡大が急務である一方、海外ではまったく新しい治療法の模索も進んでいる。ズバリ、「毒をもって毒を制す」だ。

 米ペンシルベニア州立大の生物学者らによる研究が興味深い。生物・医学分野のオープンアクセス誌に掲載された論文(7月1日公表)によると、研究チームは、一般に複数のウイルスに感染した場合に、ゲノムに欠損のあるウイルスが正常のウイルスの増殖を妨げる「干渉」に着目。自然にあるウイルス(自然ウイルス)のゲノムから「欠損干渉粒子」(DI粒子)を合成し、自然ウイルスに感染したサルの細胞に注入した。

 正常なウイルスと欠損ウイルスの両方に感染させた実験である。ハーバード大学院卒の医学博士の左門新氏(「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」の著者)が論文を読んだうえで、次のように解説する。

■24時間でウイルス量半減

「人工のDI粒子は自ら増殖することはできず、自然ウイルスを利用して増殖します。細胞内の自然ウイルスのウイルス量はDI粒子の働きによって24時間後に半減し、DI粒子は自然ウイルスの3.3倍の速さで増殖したのです。DI粒子の方がウイルスよりもRNAが短いため、複製するスピードが速いのです」

 欠損干渉粒子は自身で増殖することができないため、たとえ感染しても症状を起こさない。その働きを分かりやすく言えば「害のない“寄生虫”が体内の悪い微生物の増殖機能を乗っ取って増殖し、その微生物を減らしてくれるイメージ」(左門新氏)だという。



 問題は、コロナ治療薬として実用できるのかどうか。論文執筆者のひとりであるペンシルベニア州立大のマルコ・アルケッティ准教授(生物学)は、自然ウイルスのウイルス量が半減しただけでは治療目的としては不十分である、と認めている。

「自然ウイルスを利用して増殖するDI粒子が、自然ウイルスを完全に駆逐できるのかどうか。さらに、変異株に対しても同様の結果が得られるのか、人の肺細胞でもウイルス量が減るのかなど、更なる研究が待たれます。とはいえ、画期的なアプローチであり、新たな治療方法として注目に値します」(左門新氏)

 アルケッティ准教授によると、新たな研究ではウイルス量が12時間で95%減少したという。コロナ撃退の光明が見えてきた。





日刊ゲンダイヘルスケア
【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】

 新型コロナウイルスのワクチン不足と同じような事態が、がんの治療薬でも起こってしまいました。アブラキサンと呼ばれる抗がん剤が、今年10月から一時的に供給停止になることが分かったのです。

 原因は、米国の生産工場で不具合が見つかったこと。モデルナワクチンのケースに近い構図で、問題が解決されるまで供給が止まります。その期間は少なくとも4週間。メーカーは出荷調整に入っていて、在庫が切れる10月中旬から供給停止になるとみられます。

 胃がん、肺がん、乳がん、すい臓がんに使われる薬で、国内の使用者は年間4万人。薬の使用を予定しているがん患者さんへの対応が、問題でしょう。

 実はこれ、別の抗がん剤のパクリタキセルをアレンジしたもので、血管からがん病巣へより移行しやすいのが特徴。ベースはパクリタキセルですから、供給停止の間はこちらに切り替えるのが一つの解決策です。胃がん、肺がん、乳がんはパクリタキセルも承認されていますから、その可能性が高いと思います。

 厄介なのが、すい臓がんです。すい臓がんの化学療法で一番に使われる薬の一つがアブラキサンで、その使用割合は4つのがんのうち65%と圧倒的。難治がんのすい臓がんで重要な薬を使えなくなるばかりか、すい臓がんではパクリタキセルが未承認とあって、事態は深刻です。

 日本臨床腫瘍学会など関連学会は合同でメッセージを発表。現在アブラキサンで治療中の患者については①効果があり継続中の人を最優先にする②胃がん、肺がん、乳がんではパクリタキセルに切り替えるなど代替治療を検討する、としています。新規治療については①代替治療が困難なすい臓がんやパクリタキセルへの切り替えが困難な人を優先する②胃がん、肺がん、乳がんでは、代替治療を検討する、ことになります。


 米国内で、薬の供給停止はありません。英国も供給が続いていて、ストップするのは日本と豪州です。その豪州は、今回の対応策として来年1月31日まで別の工場で製造された製品の輸入と販売を認める措置を取っているようです。日本も豪州の臨時措置を見習うべきでしょう。

 コロナワクチンや抗がん剤で、なぜ同じような供給停止が続くのでしょうか。米国内では、不具合が見つかった工場のほかにも、この薬を製造する工場があります。米国やカナダ、英国はそれらの工場の供給を認めているのですが、日本と豪州は不具合のあった工場からの供給に依存しているため、供給が滞る事態になったのです。

 二度あることは三度あるで、同じような体制では、再び供給停止に追い込まれる薬が出るかもしれません。相次ぐ事態を教訓に、対策を整備しておくことがとても重要でしょう。今回のように海外に複数の工場があるケースは同じ製造元から同じ薬剤を緊急輸入し、国内で迅速承認して供給できる体制づくりが必要だと思います。販売元の大鵬薬品工業は、その線で交渉しているようです。

(中川恵一/東大医学部附属病院放射線科准教授)







イベルメクチンは新型コロナウイルス治療に効果なし? 世界で議論百出2021/09/04 09:26 

日刊ゲンダイヘルスケア
 新型コロナワクチンの接種が進む一方で、治療薬への期待も高まっている。そんな中、大きな議論になっているのが「イベルメクチン」だ。東京都医師会会長ら一部の医師からコロナ治療に有効とする声が上がり、一般でも使用を求める声が高まっている。効果はあるのか。


 ◇  ◇  ◇

 イベルメクチンは、寄生虫を死亡させたり体外に排出させる駆虫薬で、日本では寄生虫によって起こる腸管糞線虫症や疥癬の治療に使われる。

 北里大学の大村智特別栄誉教授の研究により開発された国産の飲み薬で、1980年代から寄生虫などによる風土病の予防や治療に世界中で使われている。この業績によって大村氏はノーベル医学・生理学賞を受賞した。

 そんな実績のあるイベルメクチンが、新型コロナ治療にも有効なのではないかといわれ始めたのは昨年の春からだ。オーストラリアのビクトリア感染研究所のグループが、細胞を使った試験管内の実験でイベルメクチンに新型コロナウイルスの増殖を抑える効果があったと発表(※1)。

 その後、南米の一部の国などが新型コロナの治療薬として使用を認め、中南米やアジアなどを中心に「イベルメクチンがコロナの予防や治療に効果がある」とする臨床研究の結果が80件ほど報告された。

 しかし、WHO(世界保健機関)をはじめ、FDA(アメリカ食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)は、新型コロナウイルスに対する有効性や安全性が確実ではないとして、コロナ治療での使用は推奨していない。

 同じく承認されていない日本では、昨年9月から北里大が医師主導の臨床試験を実施中だが、現時点で結果は出ておらず実施期間が延長された。


肝機能障害の副作用が出るリスクも

 イベルメクチンは新型コロナに効くのか。都内にある国立大医学部附属病院の救急救命センター・集中治療部に所属し、新型コロナウイルスの基礎研究と臨床現場で治療に携わる専門医が言う。

「イベルメクチンが新型コロナウイルスの増殖を抑えるのはたしかです。しかし、それはあくまで試験管の中での効果であって、感染したヒトの体内で同様の効果があるかどうかについては科学的な根拠がありません。しかも、実験でウイルス増殖を抑えたイベルメクチンの濃度は、標準的な治療で投与された際の血中濃度の50倍以上に相当します。現在、投与量をコロナ治療用に変えた臨床試験も行われていますが、結果は出ていません。かつて、腸管糞線虫症の患者さんが多く見られる地域の医療機関で、実際にイベルメクチンを処方していましたが、適切な使用量でも肝機能に何らかの障害が出る患者さんが多くいました。たしかな有効性が認められていないイベルメクチンを自己判断で服用するのはリスクが高いといえます」

 各国で報告されているイベルメクチンが新型コロナに対して有効とする臨床研究は信頼性が低いものが多く、米国で報告された「イベルメクチンが新型コロナ患者の死亡率を約6分の1に低下させる」との論文は、データの捏造が発覚して取り下げられている。

「医師個人による少数の症例報告は、有効性と安全性を判断するうえで信頼できる材料にはなりません。エビデンスレベルが最も高いメタアナリシス(複数の臨床研究のデータを統合し、統計的方法を用いて解析した系統レビュー)では、新型コロナ患者の治療に有効性は認められないと結論されています。感染症の領域で最も権威がある学術誌『CID』に掲載されたメタアナリシス(※2)では、軽症の患者に対するイベルメクチンは、標準治療またはプラセボ(偽薬)と比較して、死亡率、ウイルス量を減少させる効果はなく、新型コロナ患者を治療するためのオプションではないと報告しています」(前出の専門医)

 製薬会社との利権から独立した立場でエビデンスを集約し、世界中の医師が参考にしているオンライン医学書「UpToDate」(※3)でも、「新型コロナに対するイベルメクチンに関する臨床試験のデータは質が低く、死亡率、侵襲的人工呼吸器の必要性、入院期間への影響はすべて非常に不確実で使うべきではない」としている。イベルメクチンの製造元である米メルク社も、「新型コロナウイルス感染症患者に対する臨床上の活性または臨床上の有効性について意義のあるエビデンスは存在しない。大半の臨床試験において安全性に関するデータが不足している」との見解を出している。

 現在、新型コロナをターゲットにした新たな治療薬の臨床試験が進んでいる。イベルメクチンの有効性と安全性が認められていない現状では、新薬に期待したほうがよさそうだ。



(※1)https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0166354220302011)
(※2)https://academic.oup.com/cid/advance-article/doi/10.1093/cid/ciab591/6310839)

(※3)https://www.uptodate.com/contents/covid-19-management-in-hospitalized-adults#H3001451751






温かい飲み物を持つと脳の前頭前野が活性化しポジティブに【科学で証明!本当に信用できるストレス解消法】2021/09/03 09:26 

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感染症・予防接種ナビ
 残暑がきびしい日々が続き、東京都や大阪府では連日最高気温が30度を超えています。お子さんをお持ちのご家庭では、水道水を使用して家庭用プールなどで水遊びをされる方も多いかと思いますが、水道水は衛生面で必要最低限の塩素濃度となっているため、気をつけなければならないこともあるようです。



 その一つが腸管出血性大腸菌感染症です。例年、4〜5月に増え始め、8月から9月にかけて流行のピークを迎える感染症とされています。厚生労働省によると、主な感染経路は、菌に汚染された生肉や加熱が不十分な肉、菌が付着した飲食物からの経口感染、接触感染です。感染すると3〜5日間の潜伏期間を経て、激しい腹痛を伴う頻回の水様性の下痢が起こり、その後、血便が出るケースもあります(出血性大腸炎)。また、発病者の中には、下痢など最初の症状が出てから5〜13日後に、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などの重篤な合併症を発症するといわれています。

 一般的に食中毒として知られていますが、保育園や家庭用のプールで子どもが感染する事例もあるようです。感染症の専門家である、大阪府済生会中津病院の安井良則医師に話を伺いました。

保育園や家庭用のプールで感染が広がっている

 (安井医師)腸管出血性大腸菌感染症は流行のピークが8月下旬ですが、秋も注意が必要な感染症です。保育園で子どもをミニプールで水遊びさせることもあります。しかし、水道水は飲用のための必要最低限の塩素濃度であるため、プールなどで使用する場合の消毒効果はじゅうぶんではありません。一度水を張ったら入れっぱなしにせず、使いまわしをしないことが重要です。家庭用プールも同様に水道水で使用する際は、早めに取り換えることと、水の使いまわしをしないでください。適量の塩素を入れるか、プール自体も毎回清掃するようにしてください。


 保育園のミニプールで複数の園児が同時に入ってしまうと、その中の一人がプールで下痢をした場合、そこから園児に感染が広がるおそれがあります。2歳以下の子はタライを利用した個人プールにして、水は一度使用したらすぐに捨て、タライもしっかり清掃することが大切です。

腸管出血性大腸菌感染症にり患した場合の保育園の登園の目安

 厚生労働省は保育所における感染症対策ガイドラインで、「り患した場合の登園のめやすは、「医師において感染のおそれがないと認められていること。」である。無症状の場合、トイレでの排せつ習慣が確立している5歳以上の子どもは登園を控える必要はない。5歳未満の子どもでは、2回以上連続で便から菌が検出されなくなり、全身状態が良好であれば、登園可能である。」としています。

 家庭では手洗いの励行や、調理時の温度管理に気をつけるなど、食中毒の予防につとめましょう。特に2歳以下のお子さんは腸管出血性大腸菌感染症にかかると急激に重症化しやすいため、いつもよりお腹の状態が悪いようであれば、かかりつけ医を受診し、早めに休ませるなどの対策が必要です。

感染症予防接種ナビでは、みなさまから腸管出血性大腸菌感染症の経験談を募集しています。

引用:厚生労働省「腸管出血性大腸菌Q&A」
「保育所における感染症対策ガイドライン」 (2018年改訂版)

取材:大阪府済生会中津病院感染管理室室長 国立感染症研究所感染症疫学センター客員研究員 安井良則氏






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