「風に乗って臭いが…」崩落した“盛り土”で新証言[2021/07/06 23:30] 




























玉川氏 残土めぐり国交省に要求玉川徹氏 国交省に要求「残土をチェックし、危険性があれば住民に知らせて」2021/07/07 09:21 

デイリースポーツ
 テレビ朝日の玉川通氏が7日、同局「羽鳥慎一モーニングショー」に出演。静岡県熱海市の伊豆山地区で起きた土石流から残土の危険性について言及し、国土交通省に「ぜひそれはチェックしていただいて、危険性があるんであればちゃんと指摘をして住民に知らせてほしい」と要求した。

 番組では、自分たちの住んでいる地域に盛土があるかないかを確認することができるとして、国交省のホームページにある「重ねるハザードマップ」を紹介。このハザードマップには、地震や大雨で崩れる恐れがある大規模盛土造成地が全国999市町村、5万950カ所が登録されているが、あくまでも安全性を確認すべき場所ということで、すべてがただちに危険性があるというわけではないと説明した。

 玉川氏は「宅地であれば、そこは大丈夫かって話になるんですけど、ただこうやって宅地を造っていくときに山を切るような形では必ず残土が出る。あれだけの場所で住宅開発がされてるってことは、残土も今までいっぱい出てきてる」と指摘。

 続けて「じゃあそういうのどこに捨てるかっていうと、かなりの割合で谷間に埋める。何で谷かっていうと、そこは川が流れて削られてるから谷になってるわけで、もともと水が流れる場所。そこに土を置いておいて、かつて何ら対策をしないまま土をそこに捨てて、その上に緑がある所がどこにあるかわからないわけですよ、住民からすると」と、谷間に土を捨てること、また住民がそれを知り得ないことの危険性を説明。

 「今回の熱海の件も、まさか麓の方に住んでらっしゃる方が上の方でそんな場所があるなんて知りもしなかった人は随分多いと思う。これはチェックのしようもない、住民では。だから国交省に、ぜひそれはチェックしていただいて、危険性があるんであればちゃんと指摘をして住民に知らせてほしいと思う」と、厳しい表情で呼びかけた。






時事通信社

 国土地理院は6日、静岡県熱海市で発生した土石流災害現場の地形などについて、分析結果を発表した。盛り土があったとみられる土石流最上流部は最大約13メートルかさ上げされていたことが判明した。起点から海岸まではほぼ一定の下り勾配で、土石流は勢いを保ったまま集落を通過した可能性がある。

 分析では、2009年と19年の測量データを比較。標高約400メートルの山あいにある最上流部は、09年には東西方向へ谷が延びていた。19年までに埋め立てられ、土砂の推定量は約5万6000立方メートルに上るという。

 地理院はドローンなどを使って3〜6日に撮影した空中写真を基に、土砂が確認できる範囲を特定。土石流はこの埋め立て部を起点に発生したとみられる。流路の傾斜角度は約11度でほぼ一定。約2キロにわたり逢初川沿いを進んで集落を直撃し、河口に到達した。

 地理院の担当者は、土砂の質により流れ落ちる速度は異なるとした上で、「土石流の勢いを弱める上り坂などの障害が少ない地形だった」と話した。 





土石流 幅狭い流路で破壊力増か狭い流路、破壊力増した土石流…高さ5mに達し建物次々倒壊2021/07/06 22:59  読売新聞オンライン

 静岡県熱海市で発生した土石流について、京都大の竹林洋史准教授(砂防工学)が5、6の両日、被災地を調査した。流路となった谷間は幅が狭く、土石流が広がらずに勢いが集中したため、木造住宅を次々に倒壊させるほどの破壊力となったとの見方を示した。

 竹林准教授が住宅の被災状況を調べたところ、流路にあった木造住宅の多くが全半壊する一方、鉄筋コンクリート造や、流路から数メートル外れた木造では被害が一部にとどまっていた。泥の痕跡から、土石流は高さ約5メートルに達し、建物に衝突しながら波がうねるように流れていた様子がうかがえた。

 泥の粒子は、直径1ミリ・メートル未満の黒っぽい土が大半で、含まれる岩や石が少なく、火山島の伊豆大島で2013年に起きた土石流と似た形態だったという。今後、現地で採取した泥を分析し、当時の状況を再現するシミュレーションに生かすとしている。

 竹林准教授は「一つの渓流から生じたものとしては土砂量が多く、規模が大きい」と指摘。「巻き込んだ土砂がより多かったり、流木がもっと交じったりしていれば、被害が拡大していた恐れがある」と語った。





熱海・土石流「盛り土」は誰が何のために?2021/07/06 20:25  日テレNEWS24

熱海市で、大規模な土石流が発生してから4日目。土石流の最上部に、大量にあった「盛り土」の工事で、産業廃棄物がらみのトラブルがあったことがわかりました。

 ◇◇◇

■熱海・土石流4日目…捜索続く 被災者支援の動きも広がる

6日の捜索の状況です。現地では6日も懸命の救助活動が行われています。6日は午前6時から救助活動が再開されました。5日に引き続き、消防、警察、自衛隊など1100人態勢で救助活動を行っています。

今回の土石流では、およそ130棟の建物が巻き込まれ、これまでに4人の死亡が確認されています。また、熱海市では、6日午前9時から6か所で給水活動を行うなど、被災者支援の動きが広がってきました。

熱海市は、通常の住宅地に加え観光地や、別荘地でもあります。熱海市長によりますと、人の流動が多い街で、土石流に巻き込まれた人の正確な人数はいまだにわかっていません。

そこで5日、静岡県と熱海市は安否不明者として、住民基本台帳に基づき64人の氏名を公表しました。このうち6日午前6時までに40人を超える人たちと連絡が取れ、安否が不明な人は警察が把握している人たちとあわせて29人となっています。

■「盛り土」との因果関係は?

なぜこれほど大規模な土石流が発生してしまったのか?静岡県が因果関係を調べているのが、土石流の最上部で崩落した大量の「盛り土」です。

改めて、国土地理院が撮影していた写真で現地を見てみますと、今から16年前、2005年の上空からの写真では、まだ緑の木々で覆われていたことがわかります。

これが今から4年前、2017年になると「盛り土」が運び込まれ黄土色になり、伐採され、整備されたような様子がわかります。

今回崩落したエリアを重ねると、盛り土の部分がほとんどすべて崩落したことがわかります。この付近で崩落したのは25メートルプールおよそ200杯分の10万立方メートルです。

そのうちのおよそ半分にあたる5.4万立方メートルという大量の盛り土がありました。これがすべて崩落したとみられています。

■崩落した「盛り土」誰が何のために持ち込んだのか

6日になり、「盛り土」について様々なことがわかってきました。今から14年前の2007年。熱海市に対して現場の「盛り土」と「工事」の申請がされました。

申請したのは神奈川県内の不動産業者。当時、この土地の所有者でした。その目的として業者が申請したのが、「道路の補強をするために土地の形を変える工事をしたい」というものでした。もともとあった道路を補強しようとしていたようなのですが、その先の目的はいまだに不明です。

この工事は熱海市から「許可」されたのですが、その後、この土地をめぐってトラブルが発生します。

熱海市によりますと、工事が始まると周辺の住民から「逢初川の水が汚れている」「ダンプが道を汚している」といった苦情が出ていました。

トラブルが相次いだため熱海市の職員がチェックしたところ、この「盛り土」に木くずやタイルなどの産業廃棄物を含む「建設残土」が使われていたことが確認されたというのです。

熱海市などはこの業者に対して、産業廃棄物を取り除くよう指示しました。しかし、取り除かれないまま、この土地は「現在の所有者」のものになりました。現在の所有者が産業廃棄物などを含む残土を取り除いたということです。

整理をしますと、この「盛り土」には産業廃棄物を含む残土が含まれていて、以前、トラブルになっていたということです。

この盛り土には一時、建設工事が終わったあとの残土が混ざっていたことがわかったということですが、国土交通省によりますと、全国で残土の崩落事故はこれまでにも起きていて、2001年から2014年に全国で14件発生しています。

2009年7月、広島県東広島市では民家に流入し1人が死亡1人負傷しています。

また、2014年10月、横浜市緑区では台風による大雨で住宅の裏山が崩れ男性1人が死亡しました。この時、崩れたのは建設業者が持ち込んだ「盛り土」で、違法な造成工事が行われていました。

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熱海市の土石流で、「盛り土」があった場所が崩落したことをうけ、6日、赤羽国交大臣は全国の盛り土の点検を検討していく考えを明らかにしました。

今回はまだ因果関係はわかりませんが、人の手によって持ち込まれた土砂が災害を起こさないよう、徹底した安全対策が必要です。

(2021年7月6日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)




熱海土石流、盛り土含む大規模崩落で被害拡大か 静岡県が調査へ2021/07/06 22:39  毎日新聞

 静岡県熱海市伊豆山地区で発生した土石流を巡っては、最上部にあった盛り土を含む大規模な崩落が被害を大きくした可能性が出ている。川勝平太知事は記者会見で「盛り土部分がほぼ全部、土石流とともに流された。どういう目的で誰が盛り土をしたのかは、しっかり検証する」と述べており、詳しく調べる方針だ。

 盛り土は人工的に土砂を固めたもの。県の推定によると、土石流の崩落量10万立方メートルのうち、盛り土は約5万4000立方メートルを占める。2010年以前に盛り土が行われていたとみられる。今後、専門家の検証が進められる見通しだが、県の太田博文・危機管理部長は6日「一義的な原因はすさまじい異常気象によるものと認識している。開発はあったとしても民間の事業を原因の一つであるかのように決めつけるのは、誹謗(ひぼう)中傷の対象になる恐れがある」と慎重な姿勢を示している。

 盛り土を巡っては、以前から現場周辺に残土を廃棄する業者なども目撃され、近隣住民からは不安の声も出ていた。斉藤栄市長は6日の記者会見で「因果関係は専門家による検証が必要だ」と述べるにとどめた。

 土石流災害を受け、国土交通省は、全国各地にある盛り土の安全性を調査する方針を固めた。盛り土の所管は複数の省庁にわたり、農林水産省や環境省などとも連携して調査を実施したい考えだ。

 今回は盛り土が被害を拡大させたとの指摘もあり、国交省は全国に同様の場所がないか調査する必要があると判断した。具体的な方法は今後の検討となる。赤羽一嘉国交相は6日の記者会見で「関係省庁と全国の盛り土を総点検する方向で考えなければいけないという問題意識は持っている」と述べた。【山田英之、岩崎邦宏】




土砂崩れの9割は林業が原因 政府が誘発する皆伐を推奨2021/07/07 07:00  AERA dot.

 令和2年7月豪雨では、熊本県の球磨川の氾濫(はんらん)などで九州や中国地方を含め80人以上の死者を出した。この時、九死に一生を得た熊本県人吉市在住の70代女性が言う。



「駐車場に水が来ていると思ったら、一気に水位が上がり、あっという間に首の高さまで水が来た。救助隊の人と携帯電話がつながり『部屋の外と中の水位が一緒になったら窓が開くから、落ち着いて外に出て』と言われた。それで外に出られて、何とか助かりました」

 球磨川は「暴れ川」と呼ばれるほど氾濫を繰り返してきたが、昨年7月の豪雨は経験したことのないものだったという。

「水が黄色かった。私は1982年の水害も経験していますが、その時の水は透明でした。こんなに泥が混ざった雨は経験したことがありませんでした」(前出の女性)

 なぜ、泥の混ざった水が大量に発生したのか。球磨川流域の豪雨被害について調査している自伐型林業推進協会の中嶋健造代表理事は言う。

「土砂崩れが始まった場所のほとんどは森林が大規模に伐採された『皆伐(かいばつ)』の跡地。森が保水力を失って表土がむき出しになり、土砂災害を誘発したと考えられます」

 皆伐跡地から土砂災害が発生した痕跡は、グーグルマップの衛星写真でも確認できる。中嶋氏は衛星写真を精査し、球磨村内の土砂災害の発生源をすべて調べた。その結果は驚くべきものだった。

「日陰の影響で確認が難しい箇所を除くと、崩壊箇所は183。そのうちの9割以上が、皆伐地や林業をする時に使用する林道や作業道を起因とする崩壊でした」(中嶋氏)

 なぜ土砂崩れを誘発する皆伐が横行しているのか。背景には、政府が「林業の成長産業化」と称し木材自給率50%達成を目標に掲げていることがある。19年の自給率は37.8%。前年比で1.2ポイント上昇したが、目標である25年までの達成は困難な見通しだ。中嶋氏は言う。

「自給率目標を達成するため、政府は巨大な高性能林業機械に多額の補助金を出し、事実上、皆伐を奨励しています。高性能林業機械を使うには幅の広い林道や作業道が必要で、それが崩壊の原因の一つになっています」

 豪雨の発生は防げないものの、それに伴う土砂災害には「人災」も含まれる可能性があるのだ。

※週刊朝日  2021年7月16日号





全国の盛り土、山間部の急傾斜地など対象に点検へ…省庁連携し横断的に2021/07/07 06:14  読売新聞オンライン