新型コロナウイルスの感染による重症者や死者数が増えているが、一方で無症状や軽症者が圧倒的に多いのも事実だ。一般に高齢者や基礎疾患の保有者が重症化しやすいとされるが、順天堂大のチームが年齢や性別、病気の種類などによって異なるリスクについて、論文をもとに科学的に分析したのが別表だ。そこでは「身長170センチ、体重70キロのちょっと小太りの男性は、重症化リスクが約3倍」という衝撃的なデータが出てきた。
「高齢者や基礎疾患というだけでは基準はあいまいで、科学的なリスクの明確化が重要だ」
こう強調するのは、順天堂大の玉谷卓也講師(免疫学)だ。
「発症直後は軽症者も重症者も同様の症状だが、1週間程度すると、治る人と急激に悪化する人に分かれる」という。
「軽症」と「重症」の分岐点はどこにあるのか。注目されるのが「サイトカインストーム」という現象だ。
ウイルスが体内に侵入した際、ウイルスを退治するために免疫を担当する細胞に命令を伝達する「サイトカイン」という物質が産出されるが、この量が多いと過剰な免疫反応を引き起こし、体内に炎症を生じさせる。
その際、「過剰免疫を制御するための『レギュラトリーT細胞』が減っていると、サイトカインが出すぎて重症化しやすくなる」(玉谷氏)という。
玉谷氏ら順天堂大のチームは、民間企業で重症化リスクを数値として報告する「REXA 新型コロナ感染・重症化リスク検査」を開発し、検査を実施しているが、そこから見えてきたのは、カギを握るレギュラトリーT細胞の機能が低下する要因はさまざまだということだ。
最も重症になりにくい人に比べて糖尿病の人は約2倍、慢性閉塞性肺疾患(COPD)は6・5倍以上のリスクがあるという。「動脈硬化経験者のように血栓ができやすい人は、コロナでさまざまな部位に血栓を作ってしまい重症化しやすいようだ」(玉谷氏)
特筆すべきなのは、重症化リスクを分けるのは、年齢や基礎疾患だけではないことだ。
「男性は女性よりも免疫の働きが弱いといわれ、約2倍のリスクがある。基礎疾患に含まれない程度の肥満も危険で、日本人の30歳以上の男性で約30%以上があてはまるBMI指数(体重÷身長の2乗)が24以上、具体的には身長170センチ、70キロ程度の人のリスクは約2倍になり、さらに男性である点を加味すれば、約3倍のリスクになる」と玉谷氏。
重症化しないためにはどうすればいいのか。玉谷氏は「若くても重症化リスクが高い人もいれば、70歳以上でも健康ならばリスクは低い」とした上で、こうアドバイスした。
「レギュラトリーT細胞を増やすには、食物繊維や発酵食品の摂取などで腸内環境を整えることや運動、ストレスを減らすことが有効だ。また、重症者の方では血中のビタミンD濃度が低いという報告があるが、ビタミンDによってもレギュラトリーT細胞が増える。ビタミンDは夏に5〜10分、冬は20〜30分程度昼間に日光を浴びることや、魚類やきのこ類で摂取可能だ。ストレスを減らすため、適度な運動や十分な睡眠にも効果が期待できる」
いまからでも遅くはない。
羽田雄一郎参議院議員が53歳の若さでコロナ禍に倒れたのは記憶に新しい。「自分は若いから、大丈夫」と考えていた層に衝撃を与えたことだろう。
冬のコロナ大感染、わかりきっていた危機になぜ日本は対応できなかったか
米テキサス大学の報告では、50歳以下でも過体重は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化、入院リスクであり、重度の肥満者は正常体重の患者よりも、死亡リスクが36%高いことが示された。生き延びても後遺症に悩まされる可能性が高い。
さらに、独立したリスクとして注目されているのが脂肪肝だ。
新型コロナウイルスの侵入ルートは肺や腎臓、心臓などの内臓や脂肪細胞の表面に分布しているアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)だ。ウイルスがACE2に結合すると、もともと存在している細胞膜内への通過ゲートが開き、細胞内に侵入、増殖を始める。
昨年末に報告された研究では、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)患者は、ウイルスの侵入経路であるACE2と通過ゲートが増えているとわかっている。
同研究は肥満手術を受けた56人の女性が対象。23人がNAFLDと診断済みで33人は診断基準を満たしていなかった。対象者は術前に肝臓、空腸、内臓/皮下脂肪のACE2発現量を調べている。
その結果、同じ肥満度でも、NAFLDの患者は肝臓、内臓/皮下脂肪でACE2発現量が有意に増加していたのだ。研究者は「NAFLDは肥満とは別に、それ単独でCOVID-19の重症化リスクになる」と結論している。
脂肪肝というとアルコール依存症や病的肥満に伴うものと思いがちだが、日本人は見た目が標準体形でも筋肉不足で内臓脂肪が多いタイプの「隠れ脂肪肝」が多い。自覚症状がほとんどないので、脂肪肝に気をつけている人は少ないだろう。
しかも、NAFLDの好発年齢は男性が40〜50代、女性は60代の中高年層で、いわゆる「会食」で感染しやすい層と重なる。
健康診断で「肝機能異常」を指摘された経験がある人は、感染対策をもう一度、見直すこと。「持病はないから大丈夫」と高をくくっている場合ではない。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
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大阪府の吉村洋文知事(45)が19日、自身のツイッターを更新。大阪府内の5500もの歯科医院でクラスターが発生していないことについて述べた。
吉村知事は同日、歯科医が「正しいうがいが大切」などと述べた記事を引用。その後、「コロナウイルスは口の中、唾液に多く含まれている。なのでマスクが有効だし、飲食の場も指摘される。一方で利用者側がマスクができない環境に歯科医院がある。大阪には5500もの歯科医院があるが、クラスター発生はゼロ。感染対策の賜物と思うが、何かある。何か? 専門家には、是非分析してもらいたい」とツイートした。
歯科医院は、新型コロナウイルスの流行後、感染症対策をいっそう強化している。公益社団法人日本歯科医師会が昨年8月に公表した「新たな感染症を踏まえた歯科診療の指針」の「歯科医療機関における感染予防策」によると、治療中に飛び散る飛まつを最小限にすることや、医療用手袋の患者ごとの交換、歯科用ユニットや周辺機器、トイレなどの消毒、エックス線撮影時に嘔吐反射が強い患者などに対し口外から撮影すること、患者の健康管理、治療前後のうがいなどについて記されている。
新型コロナウイルスに感染し、その後死亡した福島県内の患者34人(16日時点)について、半数以上は病院の入院患者や高齢者施設の入所者だった。もともと重篤な病気を抱えていた患者に感染が広がり亡くなったケースが多く、直接死因が同ウイルス感染症でない人も半数以上にのぼった。県は院内感染を防ぐために、地域全体での感染対策の徹底を呼び掛けている。【高橋隆輔】
県が18日、発表した。死者34人の内訳は、男性20人、女性14人。年齢別では、90代7人▽80代16人▽70代9人▽60代1人▽50代1人。
死者の多くを占めていたのが、感染以前から重篤な病気を抱えて入院していた患者。その大半で新型コロナ感染症は重症化しておらず、もともとの病気が死因となっていた。
死者の平均年齢も男性79・8歳、女性86・7歳で、県の平均寿命(男性80・12歳、女性86・40歳)とほぼ同じだった。
18日現在で毎日新聞が集計した全国の陽性者の死亡率は1・4%。県内の死亡率は2・3%と比較的高いが、県新型コロナウイルス感染症対策本部は「院内感染を除けば、県内の死亡率は高くない」と分析。「地域全体で感染を防止することが院内感染も抑制し、結果的に死者も減らすことができる」と、改めて基本的な感染対策を呼びかけた。
「婚活」には生き延びるためのスキルが詰まっている。社会との繋がり求め『ウツ婚!!』著者が起こした行動2021/01/20 07:46 ハフポスト日本版
コロナ患者受け入れ病院、通常診療が困難になる理由2021/01/20 07:00 JBpress
19日時点の死者は9万1470人と、欧州で最悪。世界では米国、ブラジル、インド、メキシコに次いで5番目に多い。
19日には新型コロナ検査で陽性反応が判明してから28日以内の死者が1610人と、これまでで最多を記録した。現時点での入院数は約3万8000人、人工呼吸器が必要な患者は3900人強。
新型コロナへの政権の危機管理対応に問題があるとして調査を求める声が上がっていることについて、ジョンソン首相は「パンデミック(世界的大流行)のさなかに、調査を優先して膨大な資源を費やすことは賢明ではない」と述べた。
*内容を追加しました。
昨年11月14日、「あんしんせいかつ葵」の職員が夜勤明けで帰宅したところ、職員の同居人が「コロナ陽性」と判明。職員はすぐに会社に報告し、症状はなかったものの、濃厚接触の疑いで自宅待機となった。
16日に発熱があったためPCR検査を受け、翌17日にはコロナ陽性が判明した。
「14日に報告を受けてまず行ったのは、夜勤で関わったフロア(3階、4階)をすべて立ち入り制限にする『フロア隔離態勢』です。コロナの潜伏期間を考慮して2週間、フロア隔離は職員も固定し、ほかの職員との接触もなくすよう、施設への入り方からすべて動線を変えました。同時にゾーニングも行い、フロア隔離の利用者は部屋での食事や食事介助、入浴も個別で部屋での清拭としました」
19日にはフロア隔離の利用者、濃厚接触疑いの職員合わせて25人のPCR検査を実施。全員が陰性と判断されたが、偽陰性の可能性を警戒し、2週間の隔離は継続。利用者と職員の体調管理も続けた。さらに、フロア隔離だけでなく、施設全体(3階から7階すべて)の面会、外部からの立ち入りを禁止した。
これらの対策マニュアルは、昨年2月から看護師、在宅クリニックの医師と話し合いを何度も行いながら作り上げていたという。加えて、愛知県のステージ表に沿ったステージ表も作成し、毎週、全職員と利用者、利用者の家族にも発信していた。
■根拠のない「たぶん大丈夫」はしない
重症化リスクの高い高齢者が利用する高齢者福祉施設でのクラスターは増え続けている。
「あんしんせいかつ葵」でクラスター発生を防ぐことができたのは「根拠のない『たぶん大丈夫』はしないこと」だと中島氏は言う。
「もうひとつ挙げるなら、隠さずに情報をオープンにすることで先手先手で動けた点。コロナ感染者が出たときは、風評被害を考えてどうしても隠してしまいがちです。しかしオープンにすることで逆に職員、利用者さま、ご家族さまらの協力を得られたのです」
厚労省は、施設に陽性者が1人出た場合、職員、利用者を一斉検査するように自治体に求めているが――。
「今回特に感じたのは、利用者さまの検査をすぐにしたいと思っても、病院に行ける人ばかりではありません。寝たきりでご自身では動けない方もたくさんいる施設では、保健所に来てもらい検査をしてもらう必要があります。ただ、保健所もすぐには動けない状態で、検査が遅れる場合があるのです」
中島氏の「メグラス」には在宅クリニックがあり、すぐに検査を行えた。一方で、そうでない施設もたくさんある。
また、職員が陽性で運営することができなくなったら、利用者に対してどのような対処をすればいいのかという問題もある。
■決定から実行までスピーディーに対応
「一斉検査をゴールとするのではなく、その後どう対応していくかを自治体が考え、それに対して施設側の対策を考えていくべき」
コロナ禍での高齢者福祉施設では、家族との面会がままならないことによる利用者の認知機能の低下や、ADL(歩行などの日常生活動作)の低下なども指摘されている。対策として、面会に関してはオンライン面会などで対応できるようにし、ADL低下予防に関しては看護師、リハビリスタッフ、介護士が協力して、利用者に廊下を歩いてもらったり、居室内で手足を動かしてもらったりしている。
「迷っていると後手に回るため、決定から実行まで、とにかくスピードを持って対応しています」と中島氏。職場、そして家庭で、コロナ感染拡大を抑止する参考にしたい。