気まずさのあまり、次第に私は彼を避けるようになり、親しく話すどころか、話すこと自体がなくなっってしまった。その後たった一度だけ言葉を交わしたことがあったが、それはとても短い業務連絡のようなものであった。
時が経ち、無事に卒業式を迎えた私は、隣の市の中学に行き、彼は地元の中学に進学した。小学生の時にケータイを持っている子はほとんどおらず、もちろん私も持っていなかったため連絡を取ることもできず、卒業した後はたまに彼のことを思い出すくらいであった。


成人式当日。
友達のお母さんの車に乗せてもらい、着付けが大変だっただの、草履だと歩きづらいだのと、他愛もない会話をする様子とは裏腹に、私の鼓動は、会場に近づくにつれて恐ろしいほど速くなっていった。それは、「彼と会えるかどうか」というのではなく、「小学校の友達が私のことをまだ覚えてくれているか」という不安と、久しぶりに友達と会える喜びによるものであった。

車から降りた私と友達は、慣れない草履と寒さによって、小さな歩幅でしか進むことができなかった。
駐車場から会場の入口までの道のりには、既に久しぶりの再会を果たした友達グループがいくつもあり、それが自分の知り合いではないかを1組ずつ確認しながら、ゆっくりと、とはいえ草履を履いた上での全力の速さで歩いた。



入口にたどり着くと、私と一緒に来た友達の名前を呼ぶ声がした。声の方に目をやると、そこにいたのは、真っ赤な振袖を身に纏った、黒髪の、凛とした女性であったが、顔を見てすぐに、その子は真面目で、読書好きで、とても頭の良い女の子だと気がついた。私の友達とその子は、幼稚園が同じで、成人式の少し前に会ったと言っていたため、お互いを見てすぐに気がついたのだろう。2人が挨拶を交わした後に、少しの不安とかなりの期待を込めて、「私のこと、分かる?」と聞くと、彼女はしっかりと私の名前を言って、「覚えてるよ!」と言ってくれた。安心と嬉しさと懐かしさが一気に込み上げて、私の鼓動は走るのを止められなかった。彼女は、友達を待っていたらしく、私と友達は先に会場内に足を踏み入れた。




渋谷にある平成カフェ