犬は若いうちに手を打て | 渋沢どうぶつ愛護病院のブログ

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日々感じたことを、ときどき綴ります。

 

子犬を新たに迎え入れるのは、2~3ヶ月齢(8~12週齢)くらいが多い。この時期は、社会化期の真っ只中。子犬は、好奇心旺盛であるのと同時に、様々な刺激に対して敏感でもある。この時期に適切な接し方をしておくと、後々比較的寛容な性格になることが知られている。時機を逃すと、吸収力や柔軟性は低下する。子犬の心は冷めた鉄のように固くなり、再び成型し直すのは苦労することになる。大事なのは、熱いうちに様々な刺激を打っておくことだ。

 

これから経験する可能性のあるすべての刺激や環境に、早い段階で触れてもらうことが重要。子犬を迎えたら、すぐに始めたいことは、これに尽きる。

 

  ・自宅内での刺激:掃除機、洗濯機、テレビの音、外から聞こえる音

  ・自宅外での刺激:通行人、他犬、自転車、バイク、踏み切り

  ・人に対する社会化:家族、親戚、友人、来客、子ども

  ・物に対する社会化:歯ブラシ、ブラシ、タオル、ドライヤー、爪切り

  ・動物病院に対する社会化:獣医師、動物看護士、トリマー

 

ここで大事なのは、怖がっているところに闇雲に経験させるのではなく、「良いイメージ」と結びつけること。そんなときに使えるのが、子犬が大好きなフードやおやつ、おもちゃ。このようなツールを利用して、いろいろな刺激や環境に慣れてもらう。あくまでも、「楽しく、優しく、無理強いせず」。目一杯疲れるまで遊んであげることも欠かせない。ビクビクせず、フレンドリーに育ってくれれば、その先も家族とともに落ち着いた生活を送ることができるようになるはず。

 

再び恐怖心を抱くような後戻りが起きないように、1歳くらいまでは、こういった接し方や遊び方を継続することが理想。時間も体力も精神力も必要だが、この短い期間だけだと割り切って、家族みんなで協力して取り組んでいただけると、こちらとしても助かる。

 

「そういえば、おもちゃでうまいことごまかされたっけか。」

 

 

 

院長 渡部伸一