豪快スカベンジャーズ | イマジナー獣医師の内面世界

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発酵と腐敗は、科学的には同じ原理で、その違いは、完全に個人の価値観に基づくものなのだそうだ。「おいしい」と思えば発酵、「食べられない」と感じれば腐敗ということらしい。

 

インドやアフリカに棲息するジャッカルは、自分で狩りをして獲物を得る一方で、大型の肉食動物が食べ残した獲物の死肉も食べる。北アメリカと中央アメリカに棲むコヨーテもそう。彼らは、自然界の「掃除屋」として知られるイヌ科動物で、腐肉食動物とも呼ばれる。

 

腐敗は、食べ物に微生物が増殖した結果、本来の色や味、香りなどが損なわれる現象で、食中毒のように特定の微生物によるものではないため、腐敗した食品を食べても、一般的には下痢や嘔吐などの症状は見られないとされている。だからこそ、掃除屋の彼らは、草原に何日も横たわる動物の死肉を食べても平気なのかもしれない。


私たちの身近にいる犬は、その祖先が大昔に群れで狩りをしていたとされていて、仕留めた獲物の肉を土に埋めて保存していたそうだ。お気に入りの物を土に埋める犬の行動は、その習性の名残なのかもしれない。そう考えると、埋めた後に掘り出して食べていただろうから、犬たちも腐肉食動物の側面を持っているのではないかと思う。

 

何日も経って、色も臭いも変わった肉を前にして、腐っているから「食べられない」と悲しむ人間。一方で、発酵してて「おいしい」と喜ぶ腐肉食動物たち。実にたくましい。

 

「ペロリと食べちゃうよ。」