オーケストラ・ルゼル 第12回定期演奏会 | 音楽な日々

オーケストラ・ルゼル 第12回定期演奏会

$音楽な日々-シベコン本番
オーケストラ・ルゼル 第12回定期演奏会
7月15日 杉並公会堂
ボロディン 歌劇「イーゴリ公」序曲
シベリウス バイオリン協奏曲 独奏 藤田有希
ベートーヴェン 交響曲第6番「田園」
シベリウス アンダンテ・フェスティーボ(アンコール)

オーケストラ・ルゼル 第12回定期演奏会、本当に素晴らしい演奏会となりました。

オーケストラ・ルゼルさんとの共演は、2011年7月以来、2年ぶり2回目となりますが、前回と同じオーケストラとは思えないほど、進化していました。オケ内のアンサンブルが緻密になり、さらに音色の引き出しも非常に増えていました。特に柔らかく温かい響きが充実し、このことが、今回のコンチェルトや田園で、大きな力となりました。

本番、シベリウスのバイオリンコンチェルトでは、ソリストの藤田有希さんが、非常に高い集中力、淀みのない推進力を持った素晴らしい演奏をし、深い感動を与えてくれました。なにより彼女自身の純粋な心、シベリウスへの深い共感、そしてシベリウスの暮らしたフィンランドでの体験から生み出された演奏は、フィンランドの雄大な自然と、シベリウスの繊細、かつ深淵な精神世界を余すことなく表現、本当に素晴らしい演奏でした。そんな素晴らしいソロに触発されて、オーケストラのサウンドも、一気に深く豊かになり、難しいソロとの絡みも、ほぼ完璧にクリア、オーケストラも見事でした。素晴らしいソリストとの共演は、これほどまでにオーケストラを変え、音楽の深い感動を与えてくれるものなのだと、あらためて感銘を受けました。彼女とは、彼女が高校生の頃からの付き合いで、もう10年近い付き合いになりますが、お互いシベリウスが大好きで、いつかシベリウスのバイオリンコンチェルトを共演したいね、と何度も話をしてきたのですが、今回、最高の形で夢の実現が出来て、本当に感動しました。藤田有希さん、本当にありがとうございました。

お客様も、オーケストラも、シベリウスのコンチェルトに超感動して、心のエネルギーをかなり使ってしまいましたが、ふと気付けば、演奏会はまだ前半が終わったところ。15分間の休憩で、心をリセットし、後半に備えます。

田園は、言わずもがな、楽聖ベートーヴェンの生み出した傑作の中でも、後の交響曲、管弦楽曲の世界を変えた超名曲の1つ。音符は必要にして最小限しかかかれていませんが、そこから生み出される音楽は、雄大な自然、そして神への祈り、感謝。たくさんの音や、強烈なパワーで圧倒する音楽とは対極の音楽で、本当に演奏の難しい曲です。そのため、練習では、音色についてや、小節を跨いだ雄大なハーモニーの存在をどう表現するか、など、非常に神経を遣う細かい注意点について、繰り返し、お話しし、練習を進めてきました。オーケストラ・ルゼルのみなさんは、そんな細かい練習にも、忍耐強く、非常に熱心に、高い自発性を持って取り組んで頂きました。本番、圧倒的なシベコンのあとで、オーケストラは、メンタル的にも、体力的にも、かなり大変だったことと思いますが、そんな中でも、静かでゆっくりした流れの音楽から、多くを語る、見事な演奏を聴かせてくださいました。本当に立派な演奏でした。

アンコールは、前半の協奏曲と同じシベリウスの作品から、アンダンテ・フェスティーボ。前半の藤田有希さんの圧倒的なシベコンとのバランスを考えて、かなりパッショナートに演奏しました。リハーサルとは、全く違うテンポ、ニュアンスで演奏したので、オーケストラも最初の一瞬動揺が見られましたが、すぐに理解して熱く演奏してくれました。一音一音の表情が息づき、うねる、弦楽特有の温かく熱い演奏となりました。あれだけの人数がいても、一瞬で1つになれるんですよね・・・人間ってすごい、そして素敵です。ちなみに、終演後に、知人から「アンコールは石毛さんのチョイスですか?」と尋ねられましたが、これはオケからの提案でした。私の大好きな曲なので、即了解しました。古典の田園を挟んで、シベリウスの名曲2曲置いた、本当に素敵な演奏会になりました。

当日、1時半開場にも関わらず、1時過ぎには既に受付前に行列が出来はじめ、1時10分頃には、その行列が1階ロビーまで達して、開場の催促がありました。お客様の高い期待を感じられ、気持ちが引き締まりました。予定よりも15分近く早く繰り上げて開場、結局、1036人という、非常に多くのお客様にご来場頂きました。記録用のビデオカメラが設置され、オケの関係者で客席で聴いた人もいますから、ほぼ満席でした。イーゴリ公から、シベコン、田園、そしてアンコールまで、お客様から温かい盛大な拍手を頂き、オーケストラ共々、多くの元気を頂きました。本当にありがとうございました。

最後に、あらためて素晴らしいソロを弾いて下さった藤田有希さん、そして、一緒に練習を重ねて、素晴らしい演奏を共にしてくださったオーケストラ・ルゼルの皆さんに、心よりお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。一生忘れられない、素敵な演奏会でした!! ありがとうございました。