シネックス岐阜で、映画「月」の上映&石井裕也監督トークショーを観に行きました。




映画「月」は、あの相模原の事件をテーマにした映画。
冒頭から終わりまでずっと重く辛い映画でした。実はとても気になっていながら前日まで観るのをためらっていました。
ただ映画館で観て、監督の話しを直接聞ける機会はこれを逃すと二度とないだろうという思いで観に行きました。

宮沢りえ演じる書くことができなくなった小説家が障害者の入所施設に勤めます。そこで見た障害者施設の虐待とそこからあの恐ろしい事件が起こる過程が描かれます。
主演の宮沢りえ、犯人を演じる磯村隼人、共演の二階堂ふみとオダギリジョー、素晴らしい演技でした。ドキュメンタリーのような進行と闇と月の演出も見事でした。

この映画は、相模原事件だけでなく、主人公の女性を通して、出生前診断や目に見えない優生思想など
犯人の心理に迫るのではなく、最終的には観ている観客一人一人に迫ってくる映画です。

特別な人にではなく、誰にも関係するけれど語られることのない社会の闇を描いています。



観る人の立場や価値観でかなり賛否の分かれる映画だと思います。トークショーでも辛辣な意見を直接監督に直接ぶつけるもいました。
これまで何度もシネックスのトークショーは見ていますが、今回のような重い雰囲気のトークショーは経験したことがありません。

僕自身は、障害者の家族であり、障害者施設の職員でもあります。このような映画を観るのはとても辛く、また、障害者施設の闇の面がクローズアップされることの悪影響を考えると手放しに絶賛する気持ちにはなれません。

でもトークショーで監督の思いを聞き、監督が相模原の事件に真摯に向き合って、リスクを負いながら事前調査をして障害者施設の闇を知り、あえてタブーに挑戦したということはよく分かりました。

終わったあと、偶然となりの席で一緒に映画を見た友人たちと映画の感想を語り合うことができました。一人の中に留めておくには辛すぎる映画だったので、とてもありがたかったです。