ロイヤル劇場で映画「学校」を約30年ぶりに観ました。


山田洋次監督の名作。夜間中学を舞台にした作品。
夜間中学とは、何らかの事情で子どもの頃に教育が受けられなかった人たちが大人になってから学ぶ学校。いろんな複雑な事情を背負った生徒が集います。

西田敏行、竹下景子が教師、生徒役は田中邦衛、萩原聖人、中江有里、裕木奈江などの面々が演じています。
前半は、作文の授業の中で生徒一人一人の背景が描かれていきます。社会から取り残されたような人たちが、身を寄せ合うように夜の学校に集まり、教師も生徒も一緒になって時には辛い境遇に泣いたり励ましたりする姿に何度も涙が出ました。

後半は田中邦衛演じるイノさんのエピソードが中心になります。田中邦衛の演技はやっぱりすごい。苦労人の人生の重みや悲しみが滲み出るような演技。
そしてイノさんの生き方を通して本当の「幸せ」とは何かを考える授業に。西田敏行の教師が生徒たちと一緒に考える授業は本当に素晴らしかった。

「幸せ」とは何か?なぜ学ぶのか?について、ここまで正面から捉えて描いている映画はないと思います。
30年たった今もなお色褪せることのなく、心に刺さる作品でした。