一体、あの3月からの出来事はなんだったのだろう。
いま、考えても不思議でならない。
・・・・・・・
その年の初め、
いや。もっというとその年の前の年。
私にとって、辛く苦しい日々だった。
離婚し、生きていく方向を見失った私
灯火にしていたのは、そのとき
片思いをしていた人だった。
その人には、3年もの間、
一途に恋焦がれていた。
辛く苦しいけれど、
彼への思いを抱いて
これから何年も生きていく。
誰かを好きであること、
ただそれだけに生きがいさえ感じて
毎日を過ごしていくものだとばかり思ってた。
そんな私にとって
セックスなどというものは
過去の幻でしかなく
その
片思いの彼に対しても
教室の片隅から
そっと憧れの彼を見ている。
それだけでいい
それがいい
という感覚でしかなく
そのことだけで
苦しい毎日を生きられると思っていた。
しかも、私は、15年ものセックスレス
処女膜はきっと再生されたと思うくらいに
セカンドバージンであり
それは一生続くだろうし
それでもいいと思っていた。
セックスは、私にとって、古い遺物でしかなかった。
人生はどんなにその未来を予測しても
その通りになったりはしない
予測通りの人生なんてないということは
私は自分の離婚劇を通じて
骨身に染みていた。
ただただ、家庭のため、子供のためということで
自分の身を削って生きてきた私には
離婚、つまり、
家庭の分散という事態になってしまうとは
全く、予測もできないことだった。
そんな私でさえ、この辛い今は
未来においても変わらず続いていくと
知らず知らず思っていた。
それが
3月のあの日
私の概念では存在しなかった
不思議な男性の登場で
一瞬にして、
私の人生は根本から変わってしまった。
そして闇に葬っていたセックスについても
私の内に潜む
その欲望が暴き出された。
3月のあの日
突然現れた男性と出会った瞬間
その瞬間に私の全てが変わったように思う。
心より先に身体
そして私の最も閉ざされた場所が熱くなった。