「いつか花の咲くところ」 吉川彩子 | 瞬間(とき)の栞 

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幸せ、癒し、心の栄養になる「本と言葉」をご紹介してゆきます。
個人的な読書感想文、読書随想です。本の内容、あらすじができるだけ解るように努めています。
ただしネタバレがありますので充分ご注意ください!

 

「夜がきて、町にはオレンジ色の

 

あかりが灯される

 

わたしたちのこころの闇にも

 

あかりを灯そう

 

消えた子どもをけっして

 

忘れてはいけないと

 

これ以上消えさせてはならないと」

 

 

 

 

 

 

 

「いつか花の咲くところ」 吉川彩子

 

 

 

 

 

 

 

白い花の表紙。

 

 

 

 

開いた本の目次から、

そっとページをめくると

 

 

 

吉川彩子さんが、子どもの

視線にゆっくりと降りてゆき、

静かに語りかけます。

 

 

 

それは

 

 

 

純粋な真っ白いページの上に

いのちの鼓動が文字となって

躍動しています。

 

 

 

 

夜がきて、町にはオレンジ色の

あかりが灯される

 

 

わたしたちのこころの闇にも

あかりを灯そう

 

 

消えた子どもをけっして

忘れてはいけないと

 

 

これ以上消えさせてはならないと

 

 

 

 

子どもたちをこれ以上、決して

消えさせてはならないという

想い。

 

 

 

吉川彩子さんは、2013年、子どもの

いじめや虐待を憂いた詩を、前作

「ぼくがこんなにつらい旅をしてきた

のは」に綴られました。

 

 

 

「虐待やいじめなど、子どもが傷つく

事件が起こる度に、心が震え凍り

つきます。」

 

 

 

彩子さんは、あとがきにこう記しています。

 

 

 

それ以降も、いじめや虐待で自殺や

殺人という、幼い哀しみが新聞に

くるまれて届くことになりました。

 

 

 

悲しい事件を経験しても虐待やいじめ

は、減ることはなく繰り返されています。

 

 

 

この詩集は、前作の詩に未収録の詩を追加

し、再度編み直しされました。

 

 

 

詩の力は、人の心を変えてしまう

すごい力を持っています。

 

 

 

そのうえ

 

 

 

リアルに心に痛みをともなう想像力を

有しています。

 

 

 

痛みを感じるからこそ、相手に絶対に

してはならないことを、心が解るのだと

思いますし、抑圧されることを自分に

置き換えて考えるだろうと思うのです。

 

 

 

僕は

 

 

 

痛みをともないながら、詩を創られた彩子さん

の哀しみと希望が、この詩集に込められて

いると感じました。

 

 

 

 

ぼくはいつも押し入れの中で

 

体をまるめて寝ている

 

天井を見ても

 

絵本で見た天使はいない

 

 

 

 

少しでもたくさんの人に感じていただき、

大人が子どもたちを守ってあげられることを

切に願っています。

 

 

 

子どもたちにとっての天使になれるように・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彩子さんの子どもたちに向けた

メッセージの詩を聞いてください。

 

 

 

いま まさにカッターをふるえながら

にぎっているきみ

 

 

いてもいなくてもおなじとおもったきみ

 

 

そんなきみに

 

 

いのちをたいせつに

 

 

とか

 

 

いきていればいいこともある

 

 

とか

 

 

きみのことしんぱいしてくれてる

ひとはきっといる

 

 

とか  かんたんにはいえないけど

 

 

すくなくとも

 

 

きみのかおはゆがんでなどいないよ

 

 

かがみはみないで

 

 

ざせつしたり

 

 

ちゅうしょうされたり

 

 

いじめられたり

 

 

しねとなんぜんかいもいわれたり

 

 

びょうきでぜつぼうしてるとしても

 

 

いましななくても

 

 

いつかひとはしぬんだ

 

 

だからこそいきつづけてほしい

 

 

とどくことばがあるならば

 

 

とりあえずしぬのはやめて

 

 

まわりのだれかにたすけをもとめて

 

 

つらいことからにげて

 

 

たとえいきることにいみがないとしても

 

 

いきていれば だれかをだきしめて

あげることができる

 

 

あいされなくてもあいすることはできる

 

 

しぬことはこのうちゅうからいっしゅん

かくれるだけ

 

 

でもずっとかくれてることはできない

 

 

かんけいないよっていうだろうけど

 

 

いきることでたしかなもの

 

 

なにかみつかるはず

 

 

かみさまはしんじなくてもいいけど

 

 

いちどでいいから

 

 

じぶんをしんじてみて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうぞ

 

 

 

 

 

彩子さんが、子どもたちの哀しみ

を、自ら、自身の心に突き刺し、

そこから生まれてきた言葉で

創られた命の詩」を感じてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

【出典】

 

「いつか花の咲くところ」 吉川彩子 パブフル

 

 

 

 

 

 

 

 

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