4月から社内監査役(役員)に就任したわたし。

 

取締役会だの株主総会だの仰々しい会議を経ての就任手続きだの、社員から退職しての就任となるための退職手続きだの、3月終わりから4月にかけてはなんだかんだで多忙である。

 

定年前の58歳、退職は定年退職でなく勧奨退職となり退職願を会社に提出して退職する。会社の方も、本人が納得して退職した記録をきちんととらなくてはいけないので、何月何日にどういった説明をしたとか、いつどこで同意を得たとか、時系列ごとの文書を作成して保存しておかなくてはいけない。(本人の了解なしに解雇したと言われてはいけないから)

 

というわけで、社内監査役の部屋に移って一息、というところだが、やっぱりどうも役員の部屋というのは落ち着かない。どうもわたしは役員という柄ではないのかも・・・。

 

などといっていても仕方ない。早速、3月の決算が締まると監査業務である。

 

監査役の監査には業務監査と会計監査がある。業務監査は会社の業務に不正がないか、現場に赴いての監査。会計監査は決算が適正に行われているか(不正にお金が使われていないか、ウソの数字がないか)の主に書類上の監査。

 

決算監査は会計監査であるので、まずは社内監査役が中身を監査した結果をまとめ、監査役会に提出。監査役会では社外監査役(弁護士や会計士など)に対して監査結果を吟味して承認をもらう。そのあと、株主総会で会社が決算発表をして、監査役が決算監査の意見を述べる。

 

これが4月から5月の1ヶ月間にあるので、今から緊張しているのである。

 

さて、役員になってみて、そうなんだ〜!とビックリしたことがあって。いや、会社員ならそんなの知ってて当たり前だろ!という内容かもしれないけど、わたしは案外、出世や待遇なんかにあんまり固執していない、鷹揚に生きていたものなので、へ〜っと思うことが多かったりする。

 

まず、社員は会社と雇用契約を結ぶが、役員は委任契約である。よって、役員は雇用されているのではないので、就業規則に縛られない。(特に監査役は社員と兼任できないから、100%役員となる)

 

つまり、出勤・退勤時間、労働時間、休憩時間、休暇などの決まりがないのである。

 

だから、何時に出社しても、何時に帰ってもいいし、いつ休んでも構わない。休暇届も不要(ただし、県外出張届は必要)。出勤簿もない。

 

常勤役員なので、会社から要請があった時のみ出勤する非常勤役員と違い、社員と同じように出勤するのであるが、じゃあ、週何日以上というのも明確に決まっていないのである。(だいたい社員さんと同じように出勤し、同じくらいの休みを取るようにしている)

 

確かに、言われてみればそうであるが、自分が本当にそんな立場になったのかと思うと、自分ごとながら「すご〜い」なんて思ってみたりする。

 

でも、いいことだけではない。

 

労働時間の決まりがないということは、労働基準法の労働時間上限も休憩時間の付与の義務もない。24時間ぶっとうしで働いても違法ではない。(まあ、そんな状況になることはないだろうが)

 

また、取締役会で解任決議されれば、すぐクビ。社員はそう簡単に解雇することはできないよう、法律で保護されているが、役員は雇用者ではないので、そんな配慮は一切なし。

 

雇用者でないので雇用保険もない。失業給付も(ある一定の条件を満たさないと)もらえない。

 

いいとこもあれば、よくないところもある。気楽になったところもあるが、責任が重くなったところもある。

 

まあ、昔からそうだったけど、これからも、まず自分のことは一旦横に置いておいて、自分の職務を粛々とこなすこと。これは変わらないわたしの仕事の流儀。