11月28日。天気が良かったので、お昼前からお出かけ。三浦半島の西海岸方面へ。例によって保土ヶ谷バイパスから横浜横須賀道路を南下。逗子ICまではあっという間だった。
 そのまま逗葉新道に入ってトンネルを抜けると再び料金所が現れる。何の意識もなくそのまま通り過ぎようとすると、突然目の前に誰かの手がかざされて、慌ててブレーキを踏んだ。脇の窓口から顔を出した初老の男性が、「100円です!ここETCじゃないんで!」と畳み掛ける。たった100円のためにこんなドッキリを仕掛けるのか。なんと煩わしい。まして100円じゃ人件費も出ないんじゃないのか。まったく驚くばかり。

 でも、後で調べてみると、神奈川県道路公社というところが経営していて、収益率はなんと二倍以上なんだそうな。恐るべし。そんなに儲かってるんなら、せめてETCにしてくれんかなぁ。
 さらに直進して葉山隧道の手前を右折してから海岸沿いの森戸海岸線に出る。これがなんとも狭い道なのに、あろうことか路線バスまで走っていて、すれ違いざまに電信柱の陰に車を寄せなければならない始末。海水浴場の沿道で、レストランやビーチサンダルのお店が並ぶ界隈なのだから仕方がない。
 間もなく目当てのレストランが見えたものの、駐車場もなくランチ時で店先に行列が出来ていたのでやり過ごした。そのまま流されるように街道を進み、右手にモダンなデザインの県立近代美術館をやりすごすと「葉山御用邸」の案内標識。左手の葉山警察署と向き合うように、蔦の絡まる重厚な門構えがあった。嫁も「へえー。どこどこ。」と興味津々。随分と古めかしい佇まいに人を寄せ付けない重厚な趣があった。

 行く先を決められないままに走り続けると、立石公園の案内。思い切って矢印の先に向かって飛び込んでみると、おっと車が数珠つなぎ。やっちまったなー。後悔しつつも行列に並んで辛抱してみると、意外に早く空きが出た。ここは県立の公園だから駐車場は無料。そして肝心の眺望はと言えば、なんとこれが正に絶景。快晴の青空の下にきらめく海。対岸には富士のお山がどっしりと鎮座して、近景には立石と磯部の枝振りの良い松の木。まさに銭湯の壁面に描かれたペンキ絵そのものだ。こんな風景が本当にあったんだなー。と感心する東北の田舎者がここにいた。

  

 

  

 

 

 しばらく心地よい日差しを浴びながら浜辺を散策して十分楽しんだ。この後は、お決まりの麓山マリーナに行ってみよう。そうして街道を後戻りして鎌倉方面へ。
 改めて狭い町内を譲ったり譲られたりしながら20分ほど走ると、葉山マリーナに到着。タイミングよく駐車所に空きがあった。晩秋のヨットハーバーには、シーズンを終えた数々の船が静かに並んでいてた。それでも沖の水平線には、何艘かのヨットが帆を掲げて、ゆく秋を惜しむかのように水上を走っている。

 時間も押していたので、マリーナプラザのイタリアン、イル・ティモーネでちょっと遅いランチにした。少し待って海を臨む窓際の席に通された。防波堤の向こう側で、ウインドサーフィンに興じるグループが、蜜にむらがる蝶の群のようにヒラヒラと舞って見える。

 人気メニューが終わってしまっていて、ふたりともチーズリゾットにしてみた。それは思いの外良い味だった。嫁は「今まで食べたチーズリゾットの中で一番美味しかった。」と喜んでいた。
 会計で駐車券を提示すると3時間も付けてくれた。折角なので、ゆっくり散歩して行きたかったけれど、帰りのラッシュには捕まりたくなかったので、早々にマリーナを後にした。短い時間だったけれど、とても良いお出かけになった。