夕食は「志津川タコしゃぶとアワビの踊り焼きをメインにした海鮮料理」。アワビは柔らかかったけれど、普段食べつけない悲しさ、いまひとつ味が分からなかった。貝類が苦手な嫁も果敢に挑戦して恐る恐る口に運んでいた。しかし案の定、作り置きの懐石が苦手な嫁はそれ以上食が進まない。夏休み中のリーズナブルなプランだったので贅沢は言えないけれど、お造りにトロなんかが入っていたら納得してもらえたかも…。


食後少し気分が悪くなって早々に横になった。お昼に食べ過ぎた牛タンに胃がもたれ、道中の被災地の光景に意気消沈し、真夏の強い日差しにあたってすっかり消耗してしまった…。

翌朝ふと目が覚めた。時刻は4時半過ぎ。トイレから戻って何気なくカーテンを開けてみると、水平線に沿ってオレンジ色の光が差していた。まさに夜明けだった。ソファーに座って眺めていると、ひょっこり太陽が顔を出した。思い出して嫁に声をかけてみた。しかし反応がない。海の向こう、それまで暗かった空が明るくなって、青いグラデーションに変わっていく。太陽は見る見る上っていく。嫁はようやく寝ぼけ眼で起き出した。「わぁっ、凄い!…眠い…。」彼女はそう言いながらまた布団に潜り込んでしまった。