12日、郡山市内を抜け磐梯熱海、更に中山峠を越える。断続的に小雨が降る。猪苗代に入ると、ちらほらと雪が舞い降りた。数日前、アッキーとK子ちゃんから猪苗代湖畔の「白鳥」で食事をしたというメールをもらった。それに刺激されて久しぶりに母と出向く。彼女はステーキが好物なのだ。クリニックを出発する頃には、みぞれ混じりの強風が吹きつけていた。



 お店までは15分程度だが、この天候では車の乗り降りも容易ではない。玄関前につけ、車椅子を階段の踊り場に置き、母をそこまで抱えて座らせる。出来るだけ濡れないように気をつける。この凍えるような寒さで風邪でもひかれたら始末が悪い・・・。日曜日のお昼だけあって、生憎の日和にもかかわらず客が入っている。窓際は段差があっておっくうなので中央のテーブルに着く。名物は磐梯牛。専門店にしては割安なのかもしれないが、数百円のランチに慣れた身には少々贅沢。母には磐梯牛サーロイン200gのセット。僕は倹約してオーストラリア牛の300g。メニューの「オーストラリア・・・」の文字がシールで張られている。おそらくその下には「アメリカ・・・」と表示されていたに違いない。こんなところにもBSE問題の影響が及んでいるらしい。母は数本入れ歯にしてから、とみに柔らかい肉しか食べなくなった。そしてもちろん美味しいもの。僕は牛肉を食べつけずに育ったせいか、いまひとつ肉の味がわからない。



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 「お待たせいたしました。」焼けた鉄板の上に大きな肉の塊が乗り、ジューッと音を立てている。タレをかけると、更に賑やかに音が増して油が弾けた。香ばしい匂いが食欲をそそる。食べやすいように一口大に切り分けると、内側に肉の赤身がほんのり残っている。母は何も言わずに美味しそうに頬張っている。懐が寒いが、これも親孝行と胸の中で念仏のように唱える・・・。きれいに平らげて、食後に珍しくコーヒーを飲む母が「美味しかった。」と満足そうに言った。外食の時は少し刺激のあるものがお気に召すらしい。ともあれ、連れて来た甲斐があったというもの。



 帰りの車中、母は団子が食べたいと言う。先日「太郎庵」で買ったこしあんが気に入ったらしいので、町内のお店まで出向いて、売り場内のテーブルでいただくことにする。こしあんの「むかしだんご」は甘さが控えめでさらりとしている。もうひとつ「会津コシヒカリ団子」なるものがあって、みたらし、ずんだあん、くるみあんの三本セット。串に刺さった三つの内ひとつずつをはずして食べさせた。出掛けに看護士さんが「最近食欲が出てきて血糖が上がったので、ひとつ薬を増やしました。」と言ったことを思い出した。されば今日は買い置きの甘味はやめておこう。そんなことを考えていたら、母が不思議そうな顔をした。実のところ僕も今、血糖値を下げる努力をしているわけで、さてどうしたものか・・・。残った団子。持ち帰るしかあるまい・・・。



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 帰り道、磐梯山は薄っすらと雪化粧。これから厳しい冬がやってくる。