あとがき
グローバル化、リーダーシップ力こういったことが昨今のビジネスマンの重要な
要素となりつつある。表面的に捉えると、英語などの外国語を自由にあやつり、
論理的思考と、強い指導力で引っ張っていくというイメージだが、そんなに単純なものではないと私は思う。
事実、英語がべらべらしゃべれて、且つ論理的思考のすぐれた人が、現地人との間合いも、
背景も理解しようとせず、いきなり自論ばかりパワフルに展開して(表面的には論理的で
あるがゆえに始末が悪い)、
自己満足するが組織は動かない。その結果、その原因を自分ではなく、現地人のせいにして、
組織のメンバーはしらけている。などという光景は結構見られる。
もちろん、英語を中心に外国語があやつれるのは、非常に大切な要素だと思うし、
ぐいぐい引っ張るリーダーシップ力も重要だ。だがこの本当の目的は、
・ 言語能力は、コミュニケーションが双方向でしっかり取れること(そのためには、
現状を把握し、相手の状況を理解するところから始まる)。外国語はその手段に過ぎない。
・ リーダーシップ力は、正しい方向を模索し、探し出し、皆を巻き込んでやる気になってもらい、
できるかぎり自発的に動いてもらうこと(そのためには、まず自分が動くことから始まる)。
つまり、自分が命令するだけというわけではない。
ということだと思う。
要するに、突き詰めると、格好良くやることではなく、泥にまみれながらも徹底的に現場に
入り込むことが、その根幹となる。そういう意味で、会社が大きくなればなるほど、
えらい人は、私は考える人(つまり現場に行かない人)、となりがちだが、時間が許す限り、
現場を理解しようとする気持ちや仕組みが大切になってくる。
そして現場を理解しながらも、現場の力学に流されすぎないで、正しい方向を模索する力が
求められる。今後、ますますグローバル化、リーダーシップ力が問われてくると思われる。
表面的な言葉の遊びにとらわれず、じっくりと地に足をつけて、本質を追求することが
求められると思う。