教室に着いて俺は自分の席を見つけて座る。すると後ろの人に声をかけられた。
「怜生、挨拶お疲れ様」
そう言ってくしゃりと笑う少年。見覚えがある。しかし、彼が彼だという保証はない。
「えっと‥‥戸塚、瑠維‥?」
恐る恐る少年に聞いてみる。
「そうですよ?怜生君ひどいなー。俺のこと忘れてた?怜生の後ろの席っていったら俺しかいないじゃん」
俺と瑠維は小学生からの幼馴染だ。俺と瑠維は家が近所で、俺の家の道路を挟んだ反対側の家が瑠維の家だ。
俺たちは小学校では6年間同じクラスだった。そして、藤堂と戸塚。出席番号は常に前後だった。
都内の中学に通って、自分の席の近くに瑠維がいないことに違和感を感じるくらい、俺にとって瑠維はとても身近な存在だった。
彼は俺の数少ない気の置けない人だ。それなのに中学生になってからお互いに一度も連絡しなかった。俺は互いに気を遣ってできなかったのたろうと解釈しているが、恐らく瑠維も俺と同じだろう。だったら瑠維に連絡しても良かったかもしれない。俺が彼を避けていたわけではなかったように。
「びっくりしたよー。同じ高校に怜生がいて、しかも同じクラスだったなんて」
「はは、そうだね。3年間、よろしくね」
そう言って俺は微笑んだ。すると、瑠維は一瞬不思議そうな顔をしたが、すぐに笑顔で「こちらこそ」と言った。