「桜が満開になり始める4月の初め、僕たちは高校生になりました。本日はこのような盛大な入学式を行っていただき、ありがとうございます。緑豊かな校庭、優しい先輩方に迎えられ、とても光栄です。僕たちはこれからの3年間、勉学や部活動など様々なことに全力を尽くしていきたいと思っております。ーーーー、新入生代表、藤堂怜生」
心にもないことをあたかも本当に思っているかのように話す。精一杯の愛想笑いを浮かべて。
一体、なぜ入学式の挨拶をする人が入学試験の一位者なのだろう。正直面倒だ。一位に期待されても困る。そもそも俺はこういうことをする柄じゃない。こんな俺よりもかつて生徒会長だった人や、部長をやっていた人がやった方がいいと思う。
しかし、もう過ぎてしまったことだ。今更何をいっても無意味である。
立派な新入生を装い、頭では全く別のことを考えていた。外面だけよくするのは昔からの癖で、完全に体に染み付いてしまった。
無事に入学式が終わった。しかし、実感がない。代表挨拶をしたにも関わらず、だ。俺は本当に高校生になったのか?小学校、中学校を経ての3回目の入学式。入学式そのものに慣れてしまったのかもしれない。まぁ、時間が過ぎれば嫌でも実感するだろう。
ぞろぞろと一年生が教室に向かう。俺もその波に乗るどころか流される。大抵の人は知り合いを見つけて、一時の親友気分を味わう。しかし、生憎俺にそんな人はいない。そもそも俺と同じ中学校卒業者がいないのだ。なぜなら、俺は県外の学校に通っていたからだ。そこは全国的にも有名な中高一貫校で俺の同級生はほぼ内部進学した。俺も内部進学はできた。しかし、わけあって地元の高校に進学した。