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上海鑑賞日記(主にクラシック)

上海生活の合間に聴いた音楽や見たスポーツなどの記録を残します。

日時:2024年8月7日(水)18:30~

会場:ミューザ川崎 シンフォニーホール

指揮:梅田俊明

演奏:昭和音楽大学管弦楽団

   テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ

曲目:

モーツァルト:交響曲第35番ニ長調K.385「ハフナー」

ブルックナー:交響曲第7番ホ長調WAB.107(ノヴァーク版)

感想:

 ミューザ川崎のサマーフェスタにおける昭和音大のオーケストラの演奏会を訪れてきた。

 将来の日本のクラシック界を背負う金の卵のオーケストラである、と書きたいところだが、残念ながら日本のクラシック界は芸大と桐朋という二大巨頭が圧倒的勢力をもっていて、それ以外の音大から演奏家になるのはほんの一部であるとされる。

 従ってこの大学の卒業生の進路を見ても、プロのオケへ進むケースも皆無ではないようだが、残念ながら少数派で、多くは音楽講師や音楽周辺産業の道に進むのが現実のようだ。

 そうは言っても、一般大学のオケなんかよりは遥かにレベルが高いと推測されるし、演奏会単位で言えば、個々の技術より準備期間(リハーサルの量)などで完成度が決まるので楽しみではあった。

 しかも今回は大学OBのために結成された「テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ」との合同演奏であり、オール昭和音大という布陣だ。

 とはいっても今回の選択理由もオケではなく、やりブルックナーが選曲されていたからである。

 指揮者は梅田俊明さんで、上述の桐朋出身で30年ほど前に群響の東京公演で接したことがある。

 個性を前面に出すタイプではなく、まとめがうまい指揮者という印象で、残念ながらその時の「新世界」はあまり印象に残ってないが、帰りの京浜東北線(北とぴあ公演だった)で、電車で帰宅する姿を見て庶民的な指揮者なんだなぁと感じたのが記憶に残っている。

 その後も東京のオケの定期公演ではたまにしか見かけないが、企画モノの演奏会にはあちこち登場しているから、しっかり仕事をしてくれる指揮者として評価されている印象だ。

 そんな組み合わせの演奏会である。

 

まず前半はモーツァルトハフナー

 この曲はザルツブルグ市長の息子でもある幼馴染である名前に由来しているとのこと。

近年はモーツァルトの交響曲が取り上げられることが少なく、なかなか貴重な機会である。

 さてメンバーが入場してくると、圧倒的に女性が多く、ヴィオラパートは男女半々くらいだが、そのほか金管は男性が多数になっている以外は圧倒的に女性が占めていて、元女子大かと思うような割合だ。

第1楽章から綺麗な音がこのホールの奥まで鳴り響き、モーツァルトのメロディが展開される。

 さすがマエストロというか、曲がしっかりと整えられており、音楽の流れに身を委ねられる。

 少し欲を言えば、音がもう少し軽く跳ねてくれると一層華やかになるような気もしたが、まあそれは好みの問題なのかもしれない。

 続く第2楽章もオーボエやファゴットがアクセントを効かせながら優雅に展開し、心地良い音楽を聴かせてくれた。

 第3楽章のメヌエットでは、思ったほどオーボエが利かないのでモーツァルト的臭いが不足した気もするが、大きな問題もなく優雅なリズムが奏でられる。

 そして第4楽章では途中に休んでいたフルートやクラリネットが、古典の交響曲らしい臭いを加えフィナーレを展開する。

 まあティンパニとかやはりもう少し音に軽さがあっても良かったのかなという気もするが、久しぶりにしっかりしたモーツァルトを聴けた演奏だった。

 ただ、演奏直後の「ブラァボ」が少し早かったかなという印象で、私は響きが収まるまで待ってほしかったなという感想である。

 

 後半はお待ちかねのブルックナー交響曲第7番

 正直言って、かのマエストロにブルックナーのレパートリーがあるイメージが無かったのだが、ちょっとこの組み合わせは驚きだ。

 冒頭のトレモロから、ホルンの飛び込みは少し危なっかしかったが、無難にスタートする。

 弦の厚みもしっかりしたものがあり、展開も悪くない。

 ただ、フルートやオーボエは、どこがどうと指摘できるほどの粗がある訳じゃないが、プロと比べると何となく差は感じる。

 ワグナーテューバも然りで、最後のコーダで指揮者がリズムを刻んでしまったせいもあるが、しっかりと輝ききれず、そこに呼応する弦もやはり輝き切れなかった印象で第1楽章を終えてしまう。

 

 続く第2楽章のアダージョは弦が綺麗に取りまとめられていて、美しく流れていく。

 全体的にオーソドックスに展開していくが、指揮者が意図的にテンポを変えたようなとろこもあり、個人的にはそこは必要じゃないのではないのかと思ったりもした。

 また後半の主題のクライマックスのところでは、弦のえぐり上げが弱くやや盛り上がりに物足りなさも感じてしまう。

 指揮者の意図なのか、オケの技量なのか分からないが少し勿体ない。

 ただ、この楽章の最後は第9番交響曲のコーダを彷彿させる綺麗な金管の和音で美しく閉じられ、胸に心地よく収まった。

 

 続く第3楽章のスケルツォは安定の演奏であるが、思いのほか木管が目立ってこないなというところが気になった。

 ただ気になったのはそこだけで、そのほかは概ね満足の出来。

 

 そして第4楽章はやや速めのテンポで展開する。

 やはりフルートの弱さと音切れの速さが少し気になり、メロディをゆっくり味わうというより、駆け足気味にフィナーレに向かっている感じになる。

 出来としては崩れているわけじゃないが、もっとゆったりと楽しみたかったのが本音である。

 そんな演奏だったせいか、演奏直後の拍手のタイミングも早く、音が収まるのを待ってくれなかった印象だ。

 まあ全体としては流石の音大のオケというところで完成度の高さは感じられたが。その上のレベルとはやはり少し差があるのかなというところも見えた演奏だった。