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上海鑑賞日記(主にクラシック)

上海生活の合間に聴いた音楽や見たスポーツなどの記録を残します。

日時:2024年09月07日(土)14:00~

会場:サントリーホール

指揮:カーチュン・ウォン

演奏:日本フィルハーモニー交響楽団

 

曲目

ブルックナー:交響曲第9番ハ短調 WAB109

感想:

今年はブルックナー生誕200年ということで、あちらこちらで取り上げられるが、この9月は特に集中しており、この日は前日に続いての日本フィルの公演で第9番の鑑賞となった、

おかげで4日間のうちに、7番8番9番を続けて聴くことになった。

指揮者はこのオケの常任指揮者を昨年から務めているカーチュン・ウォンさんで、シンガポール出身の指揮者でまだ38歳ある。

欧米の一流どころのオーケストラでもポストを得始めており将来を嘱望されるアジアの星といったところであろうか?

この日のコンサートマスターはマエストロが首席指揮者を務めるハレ管のロベルト・ルイジさんが勤める、

この日は楽器の配置に特徴があり、コントラバスをステージ後方に扇形に広げて並べていた。

 本番前に行われた八木宏之さんのプレトークによると、オーケストラ全体をコントラバスで包み込むような形で行いたいとのようなことだった、

 果たしてこのような奇抜なアイデアが功を奏するのかどうか、そもそも低音は指向性が弱いので向きに左右されることは少ないし、奏者を固めて演奏することにも音響強度的にプラスの意味もあるのになぁなどと考えながら本番を迎えた。 

まず指揮者が第一楽章で慎重に演奏に入ろうとする直前で、客席から咳が聴こえた。

非常に間が悪く、ハンカチで押さえることは出来なかったのだろうかと思ってしまう。

そこで諦めることなく指揮者は冒頭のトレモロから入っていくが非常にテンポを抑えている。

ゆったり目に入る指揮者は幾らでもいるが、どうも無理に抑えている感じで、やや不自然だ。

 その後もテンポを無理にコントロールしているような印象で、全体として自然に流れていかない。

 またその影響なのか、金管群の柔らかさも不足していて、決して大きなミスがあった訳ではないが、全体としてバランスが悪く精彩を欠いていた印象。

 また弦のメロディも存在感を出し切れなかった印象で、展開部のクライマックスでは金管が吠え過ぎて、音楽としてのダイナミックさの演出に至らなかった気がする。

 件のコントラバスの配置も効果的だったとは言い難い。

そのまま音全体のバランスのごちゃつきが整理されていないまま楽章を終える。

 

 続く第2楽章のスケルツォでは、ティンパニの音が膨らみ過ぎるのか、全体の音がまろやかにならず、金管の音を濁してしまった印象。

 ここはテンポも速めに動かしていたが、どうも作為感があってしっくりこない。

 

そして第3楽章、の前に改めてチューニングが行われる。

冒頭の弦はしっかりと決まるが、そこからの最初のクライマックスへのメロディの運びがどうもゆったり過ぎてスムーズではない。

また細かいところだが丁寧に音を置きすぎて節回しがどこかぎこちなく野暮ったい印象だった。

 またフォルテッシモが強すぎて、音楽全体がバランスよく整わない。

 第2主題の部分では、非常に音量抑えた演奏になっていたが、これも効果的とは思えず、この楽章の1番の聴かせどころとしては少々肩透かしだった。

その後の不協和音のクライマックスも確かに不協和であったが、力み過ぎてこちらは興ざめしてしまう。

そのままコーダでの終演を迎えるが、何ともすっきりせず終了となった。

決して演奏の質が悪かったわけではないが、音楽としてはモヤモヤの残る演奏会となってしまった。